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労働者の約半数割が「仕事に満足」と回答--米国 雇用拡大効果

ZUU online 7月24日(日)11時40分配信

雇用拡大が継続中の米国では、労働者の仕事への充実度も上昇傾向にあるようだ。調査会社の「仕事の満足度調査」で、49.6%が「仕事に満足してる」と回答した。1987年の61.1%という記録にはほど遠いものの、2005年以来最高の数値だ。

調査したのは米ビジネス・リサーチ会社、Conference Boardで、毎年行われている。

その反面、「生計を立てるのに十分な給与を受けとっていない」との不満も聞こえる。

■リストラへの懸念が和らぎ、就労環境が改善

調査結果によると、就労環境自体が著しく改善しており、「素晴らしい職場仲間とやりがいのある仕事に打ちこんでいる」と答えたのは60%にもおよぶ。全体的に失業への懸念が和らいだことが、個人の仕事への満足度に貢献しているようだ。

2015年12月の統計では失業率が5%に低下。リーマンショックの翌年、2009年の半分まで引き下げることに成功した。

2014年から2015年にかけての成長は特に力強く、1990年代後半以来の伸びを見せた。2015年12月だけでも、アナリストの予想をはるかに上回る、29万2000件の雇用口が創出されている。

勢いは今年に入って若干失速しているが、2010年以降の総合雇用数は144万件と、予想以上の快挙を成し遂げている。

リストラの危機が薄れ、「仮に現在の職場を去るような事態に陥っても、次の就職先が比較的容易に見つかるだろう」という精神的な余裕が生まれ、労働環境にプラスの作用をもたらしているのだろう。

しかしリストラの懸念はあくまで「和らいだ」のみで、「去った」わけではない。現に人員削減は全米全土で行われており、特に金融機関では何百人、何千人という大規模なリストラがくり返し実施されている。

■正規とパートかけもちを余技なくされる国民も

労働者の大半が職場に満足しているからといって、まったく不満がないというわけではない。

最も多い不満は、昇進や報酬についてだ。25%が「ボーナス制度やパフォーマンス評価のプロセスの改善」を求めている。

次いで給与への不満が目立つ。スターバックスやJPモルガン・チェース、マクドナルド、IKEA、Facebookなどの大手企業から、カリフォルニア州やニューヨーク州といった各自治体まで、次々と給与引きあげを発表している。

しかし米国全土の賃金上昇速度は史上類を見ないほど鈍化しており、正社員として働きながらパート勤務をこなすことで、ようやく生計を立てているという米国民も多い。

インディアナ大学の図書館に正規雇用として勤務する51歳の男性は、「仕事自体は気にいっているが、賃金が十分ではない」との理由で、週末の家具屋でのアルバイトを余技なくされている。それだけ働いても貯蓄に回せる余裕がなく、「退職後の生活への不安が常につきまとっている」という。

雇用創出は重要だが、十分な生活費を稼ぎだせないようでは、クッション程度の役目は果たすだろうが、根本的な苦難が解決されたことにはならない。しかしこうした「最低生活賃金問題」を抱えているのは、決して米国だけではない。

今年4月に「全国生活賃金(National Living Wage)」を打ち出した英国でも、最低賃金は引き上げられたが実際の生活水準には追いつかず、フルタイムで共働きをしていても、就労税控除(Working Tax Credit)を含む福祉手当なしでは生活できない低所得世帯は多い。

何かが空回りしている。そんな印象をぬぐえない。(ZUU online 編集部)

最終更新:7月24日(日)11時40分

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