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内陸に建設する国内初の火力発電所が着工

スマートジャパン 7月22日(金)11時25分配信

 今後の成長分野として電力事業を拡大する神戸製鋼所が栃木県の真岡市(もおかし)で「神鋼真岡発電所」の工事を6月から進めている。太平洋沿岸から50キロメートル以上も離れた内陸部にあり、国内で初めて内陸型の火力発電所を建設するプロジェクトとして注目を集める。

 真岡市内の工業団地にある9万平方メートルの敷地に、都市ガスを燃料に利用する最先端の火力発電設備を導入する計画だ。現在の火力発電で最高の効率を発揮するコンバインドサイクル方式を採用するほか、発電に利用する水を空冷式で循環させることによって内陸の立地条件に適応させる。

 1基あたりの発電能力は62.4万kW(キロワット)で、2基で構成する。1号機を2019年の後半に、2号機を2020年の前半に稼働させる予定だ。合わせて120万kWの電力を東京ガスに販売する契約を締結している。燃料の都市ガスは東京ガスが太平洋沿岸のLNG(液化天然ガス)基地からパイプラインで供給する。

 コンバインドサイクル方式はガスを燃焼させて発電した後に、排熱を使ってボイラーで水を蒸発させて蒸気タービンでも発電することができる。神鋼真岡発電所に導入する蒸気タービンは高圧・中圧蒸気と低圧蒸気を併用する2段構成である。発電効率は現在の火力発電技術では最高水準の60%程度になる見込みだ。

 発電後の蒸気はファンで冷却して水に戻してから、再びボイラーで蒸発させる空冷式を採用した。従来の臨海地域に建設する火力発電所では海水を使って蒸気を冷却する水冷式が一般的だ。冷却に使った後の海水は海に戻す仕組みになっている。しかし内陸型の場合には大量の水を利用することがむずかしいために、空冷式の復水器を使って水を冷却して循環させる必要がある。

 神戸製鋼所は2013年3月に神鋼真岡発電所の環境影響評価の手続きを開始して、3年強の期間をかけて2016年5月に手続きを完了した。発電所の運転開始後も大気中に排出するガスの窒素酸化物の濃度を常時監視するほか、排水設備から出る水質を月に1回以上の頻度で測定する。

東京ガスの300万kW供給計画に貢献

 神鋼真岡発電所の電力はプロジェクトを開始した当初の計画では東京電力に供給することを想定していたが、2014年3月になって東京ガスに全量を販売することで合意した。小売全面自由化を機に電力事業の拡大を目指す両社の思惑が一致した結果だ。

 東京ガスは2020年に首都圏の電力需要の1割に相当する300億kWh(キロワット時)の販売目標を掲げて、営業体制と合わせて供給力の強化に取り組んでいる。2020年までに300万kW(キロワット)の電源を開発する計画で、神鋼真岡発電所が加わると280万kWに達する。

 さらに2017年4月に始まるガスの小売全面自由化に向けて、都市ガスの供給ルートの増強も進めている。従来は東京湾岸のLNG基地を中心に供給エリアを展開してきたが、新たに北関東にも広げる。茨城県の太平洋沿岸部に「日立LNG基地」を建設して2016年3月に稼働させた。このLNG基地から栃木県の真岡市までパイプラインを敷設済みで、高圧の都市ガスを供給できる状態になっている。

 東京ガスは神鋼真岡発電所に続いて、神奈川県で運転中の「川崎天然ガス発電所」を増強する計画にも着手した。東京ガスグループが湾岸地域で運営する4カ所のガス火力発電所の1つで、現在の発電能力は84万kWである。新たに55万kWの発電設備2基(合計110万kW)をコンバインドサイクル方式で増設して、2021年をめどに運転を開始する予定だ。自社と他社の火力発電所を組み合わせて供給力の拡大を急ぐ。

最終更新:7月22日(金)11時25分

スマートジャパン