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箱根ロープウェイ全線再開に喜び 火山と共生、再出発 観光の在り方見つめ直す

カナロコ by 神奈川新聞 7月23日(土)15時38分配信

 「箱根が再始動できる」-。夏の観光シーズン本番を前に、箱根山・大涌谷の規制が一部解除され、箱根ロープウェイの全線運行再開が決まった。約1年3カ月ぶりとなる箱根観光の拠点への立ち入りと周遊ルートの復活に、観光関係者からは喜びや安堵(あんど)の声が上がった。

 「お客さまをお運びできるうれしさを心から感じている」。箱根ロープウェイの齋藤康弘社長は喜びのコメントを発表した。

 噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられた昨年5月に全線で運休。同10月に桃源台-姥子間で運転を再開したものの、乗客数は伸び悩んだ。輸送人員は2014年度の約256万人に対し、15年度は約79万人と3分の1以下まで落ち込んだ。

 ロープウェイは登山鉄道、観光船などとともに箱根を周遊する観光ルートの一翼を担っていただけに、その運休は、同社の経営だけでなく、箱根観光全体にも打撃を与えた。「役割も果たせないことに悔しさと歯がゆさを感じてきた」と齋藤社長。「箱根の魅力と価値向上に貢献すべく、取り組む」と改めて決意を示した。

 観光関係者からも安堵の声が漏れた。「箱根が元通りに戻る」と胸をなで下ろしたのは、箱根強羅観光協会の田村洋一専務理事。先の見えない危機感から今年3月に開かれた、火山との共生を考える「火山温泉観光サミット」を主導した。それだけに「この1年3カ月を忘れず、今後も大涌谷だけに頼らない新たな観光も考えなければ」と気を引き締める。

 箱根温泉旅館ホテル協同組合の内田常夫事務局次長も「火山の恵みを受けた町と再認識させられた期間だった」と振り返る。火山活動活発化は被害だけでなく、観光地としての原点を振り返るきっかけともなったようだ。町観光協会の高橋始専務理事は「厳しい1年3カ月だったが、これで箱根が再始動できる。今後の誘客に期待したい」と笑顔で語った。

 「1年3カ月は長かった」。大涌谷園地内にある箱根ジオミュージアムの長田茂館長はそう漏らした。火口がある大涌谷は、昨年11月に警戒レベルが最低の1(活火山であることに留意)に引き下げられても、火山ガスの影響でなお立ち入り規制が続いた。だからこそ、「観光客には生きた火山をぜひ見てもらいたい」。

最終更新:7月23日(土)15時38分

カナロコ by 神奈川新聞