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辺野古提訴、高江着工、同日に 政府「やると言ったらやる」 参院選後、民意無視で「最短日程」強行

琉球新報 7月22日(金)12時0分配信

 21日の政府・沖縄県協議会で、名護市辺野古の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事を22日に提訴すると伝えた政府。代執行訴訟に続き再び法廷闘争に入る。翁長知事は協議会で、国地方係争処理委員会の判断を尊重し、訴訟よりもまず、問題の根本解決を目指した協議を求めたが、菅義偉官房長官は県への提訴で返した。地方自治法で国が提訴できるのは22日からで、国側は一歩も譲らない姿勢で“最短日程”の提訴に踏み切る。併せて22日は東村高江周辺のヘリパッド建設工事にも着手し、さらに近く辺野古陸上部の工事も再開予定で、強硬ぶりをあらわにしている。

 政府の提訴方針に「大変残念だ」と批判した翁長知事。福岡高裁の和解勧告も、続く係争委の決定も、国と県の「円満解決」へ「真摯(しんし)な協議」を求める内容だったと強調。言葉を重ねて「間違いなくそういう趣旨だった」と記者団に語気を強めた。

■膝詰め協議なく

 対する政府は今後は法廷闘争と「両輪」で協議すると説明するが、双方に協議を求めた福岡高裁の和解勧告や係争委の決定の後も、担当閣僚らが翁長知事と膝詰めで話し合う時間はほとんどなかった。

 福岡高裁での和解が成立したのはことし3月4日。その後4カ月半の間に、知事と関係閣僚が話し合う政府・沖縄県協議会は2回あったが、開催時間は合計で45分弱。県は今後、政府と進める協議の密度は「裁判の日程次第だろう」とみている。ただ国の違法確認訴訟は、年末から年明けには最高裁判決を迎える見通しだ。

 そうした中、政府は提訴と併せて一気呵成(かせい)に高江ヘリパッド建設と辺野古の陸上工事を再開する。激しい抗議運動が予想される中、政府は県外から約500人の機動隊を投入する。高江ではゲート前の抗議で作業が膠着(こうちゃく)する場合に備え、ヘリコプターで資機材を運搬する作業工程まで県に申請した。政府関係者は「国は物量で圧倒している。やると言ったらやる」と話す。

 県幹部は辺野古新基地や高江ヘリパッドの建設に反対する伊波洋一氏が大勝した翌日に政府が高江の工事に向けた資機材を搬入し、県に関係書類を提出したことと、22日の提訴に触れ、「準備万端だ。沖縄の事情や民意は考慮しないということなのだろう。まさに『粛々』という感じだ」と批判した。

■本気度を値踏み

 辺野古新基地建設を巡り再び法廷闘争に入り県と政府の緊張が高まる中、迫る高江のヘリパッド強行。県外からも機動隊を大量投入して強行突破しようとする政府姿勢に、県側は「不測の事態が起きたら大変なことになる。国は本気でやるのか」(幹部)と衝撃を受けている。

 県幹部は「県はヘリパッド移設を条件に北部訓練場の過半を返還するSACO(日米特別行動委員会)合意は認めている。オスプレイがあるからもろ手を挙げて賛成はできないが」とあいまいな知事姿勢を説明する。

 21日の政府・沖縄県協議会では、翌日の高江ヘリパッド着工が既に大きく報じ続けられる中だが、翁長知事も菅氏もこの話題に触れることはなかった。防衛省幹部は「知事もヘリパッドは反対できないだろう。返還と、その後のやんばるの国立公園化を否定はできないはずだ」と述べ、「容認できない」とする知事の本気度を値踏みする。協議会後、政府高官は「知事は(高江に)反対しなかった。だんだん信頼関係もできてきた」とほくそ笑んだ。

 だが「反対」の表明でSACO合意の全体像までを壊したくはない県幹部は、政府からの揺さ振りに「悩ましい」とつぶやいた。(島袋良太、仲村良太)

琉球新報社

最終更新:7月22日(金)12時0分

琉球新報