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興梠が感じたU23世代に足りないもの

東スポWeb 7月21日(木)10時13分配信

 サッカー男子のリオ五輪日本代表が19日、千葉県内で合宿をスタートさせた。オーバーエージ(OA)枠で招集された注目のFW興梠慎三(29=浦和)は不安を抱えたまま初めて練習に参加。だが、チーム合流後すぐにリーダーの自覚が芽生えたという。これまで所属クラブでもチームを引っ張る姿勢を見せたことがなかったストライカーに何が起こったのか――。

 興梠にとって不安だらけで臨んだ手倉森ジャパンの合宿初日。メンバー発表の時に「自分はどっちかっていうと年下としゃべるのは苦手なほうなのでどうかな?と思う。向こうがしゃべってくる分には大丈夫だと思うけど…」と繰り返し、浦和のチームメートで同代表主将のMF遠藤航(23)が助け舟を出したほどの内向的な性格の持ち主。そんななかでU―23世代の選手たちとランニングなど軽めのメニューをこなし、練習後は「何人かはしゃべれたから大丈夫かな」と安堵の表情を浮かべた。

 だが、そんな興梠も五輪に臨むチームに物足りなさを感じずにはいられなかった。U―23世代は寡黙な選手がほとんどで、移動中のバスも静か。事前に周囲から聞いていた「練習中にコーチの指示の声しか聞こえない」という言葉も理解できた。DF槙野智章(29)やDF森脇良太(30)らうるさいほどのムードメーカー揃いの浦和とは正反対。普段から練習でも活気あふれる環境に身を置いているだけに、チームの静寂に別の意味で不安を覚えた。

 そこで一つの決心をした。「結構おとなしい選手が多いので、嫌われない程度にしゃべっていきたい」と積極的にコミュニケーションを取ることを宣言。興梠をよく知る人間から見れば、驚くべき変化だ。

 Jクラブ関係者から「あいつは内弁慶だから」と評されるほど、初対面の選手たちと打ち解けるのに時間がかかるタイプ。それでも合宿初日で苦手意識克服に手応えをつかんだ。そうなると次の行動は、チームを勝たせるための自分の役割を考えることだ。

 興梠の体には「勝者のメンタリティー」が染み付いている。これまで所属した鹿島、浦和といったJ強豪クラブでの経験は、A代表の経験の少なさを補って余りある。もちろん厳しい予選を勝ち抜いてきたU―23世代の選手に対してのリスペクトはあるが「OAとして何かをやらなきゃいけない立ち位置。それを承知で今大会に臨んでいる」と決意は揺るぎない。

 J屈指のストライカーと評されながら、A代表では思うような結果を残せていない裏には、積極性に欠ける性格も一因に挙げられてきた。

「A代表に成り上がるつもりはない」と言うが、最年長選手としてプレー以外の面でチームを引っ張れば、手倉森ジャパンのメダル獲得だけでなく、興梠を取り巻く環境も大きく変わるかもしれない。

最終更新:7月21日(木)10時13分

東スポWeb