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五輪エンブレムに隠された黄金比、工学院大建築学部5周年イベントに野老氏ら登壇

リセマム 7月22日(金)16時15分配信

 7月21日、工学院大学は工学院大学建築学部開設5周年記念イベントを実施。新宿キャンパスにて、新しい情報発信のための展示スペース「KU-SITE(キューサイト)」の公開を行った。

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◆多くの人目に触れる場で情報発信

 新宿キャンパス校舎の地下は、新宿駅西口や都庁方面につながるコンコースに面している。KU-SITEは新宿キャンパスの地下コンコースに面した部分に設置され、同校の活動や研究成果などを展示するウィンドウスペースと、巨大なデジタルサイネージから構成される。KU-SITEは、このコンコースに沿った形で設置され、全長は11.3メートル。3つの区画に分かれており、中央は55インチの大型ディスプレイが3台設置されたデジタルサイネージ。両側は、実物の展示ができるショーケースになっている。

 公開に際し、工学院大学学長の佐藤光史氏は「新宿キャンパスの地下部分は、多くの人の目に触れる部分で、ここで大学のアピールや情報発信を行うのは平成元年の校舎竣工依頼の悲願でした。日本国内では初の建築学部を開設して5周年となるこのタイミングでようやく実現できました」と想いを語った。

 中央のデジタルサイネージでは、工学院大学4学部15学科の授業や研究成果、さまざまな取組みをコンテンツとして表示するだけでなく、新宿キャンパスだけではなく八王子キャンパスのようすも伝えたり、学内学生参加型コンテンツの発信も予定しているという。

 両サイドは展示スペースとなっているが、まずは八王子キャンパスの総合教育棟のファサード(建物の正面、広場などに面した部分)に利用された有孔折板(穴の開いた板を屏風のようにつないだもの)が展示されている。総合教育棟は創立125周年を記念して4年前に建てられたもので、設計は建築家であり東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授の千葉学氏。ファサードは、千葉氏の友人であるアーティスト野老朝雄(ところ あさお)氏がデザインしたものだ。野老氏は、2020年東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムに採用されたデザイナーでもある。

◆KU-SITE公開、完成披露対談で明かされたキャンパスデザイン秘話

 KU-SITE完成の記者発表では、記念対談として千葉学氏と野老朝雄氏によるトークセッションも開催された。司会進行・ナビゲーターは工学院大学建築学部建築デザイン学科教授の木下庸子氏が担当した。

 トークセッションでは、まず千葉氏が、映画「家族ゲーム」の1シーンを用いながら総合教育棟の設計をL型の建物4つを向かい合わせに並べた理由について説明。千葉氏によれば、「家族が一直線に横並びで食事をすることは現実にはない」が、現実の建物、団地、オフィスビル街はそのように整然と並んでいる。そこで、千葉氏は“繋がり”や人の集まり方から見た「大学の空間」を再解釈。「総合教育棟のデザインを考えたとき、教室どうしがお互いのようすを見渡せたり、場合によっては授業内容がわかるくらいの建物にできないかと思いました。」(千葉氏)

 L型の建物が決まったあと、広場に面した建物のファサードのアイデアが煮詰まったとき、千葉氏は古くからの知人である野老氏にデザインを任せたという。

 野老氏は「水玉に(当時)ハマっていて、丸い穴のあいた板をファサードのデザインに使うことにしました。数学はよくわからないが、算数レベルでわかる美しさに惹かれ、黄金比で形状を充填展開するデザインをいろいろ研究していたのです。総合教育棟のファサードでは、円を黄金比で配置したパターンを繰り返しで展開していくデザインとしました。このとき、有孔率が40%くらいになるように、穴の間隔が詰まりすぎないように10ミリという制限を設けています。結果として、不規則に見えるパターンでも、全体として一定の調和、安定感のある穴の配置になりました」と、依頼された当時のことを語った。

 なお、野老氏がデザインした2020年東京オリンピック・パラリンピックのデザインもよくみるとただの市松模様ではない。このファサードと同じ考えで、黄金比を計算された3種類の図形が配置されているそうだ。

 KU-SITE設置場所は、工学院大学新宿キャンパスの地下1階。アクセスやKU-SITEに関する情報は工学院大学Webサイトで公開中。

《リセマム 中尾真二》

最終更新:7月22日(金)19時29分

リセマム