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“SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016”閉幕。最優秀作品賞はメキシコ映画に!

ぴあ映画生活 7月25日(月)12時45分配信

これからの世界の映画シーンをリードするかもしれない新鋭監督が賞を競った“SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016”が24日に閉幕。同日、授賞式が行われ、注目の長編コンペティション部門は、メキシコのアレハンドロ・グスマン・アルバレス監督の『朝日が昇るまで』が最優秀作品賞を獲得した。

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今年は過去最多となる世界88の国と地域から715本の応募があり、ノミネートされた作品もバヌアツ共和国、キルギスなど実にワールドワイドな作品が並んだ長編コンペティション部門。その中で栄えある最高賞はいま、世界の映画祭でも旋風を巻き起こしている中南米エリアのメキシコから届いた『朝日が昇るまで』が輝いた。巨漢で家からほとんど出ることができない男と、義理の弟、偶然知り合った青年の間に不思議と芽生えた友情を見つめた本作は、人間愛溢れた心温まるドラマ。登壇したアルバレス監督は信じられない様子で「『まさか』というのがいまの正直な心境。とてもあがっています(笑)」と話しはじめ、「映画祭のみなさんも日本の観客のみなさんもとても温かく接してくださり、まるで自分の家にいるような気持ちで過ごせました。映画制作というのは、メキシコも世界中どこでも、非常に困難を伴うこと。ですから今回グランプリを受賞できたことは、これからも映画制作を続けていくエネルギーになると思います。本当にありがとうございました」と長編初監督作での受賞を素直に喜んだ。

一方、監督賞に輝いたのは、太平洋に浮かぶ島国、バヌアツ共和国から届いた『タンナ』。同国のタンナ島を舞台にした本作は、昔ながらの暮らしを続けるヤケル村の部族の男女の許されぬ恋が、現地の住民をそのままの役で起用して描かれる。残念ながら仕事の都合で来日できなかった共同監督に代わって登壇したプロデューサーのキャロライン・ジョンソンは、「この作品はとても小さなチームで作ったものです。監督の2人はドキュメンタリー映画のバックグラウンドを持ち、これが初めての劇映画になります。2人はとても気のあったコンビで、ベントレー(・ディーン)監督はカメラを、(マーティン・)バトラー監督は音声をそれぞれ担当しました。2人はタンナ島の人々と7カ月間、同じものを食べ、話をし、彼らに伝わる物語を聞いた中から、世界の観客が楽しめる物語を作り上げられました。タンナ島の一部の人々はいまも昔ながらの伝統や文化、習慣を守って生きている。私たちは、観客の皆さんに、世界にはこういう場所や生活があることを知ってもらいたいのです」と、その作品に込めた想いを明かした。

また、今回、長編部門の国際審査委員長を務めたアルゴ・ピクチャーズ株式会社代表で映画プロデューサーの岡田裕氏は最優秀作品賞と監督賞に輝いた2作について「審査では、4人の審査員が激烈な討論を繰り広げました。その中で、最終的に絞られたのが『タンナ』と『朝日が昇るまで』。結局、最優秀作品賞と監督賞は同じレベルで評価しているということで決定しました」と両作品が遜色ないレベルであったことを告白。その上で「今回、作品の質が非常に高かったことに驚きました」と今回の長編部門がとても充実したラインナップであったことを明らかにした。ただ、その一方で国内作品については「日本映画に関しては、テーマが見つけにくい時代になったと言われていますが、自分の半径3メートルの身の回りの物語を描く作品が多く、多少残念でした」と苦言を呈し、「次回、あるいは次々回、日本映画の若手監督たちが新しいテーマを見つけて、グランプリを取りに戻ってくることを期待しています」と最後はエールを送った。

なお、もうひとつの主要賞である脚本賞は『アヒルからの贈り物』が受賞。そのほかの、各賞は以下の通りになる。

【長編部門(国際コンペティション)】
最優秀作品賞:『朝日が昇るまで』(アレハンドロ・グスマン・アルバレス監督)
監督賞:『タンナ』(ベントレー・ディーン監督/マーティン・バトラー監督)
脚本賞:『アヒルからの贈り物』(オリヴィエ・ランジェ監督)
SKIPシティアワード『見栄を張る』(藤村明世監督)

【短編部門(国内コンペティション)】
最優秀作品賞:『嘘をついて』(三ツ橋勇二監督)
奨励賞:『テイク8』(上田慎一郎監督)/『夕暮れの催眠教室』(井上博貴監督)

【アニメーション部門(国内コンペティション)】
最優秀作品賞:『こんぷれっくす×コンプレックス』(ふくだみき監督)
奨励賞:『愛のかかと』(円香監督)/『あたしだけをみて』(見里朝希監督)

取材・文:水上賢治

最終更新:7月25日(月)12時45分

ぴあ映画生活