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【コラム】ぼくのりりっくのぼうよみ、脅威のメジャー2作目! その「情報量」は何を訴えているのか?

RO69(アールオーロック) 7/23(土) 7:00配信

知性を奪われると、人は反抗する力を、ひいては生きる力を失う。ここで言う知性というのは、いわゆる学力とはちょっと意味が違っている。ひとりの人間が、独立した思考を突き詰められるかどうか、ということだ。ぼくのりりっくのぼうよみは、今月20日にリリースした1st EP『ディストピア』収録の“Newspeak”で、《よりシンプルになった世界》《オーウェルみたいな世界になってくよ》と、思考が平均化されてしまった世の中のことを歌っている。ミュージックビデオは、ぼくりり自身による初の監督作品だ。

“Newspeak”のミュージックビデオはこちら。
http://www.youtube.com/watch?v=3-W8G3mIqDQ

ジョージ・オーウェルが恐怖政治社会を描いた名作『1984年』の中で、「Newspeak(新言語)」は社会を定義する特殊な言語として登場する。大概の場合、単語のスペルが奇妙に簡略化されたりしていて、その共通言語を用いる人々が社会の中で巧妙にコントロールされてしまうわけだ。現実の2016年において、インターネットは情報を交換する上でとても有効なツールだけれど、ネットスラングなどはよくよく考えてみればオーウェルの「Newspeak」に良く似ている。

いや、別に陰謀論がどうのこうのといった話をしたいわけではないのだが、インターネット社会のあちらこちらでも徐々に秩序が出来上がって、秩序はときに人を不自由にもするということだ。インターネットネイティブの世代に当たるぼくりりが、その不自由さを敏感に感じ取り、激流のように溢れ出す知性のリリックで伝えようとしていることは、とても興味深いことだ。

それにしても、『ディストピア』に込められた情報量は凄まじい。リリックだけではなく、メキメキと向上し続けるぼくりりのボーカル表現から滲む「情報」もまた、このEPの濃密さを支えているはずだ。《慣れ合いで麻痺した感覚が/すべてを色褪せたものにして奪い去っていく》と歌われる“noiseful world”は、“Newspeak”のメッセージをより情緒的な角度から支えているし、“Water boarding”は、詩的な表現がポストクラシカルなトラックと相まって切迫感を増幅させる。

リミックスを含めた4曲、初回盤に収められた書き下ろしの短編小説、アートワークやビデオといったトータルアートにその知性を惜しみなく注ぎ込み、アルバム『hollow world』と同等かそれ以上の手応えを感じさせてくれた。素晴らしい作品だ。(小池宏和)

RO69(アールオーロック)

最終更新:7/23(土) 7:00

RO69(アールオーロック)

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