ここから本文です

米国「中流の上層階級」が増加 広がる貧富の格差

ZUU online 7/21(木) 10:10配信

米国で中流の上層階級(Upper Middle Class)が急増している。1979年と比較すると2倍以上に値する29.4%の国民が、最高年間所得34万9999ドル(約3689万円)の枠組みに属するという。

こうした数字の変化は、米国の経済が豊かになったと受け止められがちだが、実際は貧富の差が拡大していることを表しているに過ぎない。

不動産価格の高騰もあり、特に若年層家庭では、住宅購入の動向にも大きな変化がでているそうだ。

■米国の63%が中流の上層階級以上 広がる格差

この調査は、米人口動態調査で収集された5万から7万5000世帯のデータに基づいて、ジョージワシントン大学公共政策研究所のスティーヴン・ローズ氏が分析を行い、レポート化したもの。

3段階に分析期間をわけ、1980年前半の景気循環期に突入する直前の1979年、2008年のリーマンショックへの蓄積期間となった2000年から2007年、恐慌から回復したと見られる2014年を、比較地点に設定している。

レポートによると、1979年からの35年間で、中流の上層階級は米人口の12.9%から16.5ポイント増。

2014年の中流階級全体の所得を見てみると、46%から20ポイント減だが、中流の上層階級以上が占める割合は63%(上流11%、中流上層52%)と、30ポイントも増している。

富が均等に配分されず、ピラミッドの上部のみに集中していることは一目瞭然だ。

貧富の格差については近年、世界中で焦点が当たっているものの、具体的な解決策も打ちだされないまま格差だけが拡大傾向にある。

世界屈指の経済大国、米国といえども、日々の生活に経済的な不安を抱える人々が急増しており、雇用拡大などでは補いきれない不穏な空気が、国全体に広がり始めている。

■「Starter Home」を買わない階級、買えない階級

こうした時代の移行を受け、若年層家族に新たな風潮が生まれつつある。

これまでは若年層家族が初めての住宅を購入する場合、「Starter Home」と呼ばれる、安上がりな物件を選ぶのが定番だった。まずはStarterを手に入れて、所得の上昇に合わせて、より高級な物件にグレードアップさせていくという将来設計だ。

しかし所得格差が拡大中の近年、すべての若年層家族が住宅を購入できるわけではない。「夢のマイホーム」という言葉は、最早日本だけのものではなくなった。

10年前ならばStarterを購入していた所得層が、賃貸住宅に住むことを余技なくされ、中流の上層階級に属する高所得な若い家族は、Starterよりも高級な物件を初めての住宅に選ぶようになった。

全米不動産協会(NAR)の調査からも、「安上りというだけでStarterを購入して数年後に買い替える手間を考えれば、貯蓄額を増やして質の高い物件を購入したい」という、若年層家族が増えているという。

また米国勢調査局が2013年に発表したデータでは、初めての住宅購入者は通常の住宅よりも面積の広い、大き目の物件を購入していることなども判明している。一般的な物件面積は平均169平方メートルだが、初めての購入者の住宅は平均171平方ある。

「簡単に家を買い替えられる」時代は終わりを告げ、米国でも「家は一生の買い物」という観念が芽生え始めている。

今後米国の不動産高騰が継続すれば、住居を短期的な「仮住まい」ではなく、長期的な視点で見る若年層家族が、ますます主流になっていくだろう。その一方で、いつまでも賃貸生活から抜けだせず、その日暮らしを強いられる家族の不満も、蓄積されていくに違いない。(ZUU online 編集部)

【お詫びと訂正】本稿は、2016年7月24日時点で「米国3割が年間所得3000万円台 急増する中流上層階級」という表現のタイトルを用いておりましたが、中流上級階級は「所得10万から35万ドルの層」のため「 米国「中流の上層階級」が増加 広がる貧富の格差 」へ修正いたしました。文中の記述に関しても上記を反映させ修正しております。読者の皆様にお詫び申し上げます。

最終更新:7/24(日) 18:06

ZUU online