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iPhoneと連動するスマートな照明器具、ソニーの「マルチファンクションライト」導入記

ITmedia LifeStyle 7月25日(月)13時26分配信

 本連載の初回に取り上げたソニーの「マルチファンクションライト」がわが家に届いた。前回の開発者インタビューを踏まえて、今回はスマートな照明器具を家庭に導入した体験記をお伝えしようと思う。自宅を“スマート化”したいと狙っている方々の参考になれば幸いだ。

エアコンの操作も「MF Light」アプリからできる

●設置は簡単

 ソニーのマルチファンクションライトは、LEDシーリングライトに、「マルチファンクションユニット」と呼ばれる、ソニーが得意とするセンサーやネットワーク通信関連の先端技術を詰め込んだコア・ユニットによる2ピース構成の製品だ。2つの製品を合体させた状態で天井に設置することになる。

 製品が発表された当初、ソニーはハウスメーカーや家電卸業者を通して天井への設置サービスもコミで販売するとしていたが、3月末にソフトバンクが立ち上げたIoT関連のサービス・製品を支援するプラットフォーム「+Style」でも取り扱われることが決まり、個人でもインターネット通販で買えるようになった。今回取り上げる“間接照明あり”バージョンの「LGTC-100 照明キット」は6万4800円(税込)で販売されている(編集部注:+Styleによると、7月28日で販売を終了するようです。欲しい方はお早めに)。

 天井への設置は、引掛シーリングボディー(天井にある照明用ソケット)にLEDシーリングライトを取り付けるためのアダプターを装着してから、中心にマルチファンクションユニットを固定するという手順。筆者は夏前に自宅の引っ越しを経験したばかりだったので、シーリングライトの着脱作業は手慣れたもの(?)。本機も簡単に設置できた。

 天井の引掛シーリングボディーは、天井からの“出しろ”が22mm、または11mmという一般的なものであればスムーズに取り付けられる。シーリングライトの直径は657mmなので、もし天井のライト周辺に出っ張りがあったり、形が特殊な場合や万一引掛シーリングボディが見当たらない場合などは、購入前に照明器具の取り扱い店に相談した方がいいと思う。

 引掛シーリングディーに専用のアダプターを装着後、LEDシーリングライトの本体をカチッと音がするまで押し上げて固定する。続いてアダプターから出ている電源コードのコネクターを本体のソケットに接続。カバーを取り付ければLEDシーリングライトらしくなってきた。最後にセンターの空間にマルチファンクションユニットをまっすぐに挿入して、少し回転させてフックを固定する。家族に手伝ってもらいながら、プロの手を借りずにインストールが完了した。

●リビングを照らす明るさは十分

 マルチファンクションライトのインストールに最適な部屋サイズは8畳相当とされている。今回筆者が本機を設置したリビングルームはだいたい12畳ぐらいだが、間接照明をつけずに主照明だけでも60~70%ぐらいの出力で十分に部屋全体が明るくなる。主照明は黄色い電球色を白い蛍光灯色を基準に、その間の色合いも自在に選べるほか、明るさも細かく調節できる。

 本体に付属するリモコンで照明のオン/オフから、間接照明の細かい色合いなどが操作できる。ただ、他にもマルチファンクションライトに搭載されているさまざまな機能は付属リモコンだけでは操作できないので、ここからがモバイルアプリ「MF Light」が活躍する場面だ。

 MF Lightアプリは本稿を執筆している7月中旬時点ではまだiOS版のみがリリースされている。対応する機器はiOS8.0以上を搭載するiPhone 4S以降の機種になる。iPadのネイティブ版もまだなく、iPadではiPhone版の画面を拡大して使う。これから格安スマホが普及するだろうと言われているので、Androidアプリのローンチも急いだ方が良いのではないかと思う。

 今回はiPad Pro 9.7インチをマルチファンクションライトにつないで機能を試した。宅内ではWi-Fi接続での利用がメインとなり、宅外からも7月上旬に実施されたソフトウェアアップデートにより、LTE/3G通信を経由して後ほど詳しく説明する「伝言」「みまもり」「おでかけ確認」の各機能が操作できるようになった。

●専用アプリから使える機能にはどんなものがある?

 アプリから操作できる最も基本的な機能が照明のコントロールだ。画面上でカラーパレットを操作しながら、RGBフルカラーから間接照明の色合いが直感的なタッチ操作でコントロールできる。以前にフィリップスの「HUE」を取材して感じた色合いよりも、赤や青、紫などビビッドな色がマルチファンクションライトの場合は少し落ち着いた雰囲気に抑えられている印象を受けた。

 壁スイッチの電源からオフにしてしまうとマルチファンクションライトの各機能が停止してしまうので、照明のスイッチはリモコンの消灯ボタン、またはアプリから消すようにする。点灯時の主照明と間接照明の明るさや色はメモリー機能を使って固定しておく。その操作方法は、物理リモコンのメモリーボタンを押しながら点灯ボタンを押す。ほどなくして“ピー”とアラームが鳴って、最適に調整した色合いと明るさが登録される。

 マルチファンクションユニットの本体には人感センサーやタイマー機能、フルレンジのモノラルスピーカーにmicroSDカードスロットなどが搭載されている。これと絡めてマルチファンクションライトが実現している機能を1つずつ試してみよう。

●人感センサーを活用する自動操作機能が便利

 はじめに外部接続機器との連携だが、以前インタビューの中で紹介した通り、エアコンやソニー製以外も含むテレビのリモコン操作に対応している。エアコンとの連携機能はしっかりと作り込まれていて、MF Lightアプリのメインメニューの中に「エアコン」が含まれていることからも位置づけの重要度が分かる。

 わが家のエアコンはダイキンのものだが、アプリを立ち上げて赤外線リモコンコードが合致するまで信号を送信すると、早くも2度目のタップで合致して、エアコンがピピッと鳴って起動した。アプリからはエアコンのオン・オフだけでなく、運転モードの切り替え、温度や風量の調節ができるようになる。物理リモコンでやればいい操作ではあるが、アプリの画面の方がどことなく温度の上げ下げなど視覚的に操作していて楽しく感じる。でも、暑い夏、寒い冬にはタブレットを起動して、アプリを起動して、と手順を踏むのが煩わしいことも確か。本機能の真価は、このあと紹介する人感センサーとの連携で発揮される。

 テレビとの連携は一段とシンプルだ。リモコン信号をペアリングする手順はエアコンと一緒。テレビの場合はMF Lightアプリから電源をオン・オフするメニューは設けていない。実際、家にいる間はテレビのリモコンがあれば十分だし、テレビのリモコンには乗っている機能が多すぎるので完全移植する意味がないことも分かる。その代わり、次に紹介する「タイマー機能」と連携して、かゆいところに手が届く便利な使い方ができるようになっている。

 アプリのメインメニューから「タイマー」を選択すると、「おはようモード」「おやすみモード」「自動モード」「カスタムモード」の4項目が並んでいる。それぞれに詳細を設定して、朝起きた時、就寝時など決まった時間にマルチファンクションライト本体や、連携する家電のスイッチをオン/オフできるようになる。

 例えば「おやすみモード」からは、照明、テレビ、エアコンを「消す」操作のルーチンを曜日と時刻で決められる。「おはようモード」では、マルチファンクションユニットが搭載するスピーカーから、目覚まし代わりにアラームや音楽を鳴らす設定もできて便利だ。筆者が特に便利に感じたのは人感センサーと連動させる「自動モード」だ。ユーザーが部屋に出入りする動作をトリガーにして、照明やテレビ、エアコンをオン・オフできるよう登録する。これを活用すれば、平日の18時から23時の間に帰宅してマルチファンクションライトを設置した部屋に入ったら電気とエアコンを点けて、テレビが起動するといったプログラムを組んでおくことができるので、あとはゆっくり荷物を下ろして、部屋着に着替えたり身支度に入ることができる。

 ただし、帰宅後は人感センサーをオフにしておかないと、いったんテレビを消した後でも人の動きを検知すると電源が入ってしまうので、「2度目に動きを検知しても動作しない」といったアルゴリズムの見直しや、物理リモコンに人感センサーだけをオン/オフする単機能のボタンを付けるなどした方が良いと感じた。

●マイクを使ったボイスメモ機能

 マルチファンクションライトにはマイクが内蔵されているので、ボイスメッセージなどの機能が使える。その1つは、マルチファンクションライトを設置した部屋と、家族のスマホとの間で通話ができる「よびかけ」機能だ。スマホから呼びかけると、マルチファンクションユニットのスピーカーから声が聞こえてきて、よびかけに答えるとスマホから音が聞こえる。子供部屋にマルチファンクションライトを設置しておけば、「ごはんですよー!」「宿題やったの!?」といった会話が離れていながら可能になる。マイクの感度は良好、スピーカーもしっかり音声が聞こえるので実用的な機能だと感じた。

 「伝言」機能でも同様に、マルチファンクションユニットのマイクで60秒までのメッセージを吹き込んでおき、人感センサーが家族の帰宅に反応するとメッセージを再生する。ソフトウェアのアップデートにより、外出先からでもちょっとした伝言が残せるようになったのが便利だ。伝言がきちんと再生されたら登録したメールアドレスに報告される。ただ、現状は登録できるメッセージが1件までなのが惜しい。家族に伝えたいことを思い出すたびに、前回のメッセージ付け足しながら録音しなおさなければならない。「出かける時は鍵を閉めて!」「宿題やりなさい!」といった、家族にとってお決まりのメッセージを定型化して吹き込んでおき、場面ごとに選びながら伝言メッセージにしておければさらに便利だ。

 「みまもり」はぱっと聞くと、どんな機能なのか分かりにくいが、留守中に電気を自動で消灯/点灯させて、不在であることを他人に分からなくするためのセキュリティ系機能だ。オンに設定しておけば、人感センサーが万が一の不審者を感知した場合は警告音でアラームを鳴らして、登録したメールアドレスに知らせてくれる。長期で旅行にでかける時に設定しておくと便利に感じられるかもしれない。

 「おでかけ確認」は外出後に照明や音楽再生機能の消し忘れを防ぐための機能。LTE経由でもまとめてオフにできるので使い勝手がよい。

●内蔵スピーカーで音楽を聴いてみる

 音楽再生機能についてもチェックしてみた。マルチファンクションユニットには46mm口径のフルレンジスピーカー1基とバスレフポートを搭載。5Wのアンプも積んでいるので、約10畳の部屋を満たすぐらいのパワーのある音が出せる。中音域の密度が濃いめなので、ボーカルものやインストゥルメンタル系の曲はメロディラインの輪郭がはっきりとしていて聴きやすい。夜中にボリュームを低くして聴いても音色が褪せないし、リズムの芯もしっかりと捉えるので音楽らしさは損なわれない。音域はそれほど広くないが、BGM的な使い方なら十分楽しめる。

 再生できる音源はiOS端末の「ミュージック」アプリにダウンロード保存されているもので、オンラインストリーミングをそのままライトに飛ばして聴くことはできない。iOS端末からストリーミングして聴く場合は、MF Lightアプリを閉じたりタスクのバックグラウンドに回してしまうと音楽が途切れてしまう。端末のバッテリーが減ってしまうことも含めて、使い勝手の良さを考慮してマルチファンクションユニットにmicroSDカードを装着して、こちらにファイルを転送して聴くこともできる。

iOS機器のミュージックアプリからマルチファンクションユニットのmicroSDカードに楽曲を転送すれば、iOS機器でアプリを終了しても音楽再生が途切れない

 ただ、microSDカードに直接ドラッグ&ドロップして保存した音源はどんなファイル形式であっても再生ができないので、必ずiOS機器のミュージックアプリを経由して転送しなければならない。筆者のようにミュージックアプリは普段あまり活用していないユーザーにとってはちょっと面倒に感じられる。マルチファンクションユニットは設置後も取り外しができるので、ある程度定番の楽曲はmicroSDカードに手作業で入れて聴ける選択肢もほしい。

●進化し続けるスマートLEDライトの今後に期待

 リビングのちょっとしたオーディオ機器代わりにもなる照明器具の存在は頼もしく感じられた。ボイスメモ機能も含めて“音”を共有することで、家族のコミュニケーションも深まる。スマート家電としてのマルチファンクションライトの新鮮味と便利さは、使ってみて徐々に実感が深まっていった。今後はエネマネ機能を軸に、エアコンとテレビのほかにも空調家電や調理家電など広がれば「おでかけ確認」の機能もさらに有意義なものに感じられるようになりそうだ。マルチファンクションライトと連動する小型のスマート間接照明なども発売され、一緒に制御できたら部屋の照明デザインも楽しみたくなる。

 マルチファンクションユニットは着脱できて、持ち運びも可能なサイズなので、シーリングライトから外して他の部屋に設置したスタンド型ライトに装着して使ったり、カーオーディオと連携ができたりとポータビリティを生かして活躍の場面が広がる可能性もある。ソニーではユニット部を生かした他社とのコラボレーションや、APIを公開して様々なマルチファンクションユニットとつながるアプリケーションの展開もオープンマインドに探りはじめているという。今後もメーカーや製品カテゴリーの垣根を越えて、自由に進化していくことを期待したい。照明器具は家庭で長く使う家電なので、常にソフトウェアアップデートなどでプラスαのスマートな価値が付加されていく製品になれば、その魅力を強くアピールできるだろう。

●山本 敦(オーディオ・ビジュアルライター)

オーディオ・ビジュアル誌の編集・記者職を経たのち、フリーランスのライターとして活動する。ハイレゾに音楽配信、スマートフォンなどポータブルオーディオの最先端を行く技術とサービス、コンシューマー向けエレクトロニクス機器全般の使いこなしをテーマとするレビューに加えて、それぞれの開発者へのインタビューを得意とする。海外での展示会取材レポートやメーカー開発者へのインタビューなども数多くこなす。

最終更新:7月25日(月)13時26分

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