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[総体]他部の活躍に刺激受け、塾高ならでは良さも力に。文武両道の名門、慶應義塾が全国初挑戦

ゲキサカ 7月24日(日)7時0分配信

 文武両道の名門が、神奈川第2代表の座を勝ち取った。慶應義塾高(通称塾高)は多くの国会議員、企業経営者も輩出している男子校だが、実はスポーツの世界でも名門。最近も野球部、ラグビー部、アメフト部が全国舞台を踏んでいる。それに続く形でついに全国初出場を果たした大方貴裕監督は「他の先生からも『あとはサッカーだけだよ』と言われていた。それを力に変えて、絶対出てやるぞという思いでやってきた」と他部から受けた刺激を説明する。

 塾高にも推薦制度はあるが、スポーツ強化のために用意されたものでなく、一般入試と同様の難関。それは他の有力校に比べればハンデと言い得る要素だろう。ただ塾高ならではの良さもある。例えば日々の練習は大学と同じ人工芝グラウンドを使い、現役ソッカー部員(慶應義塾大)の学生コーチも5名チームの指導に加わる恵まれた環境で行われている。

 今回のチームもスタメンの半分以上が普通部、中等部からの内部進学者だ。ただ自力で難関を突破する“慶應の付属に通いながらクラブでプレーする選手”は伝統的に多く、例えば武藤嘉紀(現マインツ)や都倉賢(現札幌)はJの育成組織OBであり、塾高OBでもある。そんな校内には「(サッカー部員は)ユースでやっている子たちとも仲が良くて、昼休みは一緒にサッカーをしている」(大方監督)という交流があるという。“クラブっ子”の存在は直接の強化につながらなくても、やはりチームの刺激になっている。

 柿沼亮祐主将は小中と川崎フロンターレの育成組織に所属。U-12の世界大会にも出場したサッカーエリートだ。「視野の広さとキックの精度は自信を持っている」と胸を張る技巧派レフティーで、全国行きを決めた総体神奈川県予選準決勝(湘南工科大附高戦)では50m近いスーパーゴールを決めた。

 また2年生CB酒井綜一郎は横浜F・マリノスジュニアユース出身。球際のしつこさ、闘志が身上で「ガチャガチャっとなったボールは大体、酒井のところに転がる」(大方監督)という頼もしいDFだ。柿沼と酒井は慶應の付属中に通いながらクラブチームで技を磨いていたが、高校から部活に移ってきた。

 他にも配球能力の高いMF平田賢汰、大型でスピードにも恵まれたFW板倉正明など、全国舞台で通用しそうな人材は決して少なくない。

「全国制覇が目標」と大方監督も言い切るように、チームの志は高い。日頃のリーグ戦はK1(神奈川県1部)に所属しており、湘南ベルマーレユース、日大藤沢高、桐蔭学園高、三浦学苑高など有力チームと同じ土俵で戦っている。高校総体の歴史を振り返れば、2011年に桐蔭学園、12年に三浦学苑と神奈川県勢が連覇したことがある。そんな激戦区を突破した塾高にも、全国で旋風を巻き起こす地力と資格はあるはずだ。

(取材・文 大島和人)

最終更新:7月24日(日)7時0分

ゲキサカ