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英EU離脱、大きなリスクを抱えたのは英国ではなくEU側

THE PAGE 7月23日(土)7時0分配信

 英国のEU離脱に伴う市場の混乱はとりあえず収束しつつあります。しかし経済的な影響はこれからといわれており、多くの人が先行きを不安視しています。一方で、大変だというイメージばかりが先行しており、企業がどのような影響を受けるのか具体的な情報はありません。

エアバス社のケースでみてみると……

 企業に対する影響は、その企業がどこに本社を構え、どのような企業活動を行っているのかによって大きく変わってきます。イメージ的にはEUから離脱する英国側の企業に影響がありそうですが、現実はそうとも言い切れません。むしろEU側の企業の方が影響を受けやすいでしょう。

 多くの関係者が懸念している最悪の事態は、今後、英国とEUの再協定の交渉がまとまらず、英国とEUの間に関税が発生するケースです。もしこうした事態に陥った場合には、欧州全域にサプライチェーンを展開している巨大企業は大幅な業務の見直しを迫られます。

 例えば、欧州を代表する航空機メーカーであるエアバスは、欧州各国に多数の拠点を構えており、最新鋭機A350の主翼を製造する工程だけでも数カ国にまたがっている状況です。主翼下部はスペインにあるイジェスカス工場で、主翼上部はドイツのシュターデ工場で製造されており、これらの部材は英国のブロートン工場に運ばれて組み立てが行われます。その後、ドイツのブレーメンで機器類を装備し、フランスのトゥールーズ工場で胴体に接合されます。一連のサプライチェーンの中で英国の果たす役割は大きく、もし英国とEUとの間に関税がかかってしまうと、エアバスは欧州全土で製造工程を見直さなければなりません。これは同社にとってかなりの負担となるでしょう。

 エアバスのケースから分かることは、英国のEU離脱は、欧州全域に事業を展開している企業への影響が大きいということです。

英国企業あるいは英国に進出している企業は?

 一方、英国企業あるいは英国に進出している企業は、「EU離脱」という仰々しいイメージと比較すると、それほど大きな影響は受けません。英国企業はユーロ圏との取引に為替リスクが生じるため、ユーロ圏内の企業のような自由度はもともとありませんでした。また英国に進出している理由は、EU市場への玄関口という意味もありますが、英国の極めて安い税制に惹かれているという側面もあります。英国は今回の離脱を受け、さらに法人税を引き下げる方針を明らかにしていますから、英国の税制面での有利さはさらに増大するでしょう。

 英国のEU離脱決定後、英国の株価指数であるFTSEは5.6%上昇しています。これはポンドが大幅に下落したことに対する調整という意味もありますが、少なくとも為替安・株安というダブルパンチにはなっていません。一方、ドイツの株価指数DAXは1.4%下落、ユーロは2.7%の下落となっています。米国の株価指数であるダウが3.2%上昇しているのとは好対照です。最終的な影響がどうなるのかは、英国とEUの交渉次第ですが、大きなリスクを抱えたのは英国ではなくEU側のようです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:7月23日(土)12時49分

THE PAGE