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平和を身にまとう サプールのおしゃれ

琉球新報 7月25日(月)14時29分配信

 目の覚めるような鮮やかな色合いのスーツにネクタイ、クールなサングラスにパイプをくわえてポーズを決める紳士たち。沖縄在住の写真家・茶野邦雄さんが、おしゃれと平和を尊ぶアフリカ・コンゴの紳士たち「サプール(SAPEUR)」の姿を捉えた写真展「THE SAPEUR 世界一おしゃれで平和なジェントルマン」が23日から、沖縄市久保田のプラザハウスショッピングセンターで始まっている。
◆「サプール」とは

 世界で最も貧しい国の一つで、「平均月収3万円」ともいわれるアフリカ・コンゴ共和国。

 幾度となく内戦が起こってきたこの地で、週末になると月収の何倍もの値段のブランドスーツを着こなし、軽やかなステップを踏んで街を闊歩する集団が「サプール」だ。

 写真展会場には、赤、青、黄色など、鮮やかなスーツを身にまとった彼らの写真がずらり。ビビッドな緑色のスーツ、鮮やかなストライプのパンツ、ピカピカの革靴、足元はなぜかベティーちゃんの靴下。見ていて楽しく元気がもらえる写真と共に飾られた、メッセージの一つ一つに、はっとさせられる。

◆軍靴よりもブランドスーツ

 「いい格好をしていると争いは生まれないんだよ。5000ユーロの靴を履いていても、戦争で略奪されたら自分の負け。だからサップは争いごとはしない。平和が大切」

 「軍靴を響かせて行進するのではなく、ブランドスーツを着て軽やかにステップを踏むことこそ、平和の尊さ、サプールの喜びなのです」

 「サプールの一員である以上は、暴力や嫉妬、争いとは無縁だ」

 「好きな色はふたつ。ひとつは白。それは平和の象徴だから。そしてもうひとつは赤。肌の色が違っていても同じ赤い血が流れているから」

 撮影した茶野さんは「内戦で大切な服や服飾品を失ったサプールもいる。争っては、かっこよく生きられないというシンプルで強い彼らのメッセージが伝わればと思って撮影した」と話す。



◆沖縄の地から

 24日に会場を訪れたサプールの一人、ジョン・バレタさんはこう語った。「サプールの哲学は、対暴力、対戦争。暴力や戦争に反対するための表現方法がおしゃれだということ。学校で勉強して働いてお金を稼いでも、武器は買わない。僕らは服を買って週末におしゃれをして出掛けることが楽しみなんだ」。

 サプール名、イブ・サンローランさんは、70年余り前に大きな戦争があった沖縄で暮らす人々へのメッセージを語った。「沖縄に訪れて祈るのは、サプールのメッセージを伝え、沖縄の人々、日本の人々、世界の人々に理解してもらうことです」

 「服が破れるから戦いたくない」という、すごくシンプルで根源的な平和の思い。「おしゃれ」という名の平和を身にまとうサプールたちの生き方、美学に学びたい。

(座波幸代)


 サプールとは、フランス語の「Société des ambianceurs et des personnes élégantes」の頭文字を取った言葉。「世界一おしゃれでエレガントな人々」などと訳され、時に「SAPE(サップ)」と呼ばれる。1960年までフランスの植民地だったコンゴで「平和を尊び、おしゃれに生きること」をモットーにした人々の集団。その歴史は古く、90年以上前に始まったとされる。






写真展「THE SAPEUR 世界一おしゃれで平和なジェントルマン」

入場料500円(中学生以下無料)。8月31日まで。

プラザハウスのリンクはこちら。

琉球新報社

最終更新:7月25日(月)14時29分

琉球新報