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ビル群に「仮想発電所」を構築、CO2排出量を40~60%削減へ

スマートジャパン 7月22日(金)6時25分配信

 「竹中脱炭素モデルタウン」の第1弾のプロジェクトが始まる。湾岸地区にある竹中工務店の東京本店ビル(地上7階建て)を中心にモデルタウンづくりを進める計画で、今秋から実証に取り組む。

 脱炭素モデルタウンは地域のビル群が排出するCO2(二酸化炭素)を削減することが目的だ。CO2の大半は電力などエネルギーの消費に伴うもので、省エネルギー・蓄エネルギー・創エネルギーの最新技術を組み合わせて低炭素化を図る。

 プロジェクトの最大の特徴は「VPP(バーチャルパワープラント)」を構築する点にある。VPPは地域で生み出すエネルギーを活用しながら、仮想の発電所を形成して電力や熱を地域内に供給する仕組みだ。電力会社から購入する電力量を減らすことによってCO2の排出量を削減する。

 VPPを構築する中核の技術には、竹中工務店が独自に開発したエネルギーマネジメントシステムの「I.SEM(アイセム)」を利用する。このシステムはビル内で消費するエネルギーの需要を予測したうえで、空調設備や照明設備の運転状態を制御して、エネルギーの需給バランスを最適化することができる。

節電した電力を売ってコスト削減も

 竹中工務店は東京本店ビルと同じ地区にある関連会社のTAKイーヴァックの本社ビル(地上4階建て)にI.SEMを導入して、2015年9月から実証を続けてきた。新たに実施する脱炭素モデルタウンではI.SEMの対象を3棟のビルに拡大して、各ビルに設置されている太陽光発電システムや蓄電池、電気自動車などを組み合わせてVPPを形成する。7月中にVPPの構築に着手する予定だ。

 VPPの仕組みを活用して「デマンドレスポンス」の実証にも取り組んでいく。デマンドレスポンスは夏の昼間などに電力の需給状況が厳しくなる場合に備えて、アグリゲータと呼ぶ事業者が電力の利用者に対して使用量の抑制を要請する地域ぐるみの節電対策である。今回のモデルタウンを対象にした実証では、東京電力グループの小売事業会社である東京電力エナジーパートナーがアグリゲータを担当する。

 デマンドレスポンスを通じてアグリゲータが集めた電力は「ネガワット(節電量)」と呼ぶ。政府は電力市場の自由化を促進するために、ネガワットの電力を事業者間で取引できる制度を2017年4月に開始する予定だ。デマンドレスポンスに協力した企業や家庭は節電量に応じた報奨金を受け取ることができる。CO2排出量と合わせてエネルギーコストの削減にもつながる。

 竹中工務店はVPPを中核に最先端のエネルギー技術を駆使した脱炭素モデルタウンの実証を続けながら、緑化システムや雨水活用技術も取り入れてCO2排出量の削減を進めていく。一連のシステムを10万平方メートル規模の街区に導入した場合、全体のCO2排出量を40~60%削減できる見込みだ。2020年までには遠隔地に建つビルまで対象に加えて導入効果を検証する。

最終更新:7月22日(金)6時25分

スマートジャパン