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マッチプレーならでは駆け引き、あれこれ

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO) 7月22日(金)13時13分配信

ストロークプレーとは異なるプレー方式のマッチプレー。女子ツアーではあまり馴染みのないフォーマットには、独特の戦略や駆け引きが存在する。よく聞くのは“コンシード”、いわゆるOKに関するもの。前半は少し長めのパットにもOKを出し続け、ここぞというときにOKを出さないと、相手は戸惑い、焦りから外す確率が高くなる。そんな戦略が有名だ。

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ところで、相手にコンシードされた場合に「いや、私は打つ」と言って断ることはできるのだろうか?答えはノー。今週行われている米国女子ツアーの国・地域別対抗戦「ULインターナショナルクラウン」で、こんな場面があった。

渡邉彩香と鈴木愛が組んで、タイのアリヤ・ジュタヌガン、ポラニ・チュティチャイと対戦した初日。13番(パー4)で渡邉が2m半、鈴木が10mほどのバーディパットを残していた。一方のタイチームは、ジュタヌガンが3打目を2mにつけたところ。ここで、先にパットを打った鈴木の球は、カップまで約1mのところで止まった。

これを見たジュタヌガンは、パターでその球を拾い上げてコンシードした。「えっ?と思った」いう鈴木だが、その球が渡邉のライン上で止まっていたのですぐ合点がいった。渡邉にラインを見せないために、コンシードされたのだ。「やられたなと思った」という鈴木だが、ルールなのでどうしようもない。渡邉のバーディパットはカップに蹴られ、ジュタヌガンがパーパットを沈めたため、このホールはタイチームの思惑通りに引き分けに持ち込まれた。

もう1例。その数ホール前の10番(パー5)でのこと。渡邉が3打目を1m強のバーディチャンスにつけた一方、鈴木の3打目はグリーン手前のバンカーにつかまった。ここで、鈴木はバンカーショットを打たずに球をピックアップした。もし、このバンカーショットを直接決めればバーディなのに…と疑問に思ったが、これには鈴木たちなりの理由があった。

「あのバンカーは、左足下がりで距離も出さないといけなくて、さらにグリーンもピンに向かって下っていた。もしうまくグリーンに載せてもピンに勢いよく当たって入るような感じじゃないし、そもそも載せるのも大変な状況だった」と鈴木。だから、「打たなくていいですか?」と渡邉に聞くと、「いいよ」と言ってくれたのだという。

「嫌なイメージになるよりは(打たなくてよいと思った)」と、その場面を振り返った渡邉。「自分が(チャンスに)ついていなければ“打て”って言ったけど」と笑ったが、この場面はジュタヌガンと渡邉がともにバーディで引き分けた。結果的に、普段のストロークプレーとは違うルールをうまく使って、精神的、体力的な温存に成功した例と言えるだろう。(イリノイ州リバティビル/今岡涼太)

最終更新:7月22日(金)13時13分

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)