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青ノリ復活へ実証実験 県、セシウム低減目指す

福島民報 7月26日(火)9時7分配信

 東京電力福島第一原発事故の影響で本格的生産の自粛が続く福島県相馬市松川浦の青ノリについて、県は今秋にも放射性セシウム濃度をより低減させる実証実験に乗り出す。今春、モニタリング調査した検体は全て相馬双葉漁協独自の出荷基準値(1キロ当たり50ベクレル)を下回った。県は一層の安全と信頼確保に向けて加工法を確立させ、平成29年度以降の出荷再開と東日本最大級の産地再興につなげる。
 実証試験は県水産試験場が平成27年度末にまとめた放射性セシウム除去についての研究結果を活用する。青ノリの加工中にちりが付着すると、放射性セシウム濃度は上昇するとみられる。このため、相馬双葉漁協に所属する約70軒の漁業者にそれぞれの加工施設内の除染や洗浄を徹底するよう促す。
 養殖場は松川浦に流れ込む宇多川などの河口付近にあり、上流から運ばれた土砂に付着した放射性物質がたまる傾向にあるという。ノリは洗浄すれば放射性セシウム濃度を低減できることが分かっており、うま味を落とさずに洗う手法を極める。
 県は近く、相馬双葉漁協を通じて協力する漁業者を募り、ノリの種付けが始まる秋にも現地で実証実験を始める。結果はマニュアルにして他の漁業者に周知する。さらに、出荷に向けた生産が円滑に再開できるよう、販路の確保を支援し資材の購入費用の一部を補助する方向で検討している。
 食品衛生法上の放射性セシウム濃度の基準値は1キロ当たり100ベクレルだが、相馬双葉漁協は青ノリの出荷基準値を県漁連が独自に設定している試験操業の基準値に合わせ厳しく設定した。県水産試験場が今年2月から5月に実施した松川浦産の乾燥ノリのモニタリング調査では、30検体全てでセシウム濃度が出荷基準値を下回った。
 松川浦にはかつて養殖の竹柵が2万4000基あったが、平成23年の東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた。この年から漁業者は青ノリの本格的生産を自粛している。一方、相馬双葉漁協は約2000基を復旧させ、ノリの種を絶やさないために胞子を網に付着させる作業を行ってきた。
 同漁協松川浦地区代表の菊地寛さん(70)は「放射性セシウム低減に向けた県の取り組みを歓迎する。漁協としても早期にノリを出荷できるよう、漁業者間で足並みをそろえて準備を進めたい」としている。

福島民報社

最終更新:7月26日(火)11時27分

福島民報