ここから本文です

磁気粘性流体を用いた歩行補助装具向けデバイスを実用化

MONOist 7月21日(木)8時55分配信

 栗本鐵工所は2016年7月7日、橋本義肢製作と共同で、磁気粘性流体(SoftMRF)を用いた歩行補助装具向けのデバイスを開発し、福祉分野で初めて実用化したと発表した。

 SoftMRFは、ナノサイズの鉄微粒子を油などの溶媒中に分散させた流体で、磁場印加の有無によって粘性が大きく変化する機能性流体の1つだ。鉄粒子の沈降性、再分散性に優れ、また、回転デバイスに封入すれば滑らかで安定したトルクが得られる。

 これまで同社は、橋本義肢製作と、ハプティクスデバイス分野において、SoftMRFを使った歩行補助装具向けデバイスの実用化に向けた共同研究に取り組んできた。ハプティクスは、人間が手などを使って得る触覚や力覚を情報として扱う学問分野のことで、ここでのハプティクスデバイスとは、磁気粘性流体を使って主に力覚を人工的に与えられるヒューマンインタフェースデバイスを指す。

 両社の共同研究により開発されたデバイスは、耐久試験をはじめとする各種試験に合格。新しい下肢装具足継手(MR-AFO)として、日本リハビリテーション医学会で発表された。

 MR-AFOは脳卒中などで片まひになった人の、足の動きを補助する機構がついた歩行装具だ。足関節部にSoftMRFを封入したデバイスを搭載することで、使用者の歩行時における足関節角度、足底の接地状況を示す信号に即応し、SoftMRFデバイスが装具関節部に最適な抵抗を瞬時にもたらす。これにより、さまざまな歩行状況に応じたアシストができる。

 磁気粘性流体を使ったデバイスは、油圧ダンパーやモーターなどのアクチュエーターと比べ、粘性(抵抗)変化が素早いという点で優れている。また、これまでは耐久性が課題だったが、SoftMRFは、従来のマイクロサイズの鉄粒子を分散させた磁気粘性流体と比較してデバイスへの摩耗が少なく、2倍以上寿命が延びるという結果が得られた。

 福祉器具への採用により、SoftMRFが、より安全・安心な製品へ適用できることが証明された。同社では今後、さらに適用範囲の拡大を図り、新しいヒューマン・インタフェースを提供していくとしている。

最終更新:7月21日(木)8時55分

MONOist