ここから本文です

[ニュース分析]補正予算で造船業に再就職斡旋など財政資金1兆円投入

ハンギョレ新聞 7月24日(日)17時6分配信

韓国政府が超過税収を使った補正予算案発表 造船業発の不景気緩和が目的 国策銀行も現金出資へ SOC予算はゼロ、国家債務は減少

 韓国政府が財政資金を投入し、造船業発の大量失業のショック緩和に乗り出す。存廃の危機に追い込まれた造船会社に仕事を与え、失業者や失業の危機に置かれた造船会社の労働者の他業種への転職に役立つ職業訓練などに財政を注ぐ。

 政府は22日、このような内容を盛り込んだ追加の補正予算を編成し、来週中に国会に提出すると明らかにした。企画財政部のソン・オンソク2次官は「造船業の構造調整が本格化すれば大量失業が発生する可能性がある。そのショックを緩和するために補正予算の編成は避けられない」と述べた。

 政府が造船業種の支援のために財政資金を投入する方法は、発表どおり補正予算の編成だ。補正予算は、当初立てた予算の収入と支出を変更することにになる。今回の補正予算編成で当初より増える政府の財政支出の規模は11兆ウォン(約1兆200億円)になる。


■補正予算11兆ウォンはどこに使われるのか

 より多く費やすこととなった財政資金11兆ウォンのうち1000億ウォンが造船会社の経営を支援することに割り当てられる。官公船や海洋警察艦艇、軍艦など全部で61隻を今年下半期に新規発注する。今回の予算案には設計費程度だけが反映されたため、支援規模は少なく見える。これに対し、企画財政部のパク・チュンソプ予算室長は「新規発注の船舶の総事業費は1兆4000億ウォン(約1300億円)」とし、「2017年の本予算など今後の予算が順次事業費に反映されるだろう」と述べた。事実上1兆4000億ウォン相当の業務が造船会社に与えられることになる。

 総事業費基準で8000億ウォン(約746億円)は中小造船会社に、6000億ウォン(約559億円)は現代重工業、サムスン重工業、大宇造船の大型造船3社に流れる予定だ。ただし、どの会社にどんな業務を割り振るのかは決まっていない。競争入札を通じて仕事を分配することになったためだ。企画財政部のグ・ユンチョル予算総括審議官は「競争入札を行うということは、この過程を通じて中小造船会社の中から優良企業を選別するということだ」と語った。

 補正予算の中には国策銀行への資本拡充費用も含まれる。造船業に貸した資金が踏み倒される危機に面し共倒れのリスクが増えた国策銀行に財政資金を投入し、財務の健全性を高めようとするものだ。輸出入銀行に1兆ウォン、産業銀行に4000億ウォン(約373億円)の現金が投入される。国策銀行の資本が整えば融資の余力も増え、資金調達コストも減る。信用保証基金と技術保証基金にも総額で3000億ウォン(約279億円)の財政資金を投入することになった。これもまた中小企業などに少しでも安く融資保証をするためだ。

 大量失業の危機に置かれた造船労働者への支援には2000億ウォン(約186億円)を費やす。熟練労働者1万人には休職、休業手当を増やし、職業訓練費を支援する。また近い業種への転職に役立てるよう教育訓練や中小企業技術事業化プロジェクトに参加する機会を提供する。ここに投入される財政資金は総額で800億ウォン(約74億円)の水準。非熟練労働者には、前職の訓練や再就職支援のために財政資金を使うこととなる。再就職の範囲には海外就職や帰農、帰漁も含まれている。対象は2万6000人、配分された予算は約100億ウォン(約9億3200万円)。造船会社で働いている対象ではなくとも、周辺地域の雇用事情の悪化を防ぐために約400億ウォン(約37億円)が編成された。

 この他、地域経済活性化の名目で合計2兆3000億ウォン(約2145億円)、地方自治団体の財政補強用に3兆7000億ウォン(約3451億円)が配分される。これには農漁村の下水道や老朽化した貯水池の改善費用などが含まれる。グ審議官は「自治体に下りる3兆7000億ウォンのうち1兆9000億ウォンは地域で足りないとされているヌリ課程(満3~5歳の無償保育)の財源として使うことができる」と述べた。これまで野党と一部の自治体では、保育課程を実施する財源が足りないという理由で保育課程の費用を中央政府が支払うよう要求してきた。

■期待される効果は

 韓国政府は補正予算編成によって雇用が6万8000ほど生み出せると見込んでいる。具体的には、造船業の密集地域などを中心に直接雇用が4万2000、職業訓練や起業などを通じた間接雇用が2万6000増えると見ている。政府は中小企業や小商工人を対象とする融資保証と保険も12兆ウォン(約1兆1194億円)水準に拡大すると明らかにした。経済成長率(実質)も今年と来年はそれぞれ0.1~0.2パーセントポイント引き上げる効果を生むと分析する。

 ただし、補正予算編成のきっかけとなった大量失業をどのくらい減らすことができるかについては、政府は推計を出せていない。「補正予算で失業率をどのくらい下げられるのか」というハンギョレの問いに対して、企画財政部のイ・ホスン経済政策局長は「現時点では就業者数の変化を予測できるだけで、失業率にどの程度の変化をもたらせるのか判断しがたい」と答えた。政府は利益集団の造船海洋プラント協会が発表した資料を引用し、補正予算を導入しない場合、造船業の構造調整で来年までに5万6000~6万3000人ほどの人員が削減されると明らかにした。

 このような効果を生むために、補正予算案が国会を速やかに通過する必要があるというのが政府の立場だ。国会審議の過程が長引き財政執行が遅れれば、その分期待する効果も半減する。ひとまず政府は26日に補正予算案を国会に提出した後、来月中旬までに国会で承認されると期待している。グ審議官は「今回の補正予算は国債を発行していないため、相対的に過去の補正と違い執行の時点を早めることができる。カギは国会審議のスピード」と指摘した。現在のスケジュール通りなら国会審議は早ければ来月初めから始まる。

■異色な補正予算

 今回の補正予算は、過去の補正予算とはかなり異なる点がいくつかある。財政資金を追加で使うことになったが、国家債務は増えない。通常は補正予算の財源は政府が国債を発行して調達するため、補正予算編成は国家債務の増加によって行われる。しかし今回は補正予算の財源を超過税収を基盤にしたため、債務は増えない。当初予想した収入より10兆ウォン(約9328億円)近く集まると政府は見込んでいる。さらに政府は超過税収のうち1兆2000億ウォン(約1119億円)は国債償還に使うこととし、国家債務比率(国家債務÷経常国内総生産)は0.8パーセントポイント減少すると見込んでいる。

 社会間接資本(SOC)予算が加わっていないことも今回の補正予算の異色な点だ。通常、補正予算は景気回復の目的を持つため、その効果が大きい社会間接資本支出の拡大がこれまでの補正予算の中心を占めた。しかし今回は社会間接資本に予算は一銭も配分されない。グ審議官は「今回の補正予算は景気回復そのものが目的ではなく、過去のような社会間接資本支出の景気回復効果も落ちるという点が考慮された」と述べた。一部では、社会間接資本の予算を修正予算に反映する場合、国会通過が遅くなりかねないことを懸念したためという分析もある。実際、国会議員が選挙区管理用に社会間接資本予算を競って要求したために予算審議が遅れた前例が多い。

 最後に、今回の補正予算は政府が主導したというより野党の要求で編成されたという点も注目すべき点だ。過去、補正予算は政府が強く推進し、野党は税金の無駄、債務拡大などを理由に反対する姿が繰り返されてきた。しかし今回、政府は躊躇する一方で、国民の党が積極的に補正予算編成を要求した。政府内で補正予算の意思決定が比較的遅い時期に行われたことも、このような構図の変化と関わりがある。

キム・ギョンラク、ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:7月24日(日)17時6分

ハンギョレ新聞

豊洲へなぜ市場移転 経緯と課題

築地から市場が移転される豊洲で、都が土壌汚染対策をしていなかったことが発覚。そもそもなぜ豊洲に移転するのか、経緯と課題を知る。