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芸能活動を左右するタレントによる改名の是非

オリコン 7月22日(金)8時40分配信

 女優の能年玲奈が6月いっぱいで前事務所との契約を終了し、芸名を「のん」に変更することを『フライデー』(講談社)で発表した。ネットでは、「のんちゃんを応援することにしました。頑張って」「辻(希美)ちゃんやフットボールアワーの岩尾望の愛称と同じなのでややこしい」等々、賛否両論あるようだ。芸能界においては、改名はよくあることと同時に、その後の芸能活動を左右する“最重要事項”でもある。成功例と失敗例を振り返りながら、果たして改名は有りか? 無しか? 改めて検証してみたい。

【写真】はつらつとした能年玲奈時代の海女姿

◆芸名は事務所の所有物でもあるということを世間に認知させた“加勢大周”騒動

 改名騒動として思いだされるのは、元俳優・加勢大周による一連のゴタゴタであろう。1991年に加勢が独立を画策した際、前事務所が芸名の使用停止を求めて裁判所に提訴。裁判の結果、勝訴となり加勢大周の芸名は認められたが、その後前所属事務所が新加勢大周(後の坂本一生)として同名タレントをデビューさせるなど、連日ワイドショーを賑わせた。その後加勢は、イメージの低下から人気は低迷。08年には覚せい剤取締法違反(所持)で現行犯逮捕され、芸能界を引退。この騒動を機に芸名は当人だけではなく、所属事務所の所有物でもあるということが世間にも浸透するこことなった。

 そもそも改名する第一の理由としては、“再スタート”や“心機一転”を図るために行われることが多い。単純に言えば、低空飛行を続ける自分を変えるためであり、消えかかっている芸能人が、起死回生のためにするものだ。例えばモーニング娘。は、かつては誰もが知るように大ヒットを連発していたが、AKB48やももいろクローバーZなどの登場で、グループアイドルの戦国時代へと突入。しかし、他の追随を許さないフォーメーションダンスなどの圧倒的なパフォーマンス力を見せ、ブームに乗る形で再ブレイク。2013年9月発売の54thシングル「わがまま 気のまま 愛のジョーク/愛の軍団」は、年間3作連続のシングル首位を獲得し、1998年1月のメジャーデビュー以来15年で初の快挙となる。そして翌年、「モーニング娘。‘14(ワンフォー)」と改名し、以降はグループ名の最後に年号を入れることも(現在はモーニング娘。‘16)、今ではすっかり定着している。

 また、元は女優だった浜崎くるみも「浜崎あゆみ」に改名後、大ブレイク。女子高生のカリスマ、ファッションリーダーとなったのは周知のとおり。三浦綾香→遠峯ありさ→華原朋美も同様で、華原も本名(下河原朋美)に近い芸名に改名してブレイク。その後の紆余曲折を経て、改名こそないものの現在は歌手として再ブレイクし、全盛期と変わらない歌声を披露して話題となった。その他、最初は松山まさるという芸名だった五木ひろし、昔は演歌歌手・星美里だった夏川りみなどが、歌手における“成功例”だろう。

 「改名がきっかけでブレイクする例は、お笑い界にもけっこうあります。代表例が『新ウンナンの気分は上々。』(TBS系)の企画で改名した、さまぁ~ず(旧・バカルディ)とくりぃむしちゅー(旧・海砂利水魚)でしょう。それぞれそこそこの知名度で、そこそこの活躍をしていたものの、“中堅どころ”としては今ひとつ伸び悩んでいた。それが、内村(光良)さんがお気楽に付けたかのような、脱力系のひらがなの芸名に改名すると注目を集めるきっかけとなり、両コンビとも冠番組を持つまでの“大物”になったんです。内村さんのプロデュース能力は大したものですよ」(バラエティ番組制作会社スタッフ)

◆“ブレイク後の改名”による成功例は極めて少ない

 もちろん、改名が成功ばかりするとは限らないし、“無かったこと”にされる例も少なくない。お笑いコンビ・アニマル梯団(2000年解散)のおさるとコアラは、やはり番組内の企画でそれぞれ「モンキッキー」と「ハッピハッピー」に改名したが、両者ともいつの間にか元の芸名に戻っていた。しかし最近は、おさるもコアラもかつての活躍が見られず、コアラにいたっては、元・妻(現参議院議員の三原じゅん子)との離婚が2007年に話題になったぐらいだ。また、芸能人の改名には、再スタートや心機一転だけではない、深い裏事情が隠されている場合もある。言ってみれば、“けじめ”だ。

 「話題になった能年さんの改名は、旧事務所とのトラブルも報道されていますから、“心機一転”という意味もあるのでしょう。実際に芸能界では、旧事務所から独立する際には、その事務所で使用していた芸名は使えないという場合も多いです。ひょっとしたら能年さんも、何かしらの“けじめ”をつけなければならなかったという事情があるかもしれません」(前出のスタッフ)

 改名の動機に関しても様々な要因があるが、もっとも重要となるのは、やはりその“時期”だろう。改名前の知名度が低かった場合は、改名していたことすら知らない場合がほとんどであり、いくらでも“心機一転”が図れると言っていい。だが、一度ブレイクをしてからの改名となるとそうはいかない。そもそもブレイクしたのなら改名する理由がないし、するとすれば何らかのトラブルがあった場合のみ。さらに、改名前の印象があまりにも強すぎることで、視聴者もなかなか新たな芸名に馴染めず、改名に伴いキャラクターまで一変しようものなら、“痛々しさ”だけが伝わってきてしまい、概ね失敗する傾向にある。その意味でも、改名前から知名度があったさまぁ~ずとくりぃむしちゅーは好例と言えるだろう。

 再ブレイクのためか、話題作りのためか、それともケジメをつけるためか……芸能人の改名の影には、様々な事情が隠されているようであるが、改名自体は気軽に行なわれるものでもなく、やむを得ず改名しなければならないことが多いようだ。改名後、成功するか失敗するかはそれぞれの実力、運、タイミングなど、いろいろあるだろうし、今回の能年玲奈の改名も、彼女が将来を期待されていた存在だっただけに、にわかに注目を集めたわけである。いずれにしても、芸能人が人気を維持したり、回復したりすることは並大抵のことではなさそうである。

最終更新:7月22日(金)11時50分

オリコン