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「緩い話」評判に 新報短編小説賞受賞者・荷川取さん

琉球新報 7月23日(土)5時0分配信

 【宮古島】「第33回琉球新報短編小説賞」を受賞した荷川取雅樹さん(49)=宮古島市平良=がこのほど、短編小説集「マクラム通りから下地線へ、ぐるりと」を自費出版した。「私小説のようなもの」と銘打って、荷川取さんの青春時代をしたためた7短編などを収録している。市民の間に静かな評判を呼び、増刷が相次いでいる。

 荷川取さんは高校時代に交通事故に遭って中退した。以来、生活には車いすが欠かせない。2000年から小説を書き始め、06年に「前、あり」で「第33回琉球新報短編小説賞」を受賞した。荷川取さんは「もともと本を読むタイプではなかったが、事故に遭って暇だから読書をするようになった。ケガの功名」とあっけらかんとしている。

 新著はもともと出版する予定ではなかった。同級生に向けて昔の思い出を小説にしたところ、この同級生がフェイスブックに小説を投稿した。すると、投稿を読んだ市内の図書館関係者から「図書館に所蔵したいので、本にする予定はあるか」と問い合わせがあった。

 問い合わせを受け、今年の2月に初版5冊のみを自費出版した。その後も口コミで評判が広がり、今では約100冊を刊行するほどに。荷川取さんは「70~80年代の緩い話だが、同級生だけでなくていろんな人の評判が良くてびっくりしている」と意外な様子だ。

 荷川取さんは宮古島で実際にあった事件をモチーフにしたミステリー小説も出版する予定。「賞を受けようとか野心はなく、緩く書き続けたい」とひょうひょうと語った。

 新著は千円(税込み)で販売。問い合わせはプラネット(電話)0980(73)7569。

琉球新報社

最終更新:7月23日(土)10時31分

琉球新報