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“湿度の揺らぎ”を動力源とする環境発電技術、半永久駆動が可能に

スマートジャパン 7月21日(木)13時10分配信

 持続可能な社会を実現するためには、太陽光や風力、地熱などの自然エネルギーを利用可能なエネルギーに変換する再生可能エネルギー技術の開発が活発化している。一方で、ウェアラブル端末やモバイル機器、IoTデバイスなどの普及が進むにつれ、それぞれのデバイスに電力供給を行うのではなく、身の回りの未利用エネルギーを集めて活用可能とする「エナジーハーべスティング技術(環境発電技術)」の開発への期待が高まってきた。

 これらを背景に、理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発ソフトマター機能研究グループの相田卓三氏(東京大学大学院工学系研究科教授)をグループディレクターとした研究グループは、わずかな湿度変化に応答し半永久的に動き続ける薄膜アクチュエーターを開発した。

 この薄膜は水分の吸着量に応じて屈伸するため、湿度変化に応じて屈伸運動を示す。今回開発した薄膜は、従来のものより少ない水分量で大きくかつ高速に屈伸運動を行うことが特徴だ。さらに、局所的な湿度変化を運動エネルギーに高効率で変換できるため、汎用の湿度計では感知できないほど小さな湿度変化にも応答するという。

●一方向に歩き続ける薄膜アクチュエーター

 さらに、研究グループは、薄膜の一部に金を蒸着することで、水滴の周りに起こる湿度の揺らぎを駆動力にし、一方向に歩き続けるアクチュエーターの開発にも成功した(図2)。高分子薄膜の一部に金を蒸着することによって、水の吸脱着を起こさない場所を作製する。すると湿度の揺らぎに対して同じ屈伸運動を繰り返し一方向に自律的に歩き続けるという仕組みである。

●熱や光にも反応しさまざまな“環境の揺らぎ”に対応

 薄膜の水分の吸着量は熱や光にも影響を受けるため、環境におけるさまざまな揺らぎを薄膜の運動エネルギーに変換することが可能である。また、この薄膜は環境の変化に高速で応答することが可能なため、薄膜に強い光を照射すると薄膜が高速で屈伸し、ジャンプする。

 この薄膜は、グラフィティック・カーボンナイトライドと呼ばれる2次元状高分子を用いることで実現した。研究グループが独自に開発した手法により、原料として安価なグアニジン炭酸塩を用い、加熱するだけという非常にシンプルな手法で作製することが可能であるという。

 研究グループは、今回の成果により、これまでエネルギーとして利用することが困難であった“環境の揺らぎ”を、運動エネルギーとして利用できることを実証した。今後、実際のデバイスなどで利用するためには、薄膜の運動エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換する技術を実現する必要がある。さらに人工筋肉などの分野への応用も期待されている。

最終更新:7月21日(木)13時10分

スマートジャパン