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痛恨3敗で綱取り消滅・・・稀勢の里 急失速の「ナゼ」

東スポWeb 7月23日(土)16時32分配信

 和製横綱誕生の夢はまたもかなわなかった。大相撲名古屋場所13日目(22日、愛知県体育館)、大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が横綱日馬富士(32=伊勢ヶ浜)との2敗同士の大一番で寄り倒されて完敗。痛恨の3敗目で優勝争いのトップから転落し、場所後の横綱昇進も事実上消滅した。周囲で綱取りへの期待感が最高潮に高まっていた今場所、横綱白鵬(31=宮城野)が星を取りこぼす追い風が吹いたなかで、なぜ“急失速”してしまったのか。その舞台裏を追った。

 完敗した稀勢の里は支度部屋に戻ると「クソーッ!」とひと言。その後は報道陣から何を問われても無言を貫いた。まだ数字上は逆転Vの可能性を残しているとはいえ、今場所後の横綱昇進はなくなった。

 日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会の守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)は取組後、3敗目を喫した稀勢の里が逆転優勝を果たしたとしても場所後の横綱昇進は厳しいとの見解を示した。平幕に2敗したことも踏まえ「日馬富士関との一番の負け方が推挙に値するような負け方ではなかったと思う」と話した。

 肝心の相撲内容も「横綱相撲」ではなかった。特に中盤戦以降は動きに硬さが目立ち始め、過去2場所は全く寄せつけなかった格下相手にてこずるシーンが増えた。そして、この日の大一番は横綱に何もさせてもらえず完敗。土俵下で審判長を務めた友綱親方(64=元関脇魁輝)は「動きが悪い。(立ち合いが)高すぎる。この数日は変わらない。まだまだ、経験が足りない」と手厳しかった。

 ライバル力士たちも今場所の稀勢の里の“異変”を察知していた。10日目に平幕の松鳳山(32=二所ノ関)の変化になすすべなく屈して2敗目を喫した直後のこと。日馬富士は「稀勢の里はどうしちゃったの。普通は(相手の変化を)頭の中に入れておくものなんだけどな」と横綱としての目線から“凡ミス”を指摘している。

 横綱の優勝7回に対して、かたや和製大関は優勝ゼロ…。こんな経緯もあって、日馬富士は取組前から心理面でも優位に立っていた。日本相撲協会の八角理事長(53=元横綱北勝海)が「優勝経験がある日馬富士は勝負どころが分かっている」と見ていた通りの結果となった。

 一方で、稀勢の里は綱取り独特のプレッシャーを感じ取っていたに違いない。本場所前の恒例となった二所ノ関一門の連合稽古が、今回も3日間にわたって開催。同一門の親方衆の一人は「稀勢の里を横綱にするためにやっているようなものだ」と言い切った。稀勢の里は「一門の期待に応えたい」と話していたが、重圧は大きくなるばかり。さらに、場所に入ると周囲から届く激励や日ごとに強まっていく館内のファンの大歓声…。すべてを含めたムードが、重要な局面で和製大関の“重荷”となった可能性は否めない。

 いずれにせよ、初Vや横綱昇進を逃したとしても、12勝すれば来場所に綱取りが継続する可能性がある。逆にこれ以上黒星を重ねれば、綱取りは白紙となる。残り2日間は絶対に負けられない。

最終更新:7月23日(土)17時24分

東スポWeb