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万が一の交通事故。その時『ドライブレコーダー』は、本当に役立つのか。保険会社に訊く!

レスポンス 7月22日(金)9時45分配信

ここ1、2年の間で、一気に装着率が上がっている、『ドライブレコーダー』。注目度の高まりに呼応して、新製品のリリースラッシュが止まらない。ところで…。実際のところ『ドラレコ』は事故後の処理に役立っているのか否か。その“程度”を知るべく、保険会社を取材した。

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ご協力いただいたのは、大手保険会社の1つ「損保ジャパン日本興亜」。同社を訪ね、保険金サービス企画部 自動車グループ 特命課長・磯部 崇さんと、損害調査企画室 第二グループ 調査課長代理・前田隆祥さんのお二方に、じっくりとお話を伺ってきた。


■『ドライブレコーダー』があれば、すべてが一目瞭然に。

単刀直入にお訊きした。『ドライブレコーダー』は事故後の処理に役立っているのだろうか。

[磯部さん]「相当に役立ちます。相手のある事故では、意見が食い違うことも多々あります。信号の色がどうだったのか、速度は何キロ出ていたのか、寄った寄らない等々、誰かが見ていないとわからないことばかりです。とはいえ、目撃者を探すことは容易ではありません。しかし、『ドライブレコーダー』があれば、すべてが一目瞭然です」

[前田さん]「例えばこんなケースがありました。片側3車線の道の中央の車線を走行していたお客様が、左側の車線を走っていたクルマに体当たりをされたんですね。事故後に相手の方は、“真っ直ぐ走っていた”の一点張りでした。しかし『ドライブレコーダー』の映像によって、相手の方が横からぶつかってきたことがはっきりと証明できました。最終的に、お客さまの運転に落ち度がないことが判明しました。映像がなければ、スムーズな解決は難しかったと思います」

ちなみに、前田さんのお仕事はまさに、“事故後の調査”、とのことだ。

[前田さん]「社内に調査専門の部署を持っていることも当社のストロングポイントだと自負しているのですが、『ドライブレコーダー』の映像がある場合には、事故後の調査を的確かつ迅速に行うことが可能です。

なお今では、『ドライブレコーダー』の映像解析にも、多くのノウハウを積み上げられています。走行速度のデータが付加されないタイプの映像であっても、画面を流れる車線の速さから走行スピードを計算できますし、前方を横切るクルマにおいても、映っている時間と、前輪から後輪までの長さから、速度を割り出すことが可能です。

必要なときには、事故状況を解析するためのシミュレーションソフトも用いています。『ドライブレコーダー』の映像を元に、別の視点の映像を再現することもできるんです」

そのシミュレーション映像を実際に見せていただいて驚いた。事故の状況を、俯瞰で描いたアニメーションがパソコン画面に展開されていたのだ。『ドライブレコーダー』による事故状況の解析が、ここまで進歩していたとは…。


■ユーザーの“意向に沿う”ためにも、『ドラレコ』の映像は非常に有効。

ところで、このような詳細な分析を行う、その心はどこにあるのだろうか。処理スピードを速めるためなのか、または、支出を抑えるためなのか…。

[磯部さん]「少なくとも、支出を抑えるため、という観点はありません。事実を正しく把握できれば、その後のことは自ずと決まってきますから。それはコントロールすべきことではないんです。

私たちがもっとも重要視しているのは、“お客様に寄り添う”ことです。裁判官のような客観的な視点を持つことも大事なのですが、それ以上に私たちは、お客様の味方でありたいと考えています。その事故についてお客様がどのように思われているのか。それを裏付けるさまざまな証拠を集めて、意向に沿った形で解決していくことを旨としています。

ただし、場合によってはお客様が考えていることと、状況が異なっているケースもあり得ます。その場合でも、お客様が納得できるかどうか、ここに力点をおいて検証を進めていきます。

社内に調査専門の部署を置いているのも、“お客様に寄り添う”ためです。外部の調査会社に任せると、そうはいきませんね。事務的になりがちですから。社内のスタッフであれば、“お客様の立場に立つ”という視点が持てるんです」


■現代の『ドラレコ』に求められるスペックとは…。そして『ドラレコ』による保険料の割引は…。

さて、昨今の『ドライブレコーダー』はハイスペック化が進んでいる傾向にあるのだが、事故処理のスペシャリストから見たときの必要なスペックとは、どのようなものなのだろうか。

[前田さん]「高画質化が進んでいますが、パソコン画面の大きさの中である程度しっかりと映像が確認できれば良いので、スタンダードな機種で十分、映像のクオリティは確保されていると感じています。かつては、1秒間に撮影できるフレーム数がLED信号機の点滅回数とシンクロしてしまい、信号機の色が映らない機種もありましたが、現在はそのようなモデルもかなり減っているようですね。

差が出るのは、暗がりでの映像の鮮明さです。それが確保されている機種ならば、もしものときの頼りになる度合いが高くなると思います」

ところで、『ドライブレコーダー』がここまで力を発揮できているのであるのなら、“ドラレコ割り”等のサービスがあってもいいように思うのだが、現状はどうなのか。

[磯部さん]「一般の方に向けた商品では、現状はそのような割引サービスの設定はございません。しかし、事業者に向けた商品の中には、『ドライブレコーダー』の貸与をパッケージした、安全運転を支援するサービスをご用意しています。

“スマイリングロード”というサービスです。通信機能の搭載された『ドラレコ』から走行データを収集し、ビッグデータ解析により安全運転支援を行うことで、万が一の事故の記録が残せることに加えて、事故防止の効果も得られます。リアルタイムでの運転状況が把握でき、ドライバーに的確で効率的な指導が行えるようになります。同時に、ドライバーの安全運転への意識も高まります。

これを全車両に導入いただくと自動車保険料が5%割引きになり、さらには、同サービスによって事故が少なくなり、結果、2年後、3年後と、割引率が上がりお支払いただく保険料が安くなる効果も期待できます。実際、『スマイリングロード』をお使いいただくことで事故率が下がることは、データとして現れていますから。当サービスにおいて『ドラレコ』は、“何かあったときの保険”という役割と、“日々の運転を見直す”という2つの役割を発揮してくれるんですね」


■『ドライブレコーダー』は、“自身を守る保険”の1つ。

最後に、お二方から以下のようなメッセージをいただいた。

[前田さん]「事故は、コンマ2秒ほどの瞬間に起こります。何が起こったのか分からない、というケースがほとんどです。しかし『ドライブレコーダー』があれば、その瞬間を克明に記録することが可能です。ご自身を守る、保険の1つだと考えていただきたいですね。お客様は悪くないのに、それを証明することが難しい場合もあり得ます。『ドラレコ』があれば、それを証明できるんです。より多くの方に装着していただきたいと思っています」

[磯部さん]「ただし、『ドライブレコーダー』の映像ですべての過失割合が決まる、ということではありません。そうであるならば、自分たちが居る意味がありません。映像を活かしながら、お客様に寄り添って事故を解決していきたいと考えています。


いかがだっただろうか。お二方のお話を聞きながら、『ドライブレコーダー』の必要性をつくづく実感した。これをまだ装着していないという方は、万が一のときの安心感を高めるために、導入を検討してみてはいかがだろうか。あって困るものではないことは、確かだ。

(取材協力/損害保険ジャパン日本興亜株式会社)

《レスポンス 太田祥三》

最終更新:7月22日(金)9時45分

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