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藻類が作るバイオプラスチック原料、生産能力アップに成功

スマートジャパン 7月22日(金)13時10分配信

 明治大学、神戸大学、理化学研究所などの共同研究グループは2016年7月20日、ラン藻の水素を合成する酵素の改変により、バイオプラスチックの原料であるコハク酸と乳酸の増産に成功したと発表した。

 生物資源から作るバイオプラスチックは、化石燃料を使わずに製造できる新しいプラスチックとして注目が集まっている。ラン藻はシアノバクテリアとも呼ばれる光合成を行う細菌で、光合成の過程でCO2を取り込み、バイオプラスチックの原料となるコハク酸や乳酸などの有機酸を合成する特徴を持つ。研究グループではシネコシスティスという種類のラン藻で研究を進めてきた。これまでにラン藻を密閉し低い酸素濃度の環境(嫌気・暗条件)で培養を行うと、有機酸を細胞外に放出することを明らかにしている。

 今回の研究の目的は、ラン藻の有機酸の生成能力を高めることだ。そこで研究グループが着目したのがラン藻の特徴である水素生産能力である。ラン藻には還元力(対象物質に電子を与える能力)を使い、水素を合成する性質もある。一方でバイオプラスチックの原料である有機酸を合成する際にも、この還元力を使っている。つまり有機酸と水素は、細胞内の還元力を奪い合う「競合関係」にある。そのため水素の生産能力を低下させれば、有機酸の合成能力が高まるのではないかという狙いだ。

 ラン藻はヒドロゲナーゼという酵素によって水素を合成している。そここで研究グループではヒドロゲナーゼを構成するHoxHタンパク質の遺伝子であるhoxHを破壊することを試みた。hoxH遺伝子は完全に破壊せず、hoxHの転写産物量を40%減少したhoxH変異株を取得した。これにより水素生産能が20%近く低下することを確認したという。

 次に水素生産能力を下げたラン藻のhoxH変異株の有機酸の生産能力を調べた。すると野生株と比較してコハク酸量が約5倍、乳酸生産量が約13倍に増加することが分かった(図1)。研究グループでは今後、CO2からコハク酸、乳酸への変換効率を高めていくとともに、生産物の純度やラン藻培養の効率化、低エネルギー化、生産物の効率的な回収・精製方法の開発など、多角的な研究開発が必要になるとしている。

最終更新:7月22日(金)13時10分

スマートジャパン

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