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スピッツ バンド結成30周年を目前に約3年振りのオリジナルアルバム『醒めない』をリリース/レビュー

エキサイトミュージック 7/25(月) 12:15配信

 
■スピッツ/New Album『醒めない』レビュー

前作『小さな生き物』以来、約3年ぶりとなるアルバム『醒めない』は、スピッツの15枚目のオリジナル・アルバム。今作にはドラマ『不便な便利屋』(テレビ東京系)エンディングテーマ「雪風」、最新シングル「みなと」、CMに起用された「ヒビスクス」、7月にスタートしたドラマ『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(フジ系)主題歌「コメット」など14曲が収録された。

今作を最初に聴いた時まず感じたのは、もしかしたらこのアルバムは“再生”“再会”というテーマを基に作られたのではないかということだった。<遠くに旅立った君>(「みなと」)。<二度と会えない覚悟>(「小グマ!小グマ!」)<「さよなら」ってやだね>。(「コメット」)<ついに叶えられず>(「ナサケモノ」)。歌詞に残したそんな言葉からは、聴き手に死や別れを感じさせ、その別れを受け止めなければいけない人間がいることを浮かび上がらせる。けれど、この先どんな未来がやって来ても、どんな場面に遭遇しても、それでも生きていく、歩いていくんだと前進し、再生し、再会を約束できる主人公になっていく姿を曲が進むにつれて感じることができた。(この14曲の曲順がとても素晴らしい!) 収録曲の中で早い段階にレコーディングしていたのは、関東地区では昨年4月にオンエアされたドラマ『不便な便利屋』エンディングテーマのために書き下ろした「雪風」だろう。この曲が生まれた昨年の初めの時点では、新しいアルバムがどんな作品になるのかなんて、きっとまだ輪郭が見えていなかったかもしれないけれど、あのドラマのエンディング映像で主演の岡田将生が雪道を前進していく姿が、今になって私にはロックバンド・スピッツが自分たちの道を自分たちの歩幅で歩いている姿と重なっているように思えたのだった。

そして、もうひとつ。彼らがロックやバンドに初めて触れて夢中になった10代の頃から何十年経っても、自分たちを突き動かす最大の源になっているのは、まさにあの頃の初期衝動だということを、今作は感じさせてくれた。少年時代から一度たりともその初期衝動の情熱は醒めることがなく、これからもずっとそうであることを信じている彼らが、この『醒めない』の中にいる。『醒めない』というアルバム・タイトルは草野マサムネから出てきたもので、アルバムに収録されている表題曲「醒めない」はこのタイトルありきで制作期間の最後に作った曲だと聞いた。今作を象徴する曲がアルバムの1曲目を飾っているが、この歌詞に草野マサムネは<さらに育てるつもり>と書いている。育てていこうでも育てたいでもなく、育てるつもり。この言い方がなんとも草野マサムネらしいなとも思う。

毎年恒例のスピッツが主催する夏のライブイベントを終えた彼らは、8月末から今作を引っ提げた全国ツアー【SPITZ JAMBOREE TOUR 2016 “醒 め な い”】(全43公演)をスタートさせる。来年バンド結成30周年を迎えるロックバンド・スピッツの“醒めることのないロックとバンドへの情熱”をライブで思いっきり感じてほしい。
(文/松浦靖恵)

最終更新:7/26(火) 12:00

エキサイトミュージック

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