ここから本文です

『ポケモンGO』の反響の凄さにナイアンティックのハンケCEOも驚き ポケモンセンターやカスタマイズ機能も検討中【コミコン 2016】

ファミ通.com 7月25日(月)23時2分配信

文・取材・撮影:編集部 古屋陽一

●『ポケモンGO』の反響ぶりを語る
 2016年7月21日~7月24日(現地時間)、アメリカ・サンディエゴのコンベンションセンターにて、エンターテイメントコンテンツの祭典、San Diego Comic-Con International 2016(通称:コミコン)が開催。開催最終日の7月24日に、いま全世界で大ブームを巻き起こしている『ポケモンGO』をフィーチャーした“Re-Imagining Reality: Bringing Games into the Real World with Ingress and Pokemon GO”が開催された。

 当初、開催初日に比較的小さな部屋での実施を予定していたこのセッションだが、『ポケモンGO』の盛り上がりぶりを見た主催者側が、サンディエゴ・コンベンションセンターで最大の収容人員を誇るホールHに場所を変更(6000人収容!)。通常は、ハリウッドスターなどがずらりと並んで賑わうホールで、司会者とナイアンティックのジョン・ハンケCEOのふたりによるセッションが行われた。主催者によると、ホールHでビデオゲームのパネルを実施するのは、これが初(!)とのこと。ちなみに、司会を務めたクリス・ハードウィックさんは、俳優・コメディアンにして、テレビ番組の司会もこなすという才人。今回『ポケモンGO』のパネルがホールHに変更されることを知ったクリスさんは、Twitterでみずから「司会をやりたい!」と売り込みをかけたという。どうやら相当な『ポケモンGO』ファンのようだ。なにはともあれ、前代未聞のセッションだったわけです。

 セッションは、まずはジョン・ハンケ氏の略歴から紹介。ハンケ氏は10年間Googleで働いて独立。Keyholeという会社を作り、『Earthviewer』というアプリを出したことが説明された。そしてKeyholeは、ほどなくしてGoogleに買収され、『Earthviewer』はGoogle Earthとしてローンチされることになる。「Google Earthは、いままででいちばん楽しいプロジェクトで、すばらしい時間を過ごしました」とハンケ氏。

 マップを見ると、どうにかゲームとの連動ができないかと考えることが多かったというハンケ氏は、“いままでとは違うことをやりたい”との思いから、Google内で小さなグループを作り、“モバイル”、“マッピング”、“ゲーミング”などをキーワードにさまざまな検討をしたという。そこでいまの『Ingress』にいたる下地ができたわけだ。

 2015年8月にGoogleから独立を果たしたナイアンティックだが、当初その社名はコードネームだったという。インターネットには人々が知らないようなおもしろいことがたくさんあるが、おもしろい情報にたどり着くのは難しい。たとえば、サンフランシスコには、ゴールドラッシュで金鉱を掘りに来ていた人たちが乗ってきて、その後捨てられた船が溜まっていた場所があり、岸に引き上げられてホテルやバーとして使われていたことがある。そのひとつが“ナイアンティック”だというのだ。“ナイアンティック”は、いまはサンフランシスコの下に埋もれていて、人が訪れることはできないという。埋もれているおもしろい情報を探り当てたいというのが、“ナイアンティック”の発想としてあるようだ。

 『Ingress』はAR(拡張現実)を駆使したコンテンツだが、「なぜ、VRではなくて、ARの方向に行くことにしたのか?」とのクリスさんの問いにハンケ氏は、「VRは大きな可能性を持っており、大きなスタジオが投資していますが、家に閉じこもって外にでなくなるのではないか……という危惧を持っています。一方で、ARは外に出ることを奨励します。いろいろなことを楽しくしてくれるんです」とハンケ氏。「人はほかの人といっしょにいると、エンドルフィンが出てハッピーになります」という。2013年に『Ingress』のサービスを開始してから3年経つが、ハンケ氏自身、いろいろな場所に行って、ほかの人たちと交流しているという。「コミコンでは、同じ趣味を持った人たちが集まってくるのでよくわかると思うのですが、『Ingress』はいつもコミコンが近くにあるようなものです」というハンケ氏の言葉は、言い得て妙だと思う。さらには、「家庭用ゲーム機は電源につながないといけないので、家から出られませんが、スマートフォンやウェアラブル端末なら、外に出て楽しめます」(ハンケ氏)という。

 『ポケモンGO』は、昨年8月にGoogleから独立して、任天堂などからの援助を受けて、実験的にスタートしたプロジェクトが結実したもの。『Ingress』が楽しいことはわかっていたので、『Ingress』の下地に『ポケモン』という強力なIPを合わせた同作は、より多くの人を取り込めると自信を深めたという。

 そんな『ポケモンGO』だが、いざリリースされてみると、ご存じの通りの人気ぶり。その反響についてハンケ氏は、「本当にびっくりした」という。「任天堂とポケモンの関係者がこの会場にいらっしゃっていると思いますが、彼らの寄与するところが大きいです。『ポケモン』は今年で20周年を迎えますが、任天堂はゲームとそれに付随する環境をとても大事に育ててきました。これと実際のゲーム経験がいっしょになれば、ある程度の成功は見込んでいましたが、これほどまでとは思いませんでした」と口にする。

 『ポケモンGO』がグローバルでローンチされたとき、ハンケ氏は『Ingress』のイベントのために日本にいたらしいのだが、サーバーがたいへんなことになってやきもきしたようだ。「チームにはエキスパートもいますし、Googleもバックアップしてくれていたので、ある程度はいけると踏んでいたのですが、ここまで膨らむと予測していませんでした。そのため、急いでサーバーを追加したんです。日本からソーシャルメディアを見ていて、現実とは思えなかったです」。アメリカの有名な司会者であるジミー・ファロンさんが『ポケモンGO』のことをツイートしているのを見て、反響ぶりを改めて実感したのだとか。

 セッションでは、ハンケ氏の口から自身の体験も交えての、『ポケモンGO』リリース後の反響が語られた。「私は、ハイキングコースの近くに何年も住んでいるのですが、上のほうまで行ったことはありませんでした。『ポケモンGO』のリリース後、気になって上のほうまで行ってみると、ティーンエイジャーから年長者まで幅広い層がプレイしていました。ゲームは外に出て楽しむための理由になりますね」。さらには、 「私は毎日ダイナーで朝食を取るのですが、そこのウエイターは不愛想なやつで一度も口をきいたことがなかったんです。ところが『ポケモンGO』を遊んでいたら、声をかけてきました。そして初めてつながりを持つことができたんです」など……。



 『ポケモンGO』が、病院で子どもの治療の一環として使われていることもハンケ氏を喜ばせている。「私は医者ではありませんが、セラピーに使えるのではないかと考えていました。チームは毎日長時間働いていて、たいへんなこともありますが、こんな話を聞くことが、いちばん開発のモチベーションにつながります。ゲームをプレイするところから、より大きなことへつながっているんです」(ハンケ氏)。

 ハンケ氏の口からは、『ポケモンGO』自体に関する気になるコメントも聞かれた。「ポケモンはたくさんの種類がありますし、それぞれのキャラクターはすばらしいと思います。今後はさらにレアなポケモンも登場することになるでしょう」とのこと。さらには、トレードについても言及し、「トレードに興味がある人たちもいるでしょうね。いずれは進めていきたいと思っていますが、いまはサーバーのほうが忙しいです」といったコメントも。さらには、「ポケモンセンターやカスタマイズ機能の実装なども検討しています。本作は、MMOの1種だと考えているので、長期にわたって投資していく予定です。チームでもいろいろなアイデアを持っていますが、コミュニティーからもさらにフィードバックをもらっていますよ」との、気になる発言も聞かれた。

 セッションの最後には、サプライズとして、いままでシルエットのみが明らかにされていた、各チーム リーダーのビジュアルが公開。会場からは期せずして歓声が湧き上がった。チーム ヴァーラはCandela(キャンデラ)、チーム ミスティックはBlanche(ブランシェ)、チーム インスティンクトはSpark(スパーク)となる。

[関連記事]
※『ポケモンGO』各チーム リーダーのビジュアルがサプライズ公開【コミコン 2016】

 最後は、6000人の盛大な拍手に包まれて、ナイアンティック ジョン・ハンケCEOのセッションは終了した。

最終更新:7月25日(月)23時2分

ファミ通.com