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<北朝鮮>市場経済の拡大はどのような社会変化をもたらしたか(1)  ~内部映像を材料に考える~ 石丸次郎

アジアプレス・ネットワーク 7/25(月) 15:02配信 (有料記事)

◆はじめに

◇ はじめに
1990年代の「苦難の行軍」と呼ばれる大社会混乱期から、北朝鮮において市場経済が急速に発達してきたことは、今では広く知られるようになった。北朝鮮は、他の社会主義国と同様に食糧はもちろん、衣服、日用雑貨、食器、家具などの消費物資と、水、電気から住宅まで、暮らしに必要なモノとサービスを、国家が生産から流通までを管理統制して国民に供給する計画経済体制だった。

だが、1990年代後半に国家が経済統制力を喪失し始めるのと同時に芽を出した闇市場取引は、全国津々浦々に広がって、この20年の間に規模を何百倍に拡大させ、どんどん複雑化・高度化し、今や市場パワーは北朝鮮経済を牛耳らんとするほどの勢いを持つようになったのである。

この論考では、北朝鮮における市場経済の増殖の具体例を、流通・商業、不動産、運輸・交通などの分野で概観し、その影響が、北朝鮮の社会統制システムと、人々の暮らし、意識にどのような影響を及ぼしているのかを見ていきたい。

周知の通り、北朝鮮は世界に比類がない強い情報統制、隠ぺいを国策としている。近年は主要経済指標、統計、国家予算額すらも発表しておらず、資料が圧倒的に不足している。朝鮮中央通信や労働新聞などの北朝鮮官営メディアの記述だけを眺めると、北朝鮮経済は順調で、社会主義が政策としても実態としても堅持されているかのようだ。

この「匿されし北朝鮮経済」の内実、実態を調べるためにジャーナリストである筆者が採ってきた手法は、(1)できるだけ多くの北朝鮮人――合法、非合法に中国に出て来た人――の証言を集めること(2)北朝鮮内部に住む人と共に取材・調査チームを作り、映像、音声、文書など証拠力の強い材料を収集すること、であった。本論はこのような調査手法に基づいたものであることをお断りしておきたい。北朝鮮内部で撮影された写真を多用したのは、不可視の国の経済の変化を少しでも具体的イメージを持って示したかったからである...本文:5,262文字 この記事の続きをお読みいただくには、アジアプレス・ネットワークの購入が必要です。

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最終更新:8/13(土) 15:00

アジアプレス・ネットワーク