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【レポート】進化を続けるLive2Dの現状と未来…「2Dと3Dのいいとこ取りを目指す」

インサイド 7月23日(土)12時0分配信

Live2Dは「好きなように描き、好きなように動かす」をモットーに開発・提供されているグラフィックミドルウェアです。PSDなどで描かれた2Dデータを読み込み、個々のパーツに平面ポリゴンを張り付けて、2Dモデルとして再構築。多彩なアニメーションの追加でキャラクターの表現力が向上でき、多くのアドベンチャーゲームやスマホゲームなどで使用。インサイドでも、マスコットキャラクター「インサイドちゃん」のLive2Dモデル+FaceRigデータを配布しています。

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そのLive2Dの中核となるのがCubism Editorで、昨年9月に2.1にバージョンアップ。「PSDデータとのさらなる連携強化」「変形のリセット」「曲面デフォーマ分割数の拡張」「クリッピングマスク」など、30以上の機能が追加されました。Cubism SDKの側もUnity、OpenGL、DX9、DX11、さらにはWebGLにも対応しています。


Live2D・小野康幸氏

一方でLive2Dファミリーに、別のコンセプトを持つ技術「Euclid」が加わろうとしています。Live2Dで描かれたキャラクターの頭部と、既存の3DCGによる身体を組み合わせて表示するもので、VRゲーム対応などへの可能性を提示しています。CubismとEuclidの関係性、そして両者の未来とは。GTMF2016で同社の小野康幸氏が「Live2Dの現状と未来」と題して最新情報を共有しました。

講演の前半ではCubism3.0のアップデート情報が開示されました。ベータ版が夏から秋にかけてリリースされる予定で、これにより作業効率が一気に向上することが期待されます。

【Cubism Editor】
1. マルチビューへの対応


2.1まではモデラーとアニメーターが完全に独立しており、それぞれの作業でプレビュー画面が切り替わっていました。そのため全体を見据えた調整が難しいところがありました。3.0で両者が一つに融合し、1つのプレビュー画面ですべてを管理できるようになります。エディター間でのデータの受け渡しもなくなります。

2. グルー実装


2.1までは「ひじ」「ひざ」など、大きな動きをする間接部分で描画オブジェクト間のつなぎ目がずれやすく、数ピクセル単位での職人的な調整が必用でした。これが3.0では「グルー」機能が加わり、任意の描画オブジェクトを自動で接続できるようになります。パラメータの設定数が大幅に減少し、口パクの調整まで直感的に設定可能です。

3. 楕円での補完


2.1まではオブジェクトを回転させる際、頂点から頂点に線形補完が行われていたため、回転デフォーマを使用する必要がありました。これが3.0では楕円で補完できるようになり、回転デフォーマに依存しない回転表現が可能になります。これは後述する「Euclid」にも搭載されています。

4. パラメータパレット


各パラメータパレットの並びをドラッグ&ドロップで変えられたり、複数のパレットをグループ化できるようになります。他に動きの部分テンプレート、デフォー間の再利用、作業ミス防止機能の強化なども盛り込まれる予定です。


【Cubism3.0 SDK】
SDKでは主にUnityとの機能強化が説明されました。SDKのコンポーネント化によって、必要なときに必要な機能だけ追加できるようになります。Unityへのデータインポートにおいても、専用のキャンバスを用意したり、resourcesフォルダ内のパスを指定することなく、プレハブとしてコンバートするエディター拡張プラグインが登場。Cubism editorで作成したオブジェクトをシーンにドラッグ&ドロップするだけで作業が可能になります。



UNITYのアニメ機能であるMechanimにも正式対応します。これにより状態遷移を使った自由な設定が可能になりました。Unityのモーションブレンドや、アニメーションの途中でイベントを発行できるようにもなります(これにより、モーション再生の途中から音声再生をするなどの演出が可能です)。オブジェクトと同じく、Live2Dのアニメーションファイルをユニティのアニメーションクリップに変えるコンバーターも用意される予定です。

◆VRで原画の魅力を活かした3Dキャラクターを実現する「Euclid」の概要

講演の後半では「Live2d Euclid」の機能紹介も行われました。Cubismが1枚の原画からスタートし、動きをリッチに見せる方向性で開発されたのに対して、Euclidは当初から3D空間内で活用することをコンセプトとしています。小野氏は「書きたいように書き、動かしたいように動かすLive2Dの基本理念は踏襲しつつ、EuclidはCubismとは異なる方向をめざす」と語りました。



この理念を体現するのが、alive2016で発表されたバーチャルキャラクター「Yui」です。「左右対称、アニメ塗り、単純な髪型」という限定的な状況ではあるものの、Live2Dではじめて上下左右360度の表現が実現できました。EuclidはCubismと同じく、エディターとSDKの組み合わせで構成されています。小野氏は下記の機能紹介を行いました。

【Euclid Editor】

1. 概要


Euclid EditorではCubism3.0と同じくモデリング+アニメーションが一つのエディタに統合され、直感的に作業ができます。頭部は前後・側面・斜め4方向の合計7枚の原画を元に構成され、前後のレイヤーで挟み込むようにビルボードとして配置されています。エディタ上に頭と体を両方読み込んでプレビューしたり、アニメーションの確認も可能です。現在はmayaのfbxデータに対応しています。

2. 揺れモノの設定


3Dのジョイントを設定し、オブジェクトをゆらすことができます。動きの範囲はCubismと同じくパラメータで制御されますが、平面と異なり空間では非常に多くのパラメータが必用になります。そのため髪揺れなどへの対応が難しいのが現状とのこと。今後も研究開発を続けていきたいとしました。将来的にはジョイントを使用せず、Euclid Editor内で設定できるようにするとのことです。

3. psdとの連携強化


Euclidでは複数枚のPSDデータを使用することが前提になっているため、管理のしやすさが求められます。そこでpsdとの連携機能を強化。レイヤー単位でポリゴン分割を可能にしたり、再インポート時にレイヤーの増減が視覚的にわかるなどの仕組みが導入されます。他にpsdへのエクスポート機能も実装される予定です。Euclidではキャラクターの立体化に伴い、頻繁に描き足し作業の発生が見込まれるため、エクスポーターの実装で作業フローをシンプルにしたいと語られました。

4. 効率化機能


ミラーリング機能の強化により作業効率の向上が図られます。具体的にはキャンバス基準に加えて、パラメータ基準でのミラーリングや、オブジェクト同士での反転も可能になります。他にスクリプトを用いた効率化も検討中で、現在社内でデザイナーむけにPython講習会を実施中だと語られました。

【Euclid SDK】


SDKではCubismと同様にUnityむけの対応からスタートし、Unreal Engineへの対応も予定しているとのことでした(遅れているUnreal EngineむけCubism SDKについても、鋭意開発中とのことです)。他にVRではHTC Vive、Oculus Rift、PS VRの三機種に対応予定。Cubism2.1で作成した資産についても、できるかぎり対応していくことや、Windows版だけでなくMac版への対応も予定。他にCubsimユーザーとのセット割りや、フリー版の公開も検討中とされました。

「3Dでは表現しきれない表現があるからこそLive 2Dがある」と語る小野氏。今後も「2Dと3Dのいいとこ取り」をめざして研究開発を進めていき、将来的にはキャラクターの全身すべてをLive 2Dで表現していきたいといいます。中でも注目のEuclidは、クロースドβ版が近々配布予定とのこと。3Dゲームで原画のタッチを活かした、活き活きとしたキャラクターが登場する日を期待しましょう。

最終更新:7月23日(土)12時0分

インサイド

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。