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機構「石棺」文言を削除 第一原発廃炉プランの修正版公表

福島民報 7月21日(木)9時19分配信

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構は20日、東京電力福島第一原発の廃炉作業に関する新たな戦略プランで言及した溶融燃料(燃料デブリ)を取り出さず建屋をコンクリートで覆う「石棺」の文言を削除した修正版を公表した。核燃料の長期放置は「世代間の安易な先送り」とし、石棺の文言を外し「このような取り組みは採用せず、デブリを取り出す」と強調している。
 修正版は燃料デブリを取り出していないチェルノブイリ原発事故を念頭に、「核燃料物質を回収の見通しなく長期的に放置することは、当面の閉じ込めに効果があるとしても、長期にわたる安全管理が困難」と指摘。その上で「(福島第一原発の廃炉では)燃料デブリの取り出しの取り組みを進める」と明記した。
 同日、東京都内で会見した山名元理事長は「住民が誤解、心配しやすい表現になっていた部分を修正した。(当初のプランは)配慮に欠けた」と釈明。燃料デブリを取り出す方針は「修正前後で変わっていない」と明言し、石棺方式の採用を改めて否定した。
 石棺方式に触れた部分を削除せずに修正とした理由について、機構は「デブリの取り出しよりも石棺方式を支持する一部専門家や政府関係者がいる。機構はデブリの取り出しが必要との立場で、石棺の技術的な問題点を戦略プランで明確にしておくべきだと考えた」としている。
 内堀雅雄福島県知事は「表現を削除・修正したことで石棺方式の導入はなくなったと受け止めている」と述べ、一定の評価をした。さらに「機構は石棺方式という表現が県民に非常に大きなショックと不安を与えたと肝に銘じ、経緯を鑑みてしっかりと廃炉を進めてほしい」と注文した。
 機構が13日に発表した戦略プランでは、燃料を取り出さない石棺方式に初めて言及。燃料デブリの取り出しが大前提としながらも、「今後明らかになる内部状況に応じて、柔軟に見直しを図ることが適切」と選択の余地を残す内容だった。県や関係市町村は猛反発し、県と経済産業省が機構側に削除や修正を求めていた。

◇戦略プランの修正後と修正前
【修正後】
 こうした視点を踏まえれば、チェルノブイリ原子力発電所4号機の事故への取り組みから懸念されるように、核燃料物質を回収の見通しなく長期的に放置することは、当面の閉じ込めに効果があるとしても、長期にわたる安全管理が困難であり、世代間での安易な先送りと言わざるを得ない。
 したがって、福島第一原子力発電所の廃炉においては、このような取り組みは採用せず、以下のように燃料デブリの取り出しの取り組みを進めることとする。

【修正前】
 なお、チェルノブイリ原子力発電所4号機の事故に対して取られた、通称“石棺方式”の適用は、原子炉建屋の補強などによる当面の閉じ込め確保に効果があるとしても、長期にわたる安全管理が困難である。したがって、現時点においては燃料デブリの取り出しによる中長期のリスク低減に取り組むこととし、今後明らかになる内部状況に応じて柔軟に見直しを図ることが適切である。その際、長期的な責任継承に関する不確実性や世代間での安易な先送り等に対する懸念を十分に踏まえることが求められる。

福島民報社

最終更新:7月21日(木)10時1分

福島民報