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今も替えが利き、3年後に期待できない人はクビになる

ITmedia エンタープライズ 7月23日(土)13時21分配信

・法人ビジネスの営業は、英語でSalesとはいわない。ただの販売員ではない。Sales Representativeといって、「会社の代表として取引に責任を持つ人」という意味がある。
・営業とはお客さまの「困った」の相談相手であり、それを解決するプロデューサーだ。
・「伝えた」という自分の満足で終わらせるな。「伝わった」という相手の真実を確認してこそ、コミュニケーションは成立する。

【画像】変化のスピードが速い現代で必要とされる人材になるには……

 新入社員たちは、こんなオヤジの小言にも耳を傾けてくれる。自分たちが未熟者であるという自覚を持っている彼らにとっては、一つひとつの言葉は、新鮮な響きとなって吸い込まれていくのだろう。その素直さが彼らを成長させる。

「君たちは、“タダ飯”を食らっている。今はそれでも仕方がないが、いつまでもそれでいいわけはない。何の成長もなければ、そのうち“無駄飯食い”といわれる。この屈辱を味わいたくないのなら、寸暇を惜しんで勉強しなさい!」

 このような言葉さえも、彼らには励みになる。

 翻って、私たち「大人」はどうなのだろう。一体何を知っているのだろうか。何ができるのだろうか。

 お客さまの経営や業務、社会やITのトレンドは、日々移りゆく。今まで常識と思っていたことが、あっという間に非常識になっている。気が付けば知らないことだらけだ。かつての成功体験を後生大事にしているうちに、新入社員と同じ「未熟者」になってはいないだろうか。ただ、新入社員のように「未熟者」であることに自覚がないとすれば、もはや成長はできない。

 ある大手企業の経営者から、リストラしたときの話を伺った。そのとき、誰を退職させるかを評価するに当たり、次のような3つのランクをもうけたそうだ。

(1)3年後にこの会社にいてもらわないと困る人

(2)今いてもらわないと困る人

(3)今も代替が利き、3年後に期待できない人

 (3)の方を退職勧告の対象としたそうだ。その数は、2割ほどになったという。結局、そのうちの1割ほどの方が退職されたそうだ。

 IT業界は、常に新しい技術やビジネスが生まれている。その一方で、コモディティ化も早く、入れ替わりが激しい。このような変化のただ中にあって、過去の常識など、あっという間に通用しなくなる。

 ITビジネスは、今、大きな転換点にある。ITは、これまでの「効率や生産性」を高める改善の手段から、「スピード、変革、差別化」といったビジネス価値を生み出す手段へと、その役割の重心をシフトし始めている。

 前者であれば、「現状」という基準があり、これを改善するわけだから、計画も立てやすくKPIを定めることができる。だから、スケジュールを管理し、KPIを守るためのプロジェクトマネジャーが必要になる。しかし、後者は、何が成功かをあらかじめ決めることができない。そのため、計画は意味をなさず、KPIを定めることもできない。当然、従来型のプロジェクトマネジャーは機能せず、むしろ、アジャイル開発のような状況の変化に即応できるプロジェクトの進め方が必要となるだろう。

 計画ができないわけだから、工数の積み上げなどという金額の算定はできない。スピードや変革、差別化となると、変更に即応することを前提にビジネスの仕組みを考えなくてはならない。仕事のやり方は変わり、収益の構造が変わるのは、必然だ。

 また、自動化や自律化の適用範囲は、インフラの運用からアプリケーションの運用へ、さらには開発やテスト工程にも広く適用されていく。これまで、「人間にしかできなかったこと」が、機械に置き換えられていく。当然、「工数」は縮小し、人の数を増やすことはますます難しくなるだろう。

 一方で、受託開発の需要が衰えることはない。むしろ、自社の独自性と競争力を追求する手段として、ITの存在価値が高まれば、需要はますます拡大する。しかし、加速するビジネススピードに同期化し、仕様の変更にも即応でき、ビジネスボリュームの変化にもダイナミックに追従できるシステムでなくてはならない。このようなシステムに従来型のビジネスモデルでは対応できなくなる。

・ウォーターフォールから、アジャイル開発へのシフト
・フロー収益重視から、ストック収益重視のビジネス構造への転換
・工数提供に重心を置くビジネスから、戦略・企画・設計などのコンサルティングや徹底した無人化を実現する自動化・自律化への上位下位への分散 など

 このような変化を積極的に受け入れることだろう。

 (1)の「3年後にいてもらわなくては困る人」とは、このような変化への対応策を考え、実践に移せる人たちをいうのだろう。(3)の「今も代替が利き、3年後に期待できない人」は、時としてこのような変革を拒む。そうなれば、会社の3年後もないだろう。

 新入社員は未熟であることを素直に受け入れている。そして、自らの未来を切り開こうと必死になっている。そんな彼らの態度に、私たち「大人」も見習うこともあるのではないか。

●著者プロフィル:斎藤昌義

 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤリティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。

最終更新:7月24日(日)21時44分

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