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山でトイレ どうする? 管理人不在で廃止、老朽化

上毛新聞 7月25日(月)6時0分配信

◎維持と保護 両立課題

 山の日が近づき、登山への関心が改めて高まる中、群馬県内でも登山者が切実な“トイレ問題”に頭を悩ませている。管理人不在で廃止されたり、老朽化で改装が必要な場所があり、整備を求める声も上がるが、維持の難しさや自然保護との両立が課題。携帯トイレの持参を呼び掛ける民間団体もあり、よりよい環境づくりに取り組む関係者の模索は続きそうだ。

 下仁田町の荒船山は、山頂近くの唯一のトイレが2013年8月に使用中止になった。老朽化し、管理の担い手がいないためだ。町観光協会にも苦情はなく、県は必要性が薄いとみて廃止を決定。ただ、高所独特の難工事が敬遠されたのか、廃止工事に入札がなく、建物は今もそのまま。

 「山のトイレはデリケートな問題」と話すのは登山ガイドの高木律子さん(46)=長野県白馬村。4月下旬に荒船山の旧トイレ脇で地面に用を足す家族連れを見かけたという。「実際に登ってこそ自然の大切さを理解でき、トイレがあればありがたい。でも人間が山に与える影響は最小限でないと」とする。

 赤城山の1290ヘクタールに散策道が広がる前橋市の県立赤城公園。公衆トイレ8カ所は古びた所が多く、4カ所は和式便器のみだ。「高齢者や子どもに不向き」「時代に合わせるのがもてなし」との声が寄せられ、県は対応を検討している。

 真田氏ゆかりの東吾妻町の岩櫃山は、NHK大河ドラマ「真田丸」の影響で登山者が急増中。町は受け入れのため、昨年末に登山口手前のトイレ3カ所を建て替えた。町地域政策課は「自然保護への配慮もあり、ふもとに整備した」と説明している。

 一方、高山植物の宝庫、至仏山(片品村)の登山道にトイレはない。NPO法人尾瀬自然保護ネットワーク(福島県)が12年から、携帯トイレの持参を呼び掛けている。

 昨夏、登山者に聞き取り調査すると、7割以上が携帯トイレの必要性を感じていた。専用の便座と目隠しの囲いが設置された場合、132人中114人(86%)が「使う」と回答。“山ガール”の増加を意識した意見もあり、同ネットワークは囲いの設置を環境省に要望した。

 担当者は「体調の変化で急に必要になることもある」と、今季も5~10月の13回、登山口で啓発している。ただ幅広い登山者が排せつ物を持ち帰るか懸念も指摘されており、定着するか注目される。

最終更新:7月25日(月)6時0分

上毛新聞