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社説[高江工事・訴訟再開]極まる政府の強行姿勢

沖縄タイムス 7月22日(金)5時0分配信

 名護市辺野古への新基地建設を巡り、政府と県は再び法廷闘争に突入する。
 政府は22日、埋め立て承認取り消しに対する国の是正指示に翁長雄志知事が応じないのは違法だとして新たな訴訟を起こす。21日に首相官邸で開かれた政府・沖縄県協議会で、菅義偉官房長官が翁長知事に伝えた。
 会合後、翁長知事は「非常に残念だ」と政府の対応を批判した。県は訴訟ではなく、あくまで話し合いによる解決を目指していたからだ。
 新基地建設を巡る代執行訴訟で、福岡高裁那覇支部が提示した和解勧告文は「沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべき」と円満解決に向けた協議を求めた。
 その後の総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」も、国の是正指示の適否を判断せず、「普天間飛行場の返還という共通の目標の実現に向けて真摯(しんし)に協議し、双方がそれぞれ納得できる結果を導き出す努力をする」ことが最善の道だとした。
 菅氏は21日の会見で「訴訟と協議の手続きを並行して進めるなど誠実に対応したい」と述べた。だが、法廷闘争と協議が両立するかは極めて疑わしい。政府は、もはや対話による解決を放棄したと言わざるを得ない。
 政府はキャンプ・シュワブ陸上部分の工事を再開する意向を示しており、何が何でも辺野古に新基地を造る、との強行姿勢ばかりが際立つ。「普天間飛行場の危険性除去」のためというより、「辺野古」そのものが目的化しているように映る。
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 同じ本島北部の東村高江でも、緊迫の度を増している。
 政府が22日に米軍北部訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設工事の再開方針を固めたことを受け、東村高江のゲート前で、建設阻止緊急抗議集会が開かれた。約1600人(主催者発表)が抗議のこぶしを突き上げた。
 県議会も初めて、ヘリパッドの建設中止を政府に求める意見書を与党の賛成多数で可決した。ヘリパッドで運用されるオスプレイの危険性や騒音を指摘し「自然環境や住民生活へ悪影響を及ぼす」と訴え、建設を「到底容認できるものではない」と批判した。
 抗議の声の高まりにもかかわらず、政府は県外から500人規模の機動隊を投入し、県道を封鎖する強硬手段で工事に着手しようとしている。ヘリコプターでの資材搬入も検討しているという。
 辺野古同様に政府のなりふり構わぬ手段は、異常だというしかない。
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 辺野古新基地と、高江の集落を取り囲むように計画されたヘリパッドに共通するのは、いずれも完成後はオスプレイが運用されることだ。
 高江では、先行して建設されたヘリパッド2カ所が使用され、今でもオスプレイの激しい騒音が住民生活に著しい影響を与えている。夜間の飛行や離着陸訓練で子どもたちの睡眠にも支障が出ている。
 政府は北部訓練場の過半の返還につながるとアピールするが、「負担軽減」とは到底言えるものではない。

最終更新:7月22日(金)12時30分

沖縄タイムス