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高齢者3人殺傷 被告に死刑 前橋地裁 裁判員裁判で初

上毛新聞 7月21日(木)6時0分配信

 前橋市の住宅で2014年に高齢者3人が相次いで殺傷された事件で、強盗殺人などの罪に問われた同市本町、無職、土屋和也被告(27)の裁判員裁判の判決公判が20日、前橋地裁であった。鈴木秀行裁判長は「人命を軽視した強盗殺人を2回行い、2人を殺害した。稚拙だが計画的犯行で、強固な殺意があった」などとして、求刑通り死刑を言い渡した。弁護側は判決を不服として即日控訴した。

 09年の裁判員裁判の開始以降、同地裁で死刑が言い渡されたのは初めて。

 鈴木裁判長は、土屋被告が金銭目的で高齢者宅を無差別に狙い、2人を殺害し、1人に重傷を負わせたと認定。「非力な高齢者に対する一方的な凶行で、卑劣で冷酷。強固な殺意に基づく執拗(しつよう)で残虐な殺害方法だった」と強く非難した。

 争点となっていた殺意について、いずれの事件でも「条件付きで殺意を持っていた」とし、弁護側の「障害の影響で衝動的に攻撃した」との主張を退けた。

 土屋被告が150万円を贖罪(しょくざい)寄付したことや、更生の可能性がわずかに残されている点を考慮しても「死刑をもって臨むことがやむを得ない」と結論付けた。

 弁護側は判決後、記者団に控訴の理由として「裁判員には難しい判断をしていただいたと思っているが、改めて職業裁判官の精査を受けたい」とした。前橋地検は「検察官の主張が認められ、妥当な判決」などとするコメントを出した。

 公判では土屋被告が殺意の有無などの質問に沈黙したため、検察官の取り調べ時の録音録画映像が再生された。判決は、争点となった計画性を巡り、この映像によって供述調書の信用性が十分と判断している。

 判決によると、土屋被告は14年11~12月、同市日吉町の小島由枝さん=当時(93)=宅、同市三俣町の川浦種吉さん=当時(81)=宅でそれぞれ2人を殺害し、川浦さんの妻も包丁で刺して重傷を負わせ、現金や食料品を奪った。

◎被告、微動だにせず…判決言い渡し時

 黒縁眼鏡を掛けた土屋和也被告(27)は、上下灰色のスウェット姿で入廷した。鈴木秀行裁判長が判決理由を述べている間、かすかに体を右に傾けて下を向き、じっとしていた。ゆっくりとした呼吸に合わせて肩と胸がわずかに動いていた。

 閉廷までの約40分間、口を固く閉じたまま。死刑を宣告された瞬間もうつむき微動だにしなかった。返事や相づちを含め、声を出すことは一切なかった。無表情の顔は若干、紅潮していた。

 傍聴席の遺族らは終始、刺すような視線を土屋被告に向けていた。

最終更新:7月21日(木)6時0分

上毛新聞