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<マンガ質問状>「漫画訳 雨月物語」 「鈴木先生」作者が古典をマンガ訳 時空を超えたコラボ

まんたんウェブ 7月24日(日)13時30分配信

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、「鈴木先生」などの武富健治さんが、上田秋成の古典をマンガ化した「漫画訳 雨月物語」です。PHP研究所エンターテインメント出版部編集2課の伊丹祐喜さんに作品の魅力を聞きました。

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 --この作品の魅力は?

 「雨月物語」というと、古典の授業や溝口健二さんの映画などでタイトルだけは知っているけれど内容はどんな話だっけ?という方は多いかと思います。9編の怪異幻想的なお話で構成された短編集です。改めて読んでみるとそれぞれの話が実にバラエティーに富んでいるんです。例えば「白峯」は保元の乱で政争に敗れ、その悔しさのあまり成仏できずに魔王となった崇徳天皇の霊を西行法師が慰めるという歴史伝奇(?)ものです。「菊花の約」は義兄弟の絆の深さを描いたある種の“BL”もの、「蛇性の婬(じゃせいのいん)」は蛇の化身と美男子の悲恋で“人外もの”ですし、「青頭巾」は“BL&カニバリズム”だったりと現代のマンガのモチーフとして魅力的なものばかりです。

 しかし、マンガにしにくいディスカッション(議論劇)場面の多い短編もあり、これまでのコミカライズの多くの場合は、議論シーンの多い短編はまるまるカットして、ストーリー的に面白味のあるものだけをピックアップしたり、ロジカルな部分はカットして、物語の筋だけを抽出して描き上げるのが通常でした。著者の武富先生は、「鈴木先生」という思想・議論マンガを描いた経験を生かし、こうした、マンガとして再現しにくい部分をも、むしろ魅力として生かし、原作を総合的に踏まえつつ、全9編をマンガとしても十二分に面白いものに仕上げようというコンセプトでコミカライズ=マンガ訳に挑戦されました。古典文学のコミカライズというジャンルにとって、画期的なものになったのではないかと思っています。

 --作品が生まれたきっかけは?

 あれは8年前……。遠い目(笑い)。弊社のコミックの部署が立ち上がって何かお仕事をお願いできないかと思いお会いした時です。雑談の中で武富先生が同人誌で描かれていた「蟲(むし)愛ずる姫君」(堤中納言物語)に話がおよび、「じゃあ古典のコミカライズで何か……『雨月物語』なんかどうでしょう?」「いいね! それ」みたいな話になり、ちょうど先生も原作ものを何作か並行してやれたらと、お考えだったようでスタートしました。

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最終更新:7月24日(日)13時30分

まんたんウェブ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。