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スキマスイッチ、楽曲の魅力を多角的に輝き放つ貴重なライブ

MusicVoice 7月21日(木)16時40分配信

 スキマスイッチが去る7月12日、昭和女子大学・人見記念講堂(東京世田谷)で全国ツアー『POPMAN'S CARNIVAL』の最終公演をおこなった。演奏したい曲を大橋卓弥と常田真太郎の2人でセレクトして、オリジナルとは少し異なるリアレンジで演奏するというコンセプト。この日、披露されたのは、今回のツアーが初演奏となったレア曲をはじめ、普段とは趣きが異なる楽曲など全21曲を披露。“スキマスイッチ楽曲”の奥行きや多彩性を改めて知るきっかけにもなり、彼らの魅力を多角的に輝き放つ貴重なライブに、観客は大いに満足した様子だった。

 この日は気温30度を超す猛暑となったが、陽が傾いた開演前は幾分か涼しく、昭和女子大の敷地内にある会場前で待ち合わせなどをしていた観客は、会場前で記念撮影をおこなうなど、この日の公演を楽しみにしているようだった。

 そうした観客の高揚感は場内にも広がっていて、開演前から興奮の度合いを高めた会話があちらこちらでなされていた。そうしたなか、SEが流れると、観客は手拍子でスキマスイッチの登場を促した。バックバンドメンバーの後に、大橋卓弥と常田真太郎の2人がステージに登場。大橋はワークシャツに白いパンツ、常田は黒い下地に炎のパッチワークがかたどられたハットを被り、ワークパンツという姿だった。彼らの姿を確認した観客は総立ちになり、歓声をもって迎えた。

 歓声に応えるようにバンドと2人は音を合わせ、その高揚した空気感を更に盛り上げる。そのまま「晴ときどき曇」で、この日の公演をスタート。スキマスイッチの色に染められていく場内。そのまま届けられた「LとR」では、弾き語りから、バンドサウンドが加わり曲を盛り立てた。サビ前の<クラップユアハンズ♪>に合わせ、観客も手拍子。「飲みに来ないか」演奏時は、ステージの上に設置されたミラーボールが回り、会場をダンスホールの様に彩った。

 音源ではピアノの音が印象的な「LとR」は、弾き語りの挿入部でその表情をガラリと変えていたし、「飲みに来ないか」ではカホンやホーンが、曲の描く少し大人の恋の駆け引きをドラマチックに演出していた。今回のツアーのコンセプトと、その完成度の高さに舌を巻く。

 ここで大橋は「どうもありがとう、スキマスイッチです!」と挨拶。割れんばかりの拍手と歓声に常田も「まだ3曲しかやっていないのに」とライブ終盤の様な観客の盛り上がりに笑みをこぼした。大橋は「普段のツアーは、新しい作品を引っ提げてのコンサートが多いんですけど、今回はただただライブをやるためにやるツアーを立ち上げてしまおうということで。今、僕らが演奏したい曲を2人でセレクトして、セットリストを作りました。オリジナルとは少し違うリアレンジで多めに演奏するものです」と今回のツアーの趣旨を説明した。

 そうしたなかで演奏された「水色のスカート」では、ホーンセクションが印象的に響く。そして、パーカッションから始まったのは「かけら ほのか」。大胆なリアレンンジは、また違った曲の表情を見せる。このツアーならではの醍醐味に観客も酔いしれる。「僕と傘と日曜日」では、大橋はギターを置き、歌唱に集中する。常田の奏でるピアノの旋律にバンドが色を加える。そこに大橋の優しい歌声が乗り、曲は壮大なメロディへと昇華した。

 大橋の持った黒いストラトキャスターの、ギターカッティングから「ソングライアー」を演奏。大橋はギターソロを披露し、観客を盛り立てる。終盤では、常田もピアノソロをプレイ、艶やかな演奏で楽曲の持つ大人の雰囲気を更に引き立てた。

 ここで大橋が「今回はもう一つ、普段とは違うことをしようと思って」と話し、ステージ奥でプレイしていたバックバンドのメンバーが、ステージ前方に配置されアコースティックなセットで「君曜日」と「フレ!フレ!」を披露した。続く「ボクノート」はアコーステックギターの伴奏に鈴、フルートの演奏が加わり、さらに大橋のファルセットとコーラスが重なり恍惚感が溢れた。

 再びバンド形式に戻り、青い照明に染まったステージで「LINE」を演奏。アコースティックな演奏を挟んだことで、このフルバンドの音の重厚感は、よりくっきりとした。立て続けに「ユリーカ」を披露。カホンとファンキーなベースラインで曲が始まり、観客は揃ってジャンプして、会場が揺れ動くほどの盛り上がりを見せた。

 更に、「Ah Yeah!!」では、サビに合わせて観客が持つツアーファイナルタオルが一斉に天井へ向かって投げられ、タオルが飛び立つ鳥のように広がる圧巻の光景が広がった。会場のボルテージが更に上がったところで、コール&レスポンスを決め、常田のお馴染みのピアノの旋律から「全力少年」を披露。サビで大橋は会場にマイクを向け大合唱が起きた。大橋はステージを降り、一階席の通路を駆け回り観客と触れ合いながら歌唱。観客との“コラボレーション”も、ライブならではの魅力と言えるだろう。

 大橋は「作詞、作曲全部2人でやっていて、プロデューサーもいないですし。その時に身の丈にあった、等身大の曲を作ろうと心がけています。曲ができて、皆さんに送り届けられて、コンサートで僕らも歌っていくときに、作った時には、思ってもみなかったような新しい何か意味合いを持ったように感じるときがあります。それは曲がひとりでに皆さんの中でどんどん大きくなって、自分がその曲を歌う時に、曲から何かを自分が教わっているようなそんな気持ちになるときがあります」と語り、そんな観客と一緒に育ったように感じる曲だという「ハナツ」を披露。

 バンドの迫力ある演奏と、大橋の伸びのある歌声に観客は最後まで聴き入っていた。最後に大橋は「ありがとうございました、スキマスイッチでした」と手を振り、2人はステージを去り、本編は終わった。

 メンバーを送った歓声と拍手はアンコールを求める手拍子へと変わった。そして、ステージにメトロブルーのツアーTシャツに着替えた2人とバンドメンバーが再登場し、観客から歓声が上がった。

 アンコールでは、大橋が「2人で曲を作るとき、全くゼロから作るやり方とか、それぞれがたたき台を持ち寄ってブラッシュアップするやり方とか色々あるんですが、敢えて連名表記しているのは、その過程も想像する楽しみになると思っていて。次の曲について言ってしまえば、シンタ(常田真太郎)ワールド全開の曲です」と紹介し、このツアーで初演奏となった「電話キ」を披露。

 電子音のフューチャーされたアンビエントな楽曲で、常田も1フレーズだが囁くように優しい歌声を披露した。続く「デザイナーズマンション」では楽器隊それぞれのソロ回しで観客を盛り立て、大橋は「ツアーをやって行く中で、またやりたいことが増えていきます。色んな形、姿のスキマスイッチを見せていきたいと思います」とこれから更に進化していく抱負を語り、「サウンドオブ」でこの日の公演を締めた。

 結成から17年を経てベテランの域に達している彼らが今、敢えてそのルーティンを外れて楽曲をリアレンジして、ライブでその違う曲の表情を観客に伝えるという意味を考えさせられた一夜だった。そして、その意味は受け取る観客によって様々に変化し、また違う曲の表情を生み出していくのではないだろうか。いずれにしても、このツアーを通して彼らの作り上げるこれからの楽曲、そしてそれを受け取ったファンによりさらに大きくなる楽曲が、より素晴らしいものになるのは間違いないだろう。(取材・松尾模糊)

■セットリスト

スキマスイッチ

TOUR2016『POPMAN'S CARNIVAL』
2016年7月12日 昭和女子大学・人見記念講堂

01.晴ときどき曇
02.LとR
03.飲みに来ないか
04.水色のスカート
05.かけら ほのか
06.時間の止め方
07.1+1
08.僕と傘と日曜日
09.ソングライアー
10.君曜日
11.フレ!フレ!
12.ボクノート
13.LINE
14.ユリーカ
15.パラボラヴァ
16.Ah Yeah!!
17.全力少年
18.ハナツ

Encore

En1.電話キ
En2.デザイナーズマンション
En3.サウンドオブ

最終更新:7月21日(木)16時40分

MusicVoice