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電池で10年以上駆動? ソフトバンクがLTEモジュールを発表 IoT加速へ

EE Times Japan 7月25日(月)10時9分配信

■IoTの入り口は、70%が「Short Range」

 ソフトバンクは、2016年7月21~22日にザ・プリンス パークタワー東京で法人向けイベント「SoftBank World 2016」を開催した。同イベントでは、同社のパートナーや製品導入企業による講演、展示などが行われた。

 本記事は、同社の法人事業開発本部 事業戦略企画室で室長を務める荒木健吉氏による講演「IT・IoT(モノのインターネット)が変えていく超産業化と暮らし」を紹介する。

 IoTの普及によって、多くのデバイスやセンサーがインターネットにつながる時代を迎えようとしている。2020年、デバイスやセンサーの数は500億に到達すると予測されている。この“500億”という数字は、聞いたことがある人も多いだろう。

 荒木氏は、「注目したいのは、IoTネットワークの入り口がどこなのか」と語る。市場調査会社Machina researchとEricssonの統計調査によると、2025年のIoTネットワーク構成予測では、ビル内のPLC(Programmable Logic Controller)やWi-Fi、Bluetooth、サブギガヘルツ帯などの「Short Range」が約70%を占めるという。

 LTEなどの公衆無線とLPWAネットワークを合わせて約25%。衛星通信や固定網が残りの5%を占めると予測されている。荒木氏は、IoTネットワークにおいて、LTE、LPWAネットワークが拡大するには3つの条件が必須になると指摘する。

■必須条件を満たすのは、LPWAネットワーク?

 1つ目は、シンプル設計による低価格化である。2つ目は、省電力。IoTやM2M(Machine to Machine)の機器は、固定設置が多いため、電源工事がないことを求められる。3つ目は、カバレッジの向上だ。「固定設置をしたときに、シャッターが閉まると通信ができないとか、季節要因によって通信が不安定になってしまうケースがあった」(荒木氏)。どのような環境でも、電波が安定するカバレッジの向上が必要になるとする。

 荒木氏は、「3つの必須条件を満たすのは、LPWAネットワークと言いたい」と語る。LPWAネットワークは、ライセンスとアンライセンス周波数帯で分かれている。アンライセンスは、SigfoxやLoRaなどが有名だ。しかし、荒木氏は、「アンライセンス周波数帯は、国内においてあまり実績がない」と指摘する。

 つまり、3GPPが標準化を進めるIoT向け規格「LTE Cat-M1」「LTE Cat-M2」などのライセンス周波数帯が、3つの必須条件を実現するIoT向けインフラになるとしている。

■電池駆動で10年以上駆動

 そこで、ソフトバンクは2016年7月20日、太陽誘電とAltair Semiconductorとともに、「LTE Cat 1」に準拠したモジュール(バンド1と8に対応)を発表した。LTE Cat 1は、上り最大5Mビット/秒、下り10Mビット/秒の通信速度を出すことができるLTEの1種である。

 Altair Semiconductorは、LTEに特化したモデムチップ製品を提供するイスラエルのベンダーである。2016年1月にソニーが約250億円で買収し、子会社となっている(関連:ソニーがイスラエルのLTEモデムベンダー買収)。

 ソフトバンクが全体のサービス統括と仕様の策定を担い、Altair SemiconductorがLTEのチップセットを開発。太陽誘電は、受動部品や通信デバイスのノウハウを生かし、モジュール化を担当した。SoftBank World 2016に出展した太陽誘電の説明員は、「複雑なものは搭載せず、シンプルな設計となっている」と語る。LTE Cat M-1には、ソフトウェアのアップデートで対応できるという。LTE Cat M-2への対応も計画中とする。

 通信レスポンスや通信回数によって異なるが、電池で10年以上駆動でき、低消費電力化を実現する。今後、IoTネットワークで電池駆動が期待されるスマートメーターやセンサーノード、見守りシステム向けに、ソリューションを展開していくとした。

最終更新:7月25日(月)10時9分

EE Times Japan