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出世する人としない人の差は、微差であり、その微差こそが大差になる

ITmedia ビジネスオンライン 7月22日(金)8時24分配信

※この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。

「うまくやっている人は、なぜうまくやれているか? それは、うまくやれるようにやっているからだ。ダメになる人は、なぜダメになっているのか? それは、ダメになるようにやっているからだ」

という言葉があります。

 読んでみて、どう感じましたか?

 先入観をなくすため、あえて誰の言葉かを伏せてみました。

 この言葉、誰のものかを知らせずに伝えると、あまりにも当たり前のことを言っているので、「それで、何?」という反応が多いのですが(苦笑)、改めてよくよく噛みしめて読むと、奥深さが伝わってきます。

 実は、松下幸之助さんの言葉です。

 つまり、成功する人やうまくやれる人は、成功し、うまくいくような原理原則に則って行動しているということなのです。原理原則というのは、「時間に厳しい」とか、「約束は必ず守る」とか、「感謝の言葉を忘れない」とか、一般的によく言われていることです。

 この原理原則とも言える当たり前のことがなかなか出来ないのが人間です。いつも失敗する人はやはり同じような原因で失敗します。逆に、成功する人は、どんな分野であろうとも成功します。

 成功するための原理原則を守っている人というのは、たまたま運悪く、事業を失敗させたとしても、また別の分野で必ず何かを成し遂げていきます。そして、その成功の要因は、極めて真っ当な方法だったりします。「成功や成長には、奇手はなし」との格言どおり、原理原則に則った基本的なやり方が重要なのです。

 スポーツのトレーニングにも言えますが、我流、自己流、マイウェイは、途中で伸びが止まってしまいます。スポーツで成果を上げる最良の方法は、その分野でトップを走り、成果を出している人を徹底的に分析し、まねをすることだと言われています。

 「うまくやっている人のうまくやれるようにやっている」方法を徹底的にまねることが、自分を成長させ、成功に導く正攻法の学び方になるのです。

 Amazonにはカスタマレビューのコメント欄がありますが、有名なビジネス書のコメントを読むと、「当たり前のことしか書いていない」という人が結構いたりしますが、これなども、見方を変えれば、「原理原則は普遍的なもの」だということに他なりません。

 試しに、1859年にイギリスで発行されたサミュエル・スマイルズの『自助論』(日本ではかつて『西国立志編』とも呼ばれていました)を読んでみるといいと思います。「天は自ら助くる者を助く」という序文が有名な本で、当時の欧米人300人以上の成功談を集めたものですが、150年以上も前の本にもかかわらず、今のビジネス書と通じるものが多く、成功するための原理原則は、古今東西、変わらないものだと改めて思い知らされます。

 ビジネスの原理原則で、人との信頼関係を築くために大事なことを選ぶとすると、先にも書きましたが、「時間を守る」が挙げられます。

 この「時間を守る」行為は、私たちの日常の中で何度も出てきます。「始業時間は○時○分から」「○時から会議が始まる」「○時のアポイントに伺います」「○時に集合してください」「○時に待ち合せね」「○分後に折り返しの電話をします」などなど、組織の中で働く場合、私たちは1日にかなりの数の時間の約束を交わしているはずです。

 時間にルーズな人というのは、「あの人はいつも時間に遅れるね。どんな約束をしても守られたためしがないよ」と常に信頼を失う人であり、時間に厳格な人は、「あの人はどんな時でも時間を守る。いい加減なところが全くないよ」と誰からも信頼されます。

 つまり、時間の約束という小さな積み重ねが、ほかのすべてにも通じているのです。

 人事考課で能力を評価する場合に、S判定(非常に優れている)、A判定(優れている)、B判定(人並みに普通)、C判定(やや劣っている)、D判定(劣っている)というような段階評価を用いる企業が多いのですが、常にS判定の高評価を獲得できる人とD判定の烙印を押される人との差というのは、意外にもちょっとした差だったりします。

 「何が何でも時間は守らなくては」と思う人と、「少しくらい時間に遅れたって構わない」と思う人との違いは、ちょっとした意識の違いですが、この差こそが評価の決定的な差につながってくるというわけで、「微差が大差」とは、まさにそういう意味なのです。

 『出世する人、しない人の1ミリの差』(きこ書房)は、ホチキス止めのたった1ミリの差を引き合いに、評価される人とされない人の差を52のポイントで解き明かしています。

 時間への意識と同様に、「1ミリでもキッチリ揃えなくては」と思う人と、「1ミリくらいどうでもいい」と思う人の、その1ミリの差こそが、すべての仕事に通じるということです。

 S判定とD判定の分岐点は、ちょっとした差です。だからこそ、意識と行動を少し変えれば、D判定からS判定に一気にジャンプアップすることも不可能ではないのです。

(田中和彦)

(ITmedia エグゼクティブ)

最終更新:7月22日(金)8時24分

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