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自動運転宅配サービス「ロボネコヤマト」はなぜ“実用実験”なのか

MONOist 7月21日(木)6時25分配信

 ディー・エヌ・エー(DeNA)とヤマト運輸は2016年7月20日、東京都内で会見を開き、自動運転技術を活用した次世代物流サービスの開発を目的とする実用実験プロジェクト「ロボネコヤマト」について発表した。2017年3月から1年間、政府が指定する国家戦略特区で実施する計画だ。

【「ロボネコヤマト」の配送車のイメージなどその他の画像】

 今回のロボネコヤマトでは、ヤマト運輸の宅配サービスの利用者が希望する時間と場所で荷物を受け取れる「オンデマンド配送サービス」と、地域の複数商店の商品をインターネット経由で購入した利用者に一括して配送する「買物代行サービス」についての実用実験を行う。

 なお、ロボネコヤマトは“実用実験”となっており、DeNAが子会社のロボットタクシーなどともに行っている自動運転車の“実証実験”とは一線を画している。これは、今後実用化が進むであろう自動運転技術が配送車に搭載されることを前提として、新たな物流サービスに対してどのようなニーズや課題があるかを見定めて行くことを目的としているからだ。

 現時点では、ロボネコヤマトに適用する自動運転技術は未定であり、2017年3月から始める実用実験でも当初は配送車に自動運転技術は適用しない。実験期間内で、一部自動運転を導入したサービスなどを展開する予定があるだけだ。自動運転車を使った、次世代物流サービスの本格的な“実証実験”は、ロボネコヤマトにおける実用実験の結果を踏まえて2018年以降に検討することになる。

●「ロボネコヤマトは非常に重要な一歩」

 会見でDeNA社長兼CEOの守安功氏は「当社は、早くから自動運転技術に注目しており、その実現によって人とモノの輸送が劇的に変わって、いろんなサービスが生まれると考えていた。当社が持つインターネットとAIの技術を活用することで、自度運転技術がきっかけとなって生まれるモビリティサービスプロバイダーを目指していきたい。そんな当社にとって、今回のロボネコヤマトは非常に重要な一歩になる」と述べる。

 またヤマト運輸社長の長尾裕氏は「1976年から始まった宅配便の40年の歴史は、進化の歴史だった。顧客の手元までの『ラストワンマイル』をオンデマンド化しようとさまざまな取り組みを進めている当社にとって、ロボネコヤマトは新たな進化の歴史に向けた取り組みになるだろう。また自動運転技術は、クルマの運転に自信のない女性や高齢者が宅配員として働ける道を開く可能性もある」と語る。

●非対面での荷物の受け取りが可能に

 ロボネコヤマトのコンセプトは「物流と最先端ITとの融合でもっと自由な生活スタイルを実現する」である。

 ヤマト運輸執行役員の阿波誠一氏は「宅配のラストワンマイルの時間、場所、方法を自由自在にすれば、自由な生活スタイルにつなげられる。誰もが使いやすい物流プラットフォームによって、新しいビジネスモデルや物流コストの削減が期待できる。そして、自由な生活スタイルと新しいビジネスによって地域社会に貢献できると考えている。これら、生活スタイル、ビジネス、地域社会に変革を与えるのがロボネコヤマトだ」と説明する。

 同社が自動運転によって実現できるラストワンマイルのオンデマンド化の可能性は5つある。ロボネコヤマトではこれらのうち「エニータイムデリバリー」をオンデマンド配送サービス、「ショッピングオンデマンド」を買物代行サービスとして実用実験を行う。

 どこにいても自宅のように荷物を受け取れる「クラウド1マイル」、ヤマト運輸が岩手県や宮崎県で実証実験を進めている客荷混載を自動運転と組み合わせて広げる「ヒトモノコミューター」、地震などの災害時に必要になる物資をスムースに届ける「ライフサポート」は、2018年以降の検討課題になる。

 DeNA 執行役員 オートモーティブ事業部長の中島宏氏は「現時点では、両社で協力してロボネコヤマトに取り組んで行くことを決めた段階。実用実験の詳細が決まれば順次発表していきたい。採用する自動運転技術についても、ロボットタクシーを共同開発しているZMPだけでなく、他の自動車メーカーなどにも声を掛けて行きたい」と話す。

 なお、オンデマンド配送サービス、買物代行サービスとも、ロボネコヤマトの配送車後部のドアがスライドし、車両後部にあるロッカーの中からスマートフォンなどを使って荷物を取り出すイメージになっている。「この手法であれば、一部の顧客から要望の出ている非対面での荷物の受け取りが可能になる」(中島氏)という。

 ただし、ロボネコヤマトを実施する地域はまだ決まってない。2017年3月の立ち上げではまず1つの地域が対象になる計画だが、都市部と地方で顧客のニーズは大幅に異なるため、各国家戦略特区における宅配サービスの実情を分析しながら、詳細を決めていくとしている。

最終更新:7月21日(木)6時25分

MONOist