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再生可能エネルギーの出力抑制、九州本土で実施の可能性が高まる

スマートジャパン 7月25日(月)11時25分配信

 九州電力は火力・バイオマス・太陽光・風力の発電設備を対象に、国の機関が定めた「優先給電ルール」に基づく出力制御の準備に入る。発電事業者に対して出力制御の運用方法を近日中に説明する方針だ。

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 すでに九州電力は離島の種子島と壱岐で太陽光発電設備に対する出力制御を実施している。新たに九州本土でも出力制御に踏み切ることになれば、太陽光をはじめ風力やバイオマスを利用する発電設備に広く影響が及ぶ。一方で原子力発電は優先給電ルールによって出力を抑制する順番が最も遅い。再生可能エネルギーよりも原子力を優先させるルールの妥当性が改めて問われる。

 九州電力が出力制御を想定している時期は1年間に2度ある。1度目は電力の需要が最も小さくなる春のゴールデンウイークの期間で、今年も5月4日には太陽光発電の増加と減少に対応するために、火力発電の出力を急速に増減する必要に迫られた。

 当日の状況を見ると、日中に太陽光発電の供給力が上昇するのに合わせて、火力発電の出力を最低限に抑えて供給力を調整した。日没後に太陽光発電の出力が急減するため、今度は火力発電の出力を一気に高めて供給力を増やす必要がある。状況によっては供給力が需要に追いつかなくなる可能性があり、停電を引き起こしかねない。

 日没後には家庭や企業で照明の点灯が増える。そのために電力の需要が上昇することを九州電力は「点灯ピーク」と呼んでいる。点灯ピークは春よりも夏のほうが大きくなる。真夏の8月が出力制御を想定する2度目の時期だ。九州電力が8月を前に出力制御の準備を急ぐ理由である。

 昨年の8月19日には、点灯ピークが発生した19時台に予備率(需要に対する供給力の余裕度)が3.4%まで低下してしまった。火力発電の出力増加が間に合わず、揚水発電で供給力を増やしたものの、停電の可能性が生じる予備率3%台を記録した。

 電力広域的運営推進機関が2016年4月に定めた優先給電ルールでは、電力会社が火力発電と揚水発電で供給力を調整したうえで、地域間の電力融通を実施する。それでも供給力が余る場合には、バイオマス、太陽光・風力、最後に原子力・水力・地熱の出力を抑制することになっている。電力融通は他の地域の状況に左右されるため、現実にはバイオマスや太陽光・風力を制限する対策が必要になる。


原子力を抑制すれば出力制御の回避も

 九州本土で太陽光発電に対する出力制御が現実味を帯びてきたが、その必要性には疑問が残る。というのも、出力制御の根拠になっている「接続可能量」の算定方法に問題点があるからだ。

 太陽光と風力発電の接続可能量は政府が決めた算定方法に基づいて、各電力会社が前年度の実績値をもとに算出している。その算定方法は各地域で1年間に最も需要が少なかった日の昼間を対象に、太陽光と風力の最大出力、原子力・水力・地熱の平均出力、火力の最低出力と揚水の最大出力を組み合わせて計算する。

 ここで問題点が2つある。1点目は太陽光と風力発電の最大出力の計算方法だ。同じ九州本土でも場所によって天候にバラつきがあり、すべての発電設備が最大出力になることはあり得ない。それにもかかわらず最大出力の合計値をもとに、太陽光と風力発電の供給力を想定している。実際よりも過大に見積もることになる。

 2点目の問題は原子力発電の供給力である。現時点で運転していない原子力発電設備を含めて、震災前の30年間の設備利用率(最大出力に対する平均出力の比率)で供給力を想定している。九州電力の場合には「玄海原子力発電所」と「川内原子力発電所」の6基が対象になり、合わせて439万kWにのぼる供給力を織り込んだ。5月の電力需要が最小になる時期には、昼間の需要の50%以上を原子力で供給する想定だ。

 こうして原子力発電の供給力を過剰に積み上げて、それをもとに太陽光と風力の接続可能量を決定している。運転中の原子力発電所だけを対象に含める方法をとれば、太陽光と風力の接続可能量は大幅に増やせる。

 九州電力は運転開始から40年を経過した玄海原子力発電所1号機の廃止を2015年3月に決定した。これに伴って原子力発電の供給力が少なくなるため、太陽光発電設備の接続可能量は32万kW増えて、849万kWに拡大できるはずだった。

 ところが政府は新たに「30日等出力制御枠」と呼ぶ接続可能量を新たに規定して、九州本土の太陽光発電設備の接続可能量を従来の817万kWに据え置いた。同様に原子力発電設備1基の廃止を決めた中国電力の場合には、太陽光発電の接続可能量を102万kWも増やしている。

 九州電力と中国電力の違いは、すでに太陽光発電の接続可能量を超えているかどうかの差である。いったん接続可能量を超えて一部の発電設備に指定ルールを適用してしまった九州本土では、もはや接続可能量を増やして指定ルールの対象になる発電設備を変更できない。原子力発電の供給力を過大に織り込んだ弊害と言える。

 もとより原子力発電は出力を調整することがむずかしく、日中・夜間を問わず一定の出力で運転することが前提になっている。需要に合わせて供給力を調整する役割は火力発電が担う。原子力を稼働させなければ、日中の火力発電の出力を高めに維持して、夏の点灯ピークにも対応しやすくなる。九州電力が準備を始めた出力制御は、川内原子力発電所の運転を止めれば回避できる可能性が大きい。

最終更新:7月25日(月)11時25分

スマートジャパン