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【インタビュー】VALSHE、復活「“そうまでしても作りたいんだ”っていう自分の気持ち」

BARKS 7月25日(月)18時30分配信

VALSHEとして復活の狼煙を上げる第一弾ミニアルバム『RIOT』が7月27日にリリースされる。サウンドプロデューサーとして、作曲家として、デビュー前からサポートし続けてきたminatoとの新ユニットViCTiMが突如活動をストップして約4ヶ月。予期せぬ出来事に一時は失意のどん底に落ちたVALSHEを奮い立たせたものは、音楽への飽くなき欲求だった。

◆「RIOT」ミュージックビデオ1cho.ver

そしてリリースされる作品が『RIOT』だ。止められない衝動をVALSHEは“暴動”と表現した。緊急復活を決めるまでの経緯と心境、minato不在でほぼすべての作曲と歌詞を自身で手がけたミニアルバムについて包み隠さず語ったVALSHEだが、慎重に言葉を選びながらひとつひとつの質問に丁寧に答えてくれた姿が印象的なものとなった。決意に溢れたロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■もちろん大変なこともあったけど
■今じゃないと出来なかったアルバムだ!って

──まずはVALSHE復活のいきさつから教えてください。デビュー以前からサウンドプロデューサーでもあったminatoさんとのユニットViCTiMは彼の心身不良により活動がストップしてしまいましたが、急遽、VALSHEとして動くことになった経緯というのは?

VALSHE:今年4月にminatoの様子を見て、今は音楽ができる状態ではないと思って活動休止を決めたんです。そう判断してから3日間は自分自身もドーンと落ちて心身が止まったようになってしまったんですが、少し落ち着いた時に“曲を作りたい” “この気持ちを音楽にしたい”と考えていて……。このまま止まりたくないという気持ちが強かった。“だったら、今回の事態が起こらなかったら、できなかったものを作ろう”と思ったのがいきさつですね。

──不測の事態だったわけですよね。

VALSHE:ええ。ただ、時期は早まったもののVALSHEとしての一時活動休止を発表した段階で、2016年に復活することは決めていたんです。だから“(ViCTiMが)止まってどうしよう”というよりはminatoの状況によって自分自身も3日間は“無”になってしまったという。VALSHEをやると決意してからはすぐに今回のミニアルバムのテーマが決まって、ViCTiMとして作品を制作したことで吸収したこと、ViCTiMを経てVALSHEとして復活した時にやってみたいと思っていたことを全部落とし込もうと思いました。それからすぐスタッフや制作の方にアルバムを作りたいと伝えたのがスタートです。

──minatoさんはVALSHE作品のサウンドプロデューサーであり、大半の作曲を手掛けていましたよね。そういう意味で“どうしたらいいんだろう”と途方に暮れたりは?

VALSHE:正直な話、“どうしたらいいんだろう”とは思わなかったですね。なぜかというと彼がVALSHEのサウンドをプロデュースし、考えていた時期を経て、自分の顔を表に出した転換期(2014年)には“次はこういう曲が欲しい” “こういう映像にしたい”と以前より積極的に発信するようになっていたからなんです。たぶん、minatoは“休憩してもVALSHEなら制作環境も含めて大丈夫だろう”と思ったから、今のような状態になったんじゃないかと、自分はどこかで思っています。

──VALSHEさん自身、今回の出来事があって、自分がこんなにも音楽を作りたい、ライヴをやりたいんだと思っていることを再確認したのではないですか?

VALSHE:確かに“そうまでしても作りたいんだ”っていう自分の気持ちに気づかなかったかもしれない。

──待っているファンの人たちのことも頭をよぎったでしょうしね。切り替わってからすぐに曲を作り始めたんですか?

VALSHE:作るモードにシフトしてからは早かったですね。制作期間は1ヶ月と短かったんですが、いつも以上に自分の中に明確なヴィジョンがありました。あとから振り返ると空白の3日間は大事だったんだと思いましたね。

──さっき話してくれた大きなテーマというのはミニアルバム『RIOT』のタイトルと直結しているんですか?

VALSHE:そうですね。何も考えられない、何もしたくないという日々の中で止まっていた自分の心を奮い立たせてくれたのが音楽をやりたいという気持ちだったんです。VALSHEの最重要人物であるminatoが足を止めてしまっても“作りたい!”という気持ちと“作れる!”という自信さえあればイケるって。その感覚が自分の中で“RIOT”だった。社会的な暴動という意味ではなく、内に秘めた暴動というニュアンスです。自分を奮い立たせて暴動を起こしていたいという気持ちがこのアルバムを制作する上での気づきであり、モチベーションだったので、それをテーマに作ろうと。

──最初に『RIOT』というタイトルを聞いた時はめちゃめちゃ激しい、怒り狂ったアルバムなのかと思いました。

VALSHE:ふふ(笑)。人の喜怒哀楽の中で表層的にいちばん強い感情なのが“怒り”だと思うんですよ。そこを中心に据えながら、いろんな時期のVALSHEのサウンド、いろんな時期の出来事、いろんな顔のVALSHEを見せられたらと思って作りました。

──こんなに中身の詰まったアルバムを1ヶ月で制作したことにも驚きますが、VALSHEさんが自身の想いを楽曲にちゃんと昇華させていることにも驚かされます。感情だったり、衝動をまんま吐き出してしまいそうなものなのに。

VALSHE:でも、スタジオに入って新しいことを取り入れながら制作している期間はすごく楽しかったんですよ。予定していたタイミングとは違ったし、もちろん大変なこともあったけど、「これ絶対、今じゃないと出来なかったアルバムだ!」って。ファンの人はもちろん、たくさんの人に聴いてほしいと思ったし、“minatoに絶対にいいって言わせてやる!”って思いながら作りました。今までの作品ももちろん愛おしいし、完成した時の達成感もあったけど、今回はまた違う感情があって、すごく愛着があるし、“作ってよかったな”って思えました。

■「VALSHEは悲しい時に怒るよね」って
■minatoが言っていたことを思い出したんです

──ミニアルバム『RIOT』は映画音楽のように美しくもの哀しいインスト「silencio」で始まりますね。

VALSHE:ええ。リリースした直後にツアーが始まることもあって『RIOT』はツアーにこの作品を持っていくんだという意識で作っているんです。「silencio」はライヴのオープニングをイメージしています。ここから「RIOT」に繋がっていくので嵐の前の静けさを表現した楽曲ですね。

──その嵐のポジションに来る「RIOT」はどんなふうに生まれた曲ですか?

VALSHE:ミュージックビデオに出てくるイメージシーンが先に浮かんだ曲です。頭の中にあったものを絵に起こして監督に伝えて、その次にジャケットのアートワークを決めました。VALSHEと壁とグラスと水をモチーフにした映像を撮りたかったんですが、その時点では曲はまだ存在していなくて、後から絵のストーリーに合う曲をイメージして作りました。

──すでにアップされているショートヴァージョンでもグラスに注いだ水がしたたり落ちるシーンが出てきますが、なぜ水だったんですか?

VALSHE:ミュージックビデオ、ひいてはアルバム全体を“喜怒哀楽”の感情で表現しようと思ったことがキッカケになっているんです。自分は感情をウワーッて発散させたい時に水を凍らせて割るんです。

──どうやって割るんですか?

VALSHE:プラスティックのコップに水を入れて凍らせたものを出すと氷の塊になるじゃないですか。それをバーンとベランダに投げつけたりとか。

──ビデオにそういうシーンが出てきますね。壁に投げつけている。

VALSHE:そう。すごくスッキリします。

──損害も少なそうで、それ、いいですね(笑)。

VALSHE:水ですからね。小さい頃によくそういうことをしていたのを思い出したんです。それだけではなく、人は水の中で遊んだり、いろんなことを表現するし、水そのものにいろいろな表情があると思ったので、今回のアルバムにピッタリだなと。

──なるほど。ライダースジャケットに身を包んだファッションも曲調と同じく攻めのイメージですが。

VALSHE:これまでは楽曲の世界観に合わせて着るものもミュージックビデオもいろいろ挑戦してきたんですが、VALSHEとして復活する時には、自分がいちばん好きなもののド真ん中を行こうって最初から決めていたんです。なので、単純に自分の好みのファッションですね。それが結果、アルバムのコンセプトと合致したっていう。曲調に関しては激しいロックサウンドにしようということだけは最初から決めていました。このタイミングで悲しげなバラードを歌うのは絶対に違うと思っていたのと、曲を作る時にminatoが「VALSHEは悲しい時に怒るよね」って言っていたことを思い出したんです。“だったら怒ってやろうじゃないか”と。怒りを表現すればするほど、つまりはそういうことなんだっていう解釈してくれる人がいたらそれでいいと思って作りました。歌詞は自分自身の素直な気持ちだったり、“こういうふうに生きていくんだ”っていう決意表明でもあります。今回のことでファンの人にはすごく心配をかけたんですが、その答えになるような歌詞を書きたいって。

──サウンドは?

VALSHE:VALSHEが歩んできた過程を踏まえつつ、ViCTiMで取り入れた生のサウンドや激しさを融合させています。VALSHEのライヴ制作を手掛け、ViCTiMでもプロデューサーを担当してくれたShunさんと、いろいろ相談しながら作っていきました。

──「RIOT」のミュージックビデオを最後まで見るとストーリーの読み解きができるということですが。

VALSHE:そうですね。喜怒哀楽がモチーフになっているアルバムでもあるので、いろいろな壁に立っているVALSHEを見て、どれが怒りの壁でどれが喜びの壁なんだろうって探してほしい。置いてあるグラスたちがどうなっていくのか、どのグラスはどんな感情に侵食されているのか追って見てもらっても楽しいと思います。

──まさに核となる1曲ですね。minatoさんと歌詞を共作している「COUNT DOWN」はViCTiMの「ゼロサム・ゲーム」を思わせる部分もあったのですが。

VALSHE:「COUNT DOWN」は本作で唯一の既存曲なんです。実はVALSHEがデビューする前から存在していた曲で、これからどういうサウンドを作っていこうかと話している時に作曲者のdorikoが「VALSHEにはこういう曲が合うんじゃないかな」って持ってきてくれたんです。当時からすごくカッコいい曲だと思っていただけに簡単にはリリースしたくなくて、いつか出す時が来るまで待っていようって6年間、眠らせていたんですが、この復活のタイミングでVALSHEのいちばん根底にある曲を形にするべきだろうって。歌詞は当時、minatoの書いたものを活かしながら完成させたので、2人の共通部分をくりぬいているという意味でViCTiMに近いのかもしれないですね。

──では「COUNT DOWN」のサウンドはVALSHEの原点?

VALSHE:そうですね。アップテンポのデジタルサウンドで、全トラックの中でいちばん過去のVALSHEが強く出ている曲だと思います。復活するに当たって変化した部分もあるけれど、歌詞も含めて、こういう部分を捨てる気は一切ないということをわかってもらえたらいいなと。

──踊れるナンバーからガラッと曲調が変わる「MONOLOGUE」は美しく普遍的なメロディが光るバラードとなっていますが、この曲は“喜怒哀楽の”哀“ですか?

VALSHE:そうですね。この曲は「RIOT」の裏側にスポットを当てた曲です。

──失意と希望が混ざり合った歌詞ですよね。どんな終わりもすべて始まるためだと思っていたいと歌っている。

VALSHE:今回のことに限らず、VALSHEとしてさまざまなことを経験する中、喪失感に襲われたこともあったし、止まろうと思えば止まれると感じたこともあったけれど、そんな時も前に進むことで結果、新しいことが始まっていて、歩みを止めなくて良かったなと思うことが多かったんです。聴いた人もあきらめず進んでいってほしいと思いながら作った曲です。

■いいこともイヤなことも楽しいことも悲しいことも
■全部共有して吹き飛ばそうと思っている

──そして内省的で尖っているなと思った曲が「PANIC ROOM」です。無機質な真っ白な部屋に閉じ込められた感覚になる。

VALSHE:「PANIC ROOM」は「COUNT DOWN」に対して今のVALSHEが最新のデジタルサウンドに挑戦したらこうなるっていう曲を作りたかったんです。自分自身の体験や記憶を引っ張り出して、客観的に書いてみたかった曲です。自分自身、聴いた人に元気になってほしいと思って歌詞を書くこともあるけれど、どうにもならないこともあるじゃないですか。そういう時には励ましや前向きな言葉がかえって邪魔になったり。

──「がんばれ」って言われることが重荷になったり、かえって落ち込むこともありますよね。

VALSHE:そう。“なんで自分だけがこんな想いを?”って感じることもあれば、自分を全否定してしまうこともある。“PANIC ROOM”は逃げ込める避難場所なんだけど、実はそこも自分を縛るところでしかなかったりして。そういう状況の中、自分を助けてくれるのは誰かの励ましでもなく、残念ながら音楽でもなくて、自分自身の気持ちでしかない。それを捨てさえしなければ、変わっていく可能性はあるから希望を持っていてほしいという気持ちを込めて書きました。

──“部屋を出ていくための鍵”と歌っているのは鍵は自分自身が握っているというニュアンスですか?

VALSHE:そうですね。閉まっていると思い込んでいるのは自分だけで実は鍵なんかかっていないかもしれないし、あきらめないことが鍵なんじゃないかなって。アップテンポのノリのいいナンバーなので、単純に曲として楽しんでもらっても嬉しいですね。

──なるほど。最後の2曲「RADICAL COASTER」と「LUCKY DAY」には扉を開け放った後のような開放感を感じたんですよ。

VALSHE:「RADICAL COASTER」は今まででいちばんライヴで楽しめる曲にしたいと思ってVALSHEの“陽”の部分を詰め込みました。曲を作る時はサビのメロディから思いつくことが多いんですが、この曲は共作しているShunさんに「ライヴで遊べる曲を作りたい。BPMはこれぐらいでサウンドはこんなイメージ」って伝えてコード進行を考えてもらって、そこにメロディを乗せていったんです。初めての試みをしたことによって今までのVALSHEにはなかったメロディが生まれたし、いつものように手グセで作れない感覚がすごく面白くて、完成するまでの過程が楽しかった楽曲ですね。

──歌詞も“シタタカにバカでいようぜ皆の衆”とか、いつになく砕けた言葉を使っていますね。

VALSHE:そうですね。自分の中にあったけれど、今まであまり見せようとしなかった部分でもあり、歌詞の1行目に出てくるように“真夜中のテンション”で書きました(笑)。ライヴで歌っている時は堅苦しいことを考えている余裕がないというか、その瞬間を全力で楽しんでいるので、頭が空っぽになっている時の自分を歌詞にしてみようって。ライヴを想像しながら書いたので、この曲の完成度は自分の中で99%なんです。ファンの人と一緒に完成させられる曲ができたなって。

──みんなのノリが楽しみな曲でもありますね。“今夜はお願いしたい ラジカルなこと”と歌っていますが、この曲は「RIOT」とは違う“陽”のテンションでラジカル。

VALSHE:ふふ(笑)。そうですね。

──最後の「LUCKY DAY」は嵐や葛藤を超えて着地したところという解釈もできます。これも曲調を含め驚かされました。

VALSHE:復活した時にしたかったことがそのまま形になった曲です。ライヴのいちばん最後に歌う曲の第3弾を作りたいという気持ちがあったのと同時に、ファンの人たちに向けて書いた曲でもあります。休止を発表した後にイベントでみんなと接する機会があったんですが、「今、頑張っているので応援してください」という言葉を受けて自分の気持ちを伝えたら「VALSHEが応援してくれた」ってすごく驚いて喜んでくださったんですよ。でも、自分は内心驚いていることに対して驚いたんです。元気になってほしいと思って歌詞や曲を書いていたりもするのに“意外と伝わってなかった”って。

──ああ(笑)。どちらかというと戦っているイメージがありますからね。じゃあ、「LUCKY DAY」は“喜怒哀楽”の“楽”のポジションですか?

VALSHE:“楽”であり、“喜”でもありますね。こういうハートフルなサウンドも休止前のVALSHEだったら、やらなかっただろうなって。

──ライヴで一緒に歌えるようなメロディでもありますね。最後に7月29日からスタートする復活ライブハウスツアー<EMERGENCY CODE:RIOT>へのメッセージをお願いします。

VALSHE:ライブハウスツアーでもあり、これまで以上に暴動感のあるライヴにしたいし、いいこともイヤなことも楽しいことも悲しいことも全部共有して吹き飛ばそうと思っているので、いつも見に来てくれる人もまだVALSHEのライヴを見たことがない人もぜひ。この夏、一緒に暴れられたらと思ってます。

取材・文◎山本弘子

■4thミニアルバム『RIOT』
7月27日(水)発売
【初回限定盤 CD+DVD】JBCZ-9027 / JBBZ-9027 ¥3,000(税込)
<特典DVD>
・「RIOT」MUSIC VIDEO
・Making of 「RIOT」
【Musing盤 CD+グッズ付き】JBCF-9007 ¥4,500(税込)
<グッズ>
・「EMERGENCY CODE:RIOT」MEMBER’s ARMBAND
※音楽ポータルサイト「Musing」のみでのお取り扱いとなります。
【通常盤 CD】JBCZ-9028 ¥2,200(税込)
01. silencio 作曲:VALSHE
02. RIOT 作詞:VALSHE 作曲:VALSHE
03. COUNT DOWN 作詞:VALSHE/minato 作曲:doriko
04. MONOLOGUE 作詞:VALSHE 作曲:VASLHE
05. PANIC ROOM 作詞:VALSHE 作曲:VALSHE
06. RADICAL COASTEЯ 作詞:VALSHE 作曲:VALSHE/Shun Sato
07. LUCKY DAY 作詞:VALSHE 作曲:VALSHE

■東名阪ツアー<VALSHE LIVE TOUR 2016 「EMERGENCY CODE:RIOT」>
7月29日(金)大阪 umedaAKASO
開場18:15 開演19:00
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
7月30日(土)愛知 SPADE BOX
開場16:30 開演17:00
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
8月7日(日) 東京 TSUTAYA O-EAST
開場16:15 開演17:00
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
▼チケット
スタンディング 6,000円(税込)
※未就学児は入場不可となります。
※ドリンク代が別途必要となります。
※整理番号順の入場となります。

最終更新:7月25日(月)18時30分

BARKS