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“AIBO”が尻尾を立てて出迎える“VAIO”の安曇野工場に潜入 設立2周年で同社が目指すものとは?

ITmedia PC USER 7月25日(月)21時7分配信

 PC業界に衝撃が走ったソニーのPC事業譲渡から早2年――2014年7月1日に誕生した「VAIO株式会社」が設立から2周年を迎えた。代表取締役社長の大田義実氏が新社長として就任した2015年6月、VAIOが目指すものとして挙げたのは「自立」と「発展」だ。

【画像】VAIO Zで使われている最小部品

→・目指すはロボット製造のVAIO?:「2017年度にPCと新事業の収益を1:1へ」――大田新社長が語るVAIOのこれから

 太田社長が言う“自立”とは、設計と製造から販売、サポートまで、一貫した体制を築くこと。“発展”は、VAIOで培ってきた強みやVAIOらしさを生かして新規領域事業を成長させることだ。この宣言から1年、2015年度は大幅売り上げ増加により営業利益の黒字化に成功し、2014年度からのV字回復を達成。PCで培った製造技術を生かして開始した受託事業も想定以上に調子がよく、「PC事業と新規領域事業を2017年度に1:1にするという目標が早まる可能性もある」(太田氏)としている。

 好調のVAIOが、2016年度の目標として新たに掲げるのは第三のコア事業立ち上げだ。現状のコアはPC事業と2015年から始めた受託事業の2つ。太田社長は「2016年度は(これら2つを)安定的に拡大していく。さらに今年の目玉として、新たに第三のコア事業を立ち上げる。安曇野工場のPC製造技術と人材、設備を生かす受託事業が予想以上にうまくいった。今後はVAIOからも主体的に事業を進めていこうということ。お客さんとの接点もできているので、共に第三の事業を進めていきたい」と語った。

 これは好調の受託製造から新しい事業の芽を見つけて第三のコア事業へ育てるといった意味合いを持つ。ジョイントベンチャーや投資も想定して進めていくという。

 今回は、「自分で“ものづくり”を続けていきたい」とも語った太田社長が自信を持つVAIOの製造工程。そしてVAIO本社でもある安曇野工場に潜入してきたので、写真を中心にレポートをお届けしよう。

●歴代モデルが並ぶ、VAIOの里へ!

 長野県安曇野市に位置する安曇野工場は、設計から製造ラインまで全てがそろう工場だ。1961年に東洋通信工業豊科工場として建設され、1974年に長野東洋通信株式会社としてソニーの100%子会社となった。当時は主にオーディオ関連製品を製造に特化していたといい、家庭用コンピュータの「MSX」や、UNIXワークステーション「NEWS」の製造もこの地で行われていた。現在は約240人の従業員を抱えている。

●「VAIO Z」の製造工程

 VAIOのフラッグシップモデル「VAIO Z」は、製造の全行程を安曇野工場で行っているのが特徴だ。まずディスプレイやキーボードといった外装部分に専用の機械によって接着剤を塗布し、それらを1つの製品に組み立てる。最適な接着剤の量が決まっており、これは人間の手よりも機械のほうが正確なのだとか

 VAIO Zには、「クラムシェルモデル」とディスプレイが回転してタブレットモードになる「フリップモデル」の2つが用意されている。

 特にフリップモデルは、天板部分の中央に切れ目があるため、部品として2つのアルミ板が必要だ。ただし、それぞれを単独で調達すると色味などにわずかな差が生まれてしまう。それぞれの色味が完全に同一となるように、どちらの部品も素材のロットや部位が同じになるよう1枚のアルミ板から製造して工夫しているという。

 製造工程を終えたマシンは、黒い箱のような装置に入れられる。キーボードの配列やディスプレイ、スピーカーの音といった30項目を、カメラ撮影によるパターンマッチングなどによって検査するためだ(残念ながら撮影不可)。さらに、見た目や使用感など100項目に及ぶチェック項目を、資格を有する技術者が人の手によって検査するのだ。

●基板の実装は?

 VAIO Zに組み込まれる基板の製造工程をのぞいてみよう。安曇野工場にある基板の実装ラインは7本あり、VAIO Zの基板を製造している2本のラインでは、1つの基板が完成するのにわずか20分ほど。1日8時間で560台、24時間稼働した場合は1680台も製造することが可能だ。VAIOにおける基板実装の特徴は、大型部品から小チップ部品までを高密度に混載すること、そしてキャリアと呼ばれるプレートに基板を組み込んでいくことで、品質と効率を共存しているところだ。

●製品の設計や品質チェックに利用される「EMCサイト」

 EMCとは「Electro Magnetic Compatibility」の略で、電磁的に他の機器や人体に妨害を与えず、妨害を受けない性能を持たせるといった意味合いを持つ。安曇野工場にも、これらのテスト環境が計8部屋準備されているという。

 これらの部屋で、基準値以上の電磁波を発していないか、静電気への対策はしっかりできているかをチェックするのだ。

●“安曇野フィニッシュ”は「VAIO Phone Biz」でも健在

 VAIO Z以外のVAIO製品は、海外で生産が行われている。しかし、最終的な品質チェックは全て安曇野の工場で行っており、OSのインストールや、法人の要望に合わせたカスタマイズが可能だ。同社はこれを「安曇野フィニッシュ」と呼んでいる。

 最後になるが、同プレスツアーに参加した執行役員副社長の赤羽良介氏は、「商品を開発するにあたってデザインポリシーをしっかり作ろうということになった。それは、最高のアウトプットを生み出すことに挑戦する人々に“カッコイイ・キモチイイ”という価値を提供すること」としている。経営体制が大きく変わり、PCラインアップの選択と集中、新規領域への進出など、“VAIO株式会社”として新しい試みが行われているが、ものづくりに対する真骨頂は変わらない。2年目を迎える同社の展開に期待したい。

最終更新:7月26日(火)2時18分

ITmedia PC USER

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