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人気うなぎ登り! 石田三成は豊臣家の学級委員長キャラ

ITmedia ビジネスオンライン 7月23日(土)8時20分配信

編集部F: 前回の連載で取り上げた豊臣秀次、先週(7月17日)の放送で衝撃的な最期を遂げましたね……。

【三成タクシー】

小日向えり: 涙なしには見られない、これまでで一番切ない回でした。謀反(むほん)の疑いで切腹させられたというのが「秀次事件」の通説ですが、ドラマでは追いつめられて自害という風に描かれていましたね。真田信繁が秀次の娘をめとる流れも含めて、制作陣の演出には唸らされました。

編集部F: そして、逆上した豊臣秀吉が、秀次の妻や子など一族を処刑しました。真田丸の中では石田三成が諌めようとしましたが、聞く耳を持たず、蛮行におよんだわけです。腹心といえども、三成の役回りはさぞかし辛かっただろうと思います。

小日向: 本当にそうですよね……。関ヶ原の戦いで徳川家康に負けた大将ということで、これまで長い間、三成は虐げられてきましたが、最近それが見直されつつあります。私は大好きな武将ですし、人気も上がってきています。例えば、滋賀県とコラボレーションしたCMが作られて、ネット上でバズりましたしね。真田丸で山本耕史さんが演じることで、さらに注目が高まっていると思います。

編集部F: 小日向さんが三成を好きな理由は?

小日向: 司馬遼太郎さんの小説『関ヶ原』を読んだのがきっかけです。その後、ドラマ化されたものを見て、加藤剛さん演じる三成が実直な武将として描かれていたので、さらに好感度が増しました。はまりにはまって、彼に関する史跡はすべて巡りましたよ!

編集部F: めちゃめちゃ大ファンですね! 世の中的にも三成の評価が変わってきているとありましたが、そのきっかけは何でしょうか?

小日向: うーん、やはりゲームやアニメの影響は強いと思います。KOEIの「戦国無双」シリーズでもイケメンに描かれています。そこから興味を持って歴史ファンになった歴女もいると思います。あるアンケート調査によると、歴女が好きな武将ランキングで、真田幸村に次いで三成の名が挙がっていますね。

 今年3月には滋賀県彦根市で「三成フェス」というイベントが開かれて、私もパネルディスカッションに登壇しました。今、長浜市、米原市、彦根市エリアでは「三成タクシー」が運行していて、それに乗ってイベント会場まで行ったのですが、三成ファンの歴女たちも三成タクシーに乗って史跡を巡る旅が人気なのですよ。

編集部F: へえ、三成タクシーってどんなものですか?

小日向: えっとですね……(スマホを取り出して)これです。「戦国無双4」に登場する三成のキャラクターをあしらった特別車両で、今3台あるみたいです。

編集部F: 三成と言えば、3杯のお茶のエピソードが有名ですよね。

小日向: 三献茶ですね。ある日、秀吉が鷹狩りの帰りに大原観音寺(米原市)に立ち寄った際、寺の小姓だった三成が1杯目に大きめの茶碗でぬるいお茶を、2杯目に少し小さめの茶碗でやや熱いお茶を、3杯目には小ぶりの茶碗で熱いお茶を出して、秀吉は三成の心遣いに感じ入り、家臣として召し抱えたという逸話です。

 ほかにも三成を知るエピソードとして面白かったのは、太閤検地で使用するモノサシの両端に「治部少輔」(三成の官位)と書いていたことです。自分の名前をモノサシに書くのも、それを両端に書くのも細かいなと思いました。本当に神経質な性格だったのでしょう。

 そういう意味で、3回に分けてお茶を出したという三献茶の話も三成の細かさを象徴していますよね。これは作り話と言われていますが、たとえそうであっても、三成のことをよく表しているからこそ、脈々と語られ続けているのだと思います。細かいけど、心遣いのできる人だったのではないでしょうか。

編集部F: ほかに三成のエピソードで好きなものはありますか?

小日向: 関ヶ原の戦いが終わった後、東軍が三成の居城である佐和山城に入ると、何もなくて驚いたそうです。てっきり金銀が蓄えられていると思ったら、実際には大変質素な生活をしていたのです。すべてを関ヶ原の戦いに投じていたことが分かるエピソードです。

 こんな逸話もあります。大雨で淀川が増水して氾濫しそうになった際、決壊しそうな場所に大阪城に貯蔵していた米俵を数千俵持って行き、土嚢(どのう)の代わりに積み上げて決壊を防いだそうです。

 急を要していたので、そのときは秀吉の許可を得ずに実行したのですが、淀川の氾濫によって田畑に与えるダメージと、土嚢代わりに米俵を使うことのどちらが結果的に得なのかを瞬時に計算して、使う米俵の量を導き出したといいます。その場の判断力や、算術のスキルの高さがカッコイイなあと思いました。

 この話には続きがあって、氾濫を食い止めた後、民たちに「土嚢を持ってきたら使用した米俵と交換してあげる」というお触れを出しました。米がもらえるわけですから、民たちは我先にと土嚢を運んできて、あっという間に堤防が完成したそうです。

編集部F: 優秀!

小日向: 三成は真面目すぎる学級委員長で、福島正則や加藤清正はクラスのやんちゃな番長というイメージです。先生は秀吉。三成は秀吉のためにクドクド言うわけですが、それがうるさいと思う正則や清正など一部のクラスメートには嫌われてしまうのです。クラスが良くなるように正しいことを言っているのですけどね。そんな不器用なところも三成の魅力です。

最終更新:7月23日(土)8時20分

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