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生ごみに紙を混ぜるとバイオガスが増量、都市のエネルギー回収に有効

スマートジャパン 7月26日(火)13時25分配信

 札幌市にある北海道大学の「北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場」では、小型のバイオエネルギー実験設備を使ってフィールドテストを実施中だ。大学の食堂から発生する生ごみと、大学内で廃棄した紙ごみなどを利用して、メタン発酵によるバイオガスの生成量を検証する実験である。

 同センターと西松建設は都市で発生するごみからエネルギーを回収するシステムの開発に共同で取り組んでいる。生ごみをエネルギーとして再利用する割合が全国的に低いことから、高効率のシステムを開発して普及にはずみをつける狙いがある。特に生ごみと他の種類のごみを混ぜてバイオガスを発生させる研究に力を入れてきた。

 その結果、生ごみと紙ごみを混合して発酵させると、生ごみだけを発酵させる場合よりもバイオガスの生成量が格段に増えることを確認した。生ごみには野菜や果物をはじめ、魚や肉、ご飯や茶殻を含んでいる。

 実験では比較のために合計5種類の原料を試した。生ごみだけ、紙ごみだけ、生ごみ+草、生ごみ+剪定枝の組み合わせで、いずれも都市で大量に集めやすいバイオマス資源になる廃棄物である。こうした廃棄物からバイオガスを効率よく発生させることができれば、廃棄物の処理と再生可能エネルギーの生成を一挙に両立できる。

 5種類の原料を発酵させて得られるガスの収量を比較したところ、生ごみと紙ごみを混合させた場合が最大になった。違う成分が混じり合うことによって、メタン発酵を阻害する要因を抑制する効果が得られるためと考えられる。

 廃棄物を利用してバイオガスを生成する取り組みでは、現在のところ家畜のふん尿や下水の汚泥を発酵させる方法が主流になっている。固形物の濃度が10%未満の液体を発酵させる「湿式法」でメタンガスを生成する。

 これに対して紙や草木といった固形物を多く含む場合には、固形物の濃度が15%以上で適用できる「乾式法」で処理する。乾式法では発酵温度を55℃程度の高温に維持する必要がある。一方の湿式法では37度程度の中温でも発酵させることが可能だ。乾式法は湿式法に不可欠な発酵後の排水処理が不要になる半面、発酵温度を高く維持するためにエネルギーを多く消費する。

 北海道大学と西松建設は乾式法による高温発酵のバイオガス回収システムの実証を大学内の実験設備で続けて、生ごみと他の種類のごみを併用できる高効率のシステムを早期に実用化する方針だ。合わせて発酵後の残りかすを乾燥して固形燃料に転換する技術の開発にも取り組む。

最終更新:7月26日(火)13時25分

スマートジャパン