ここから本文です

社説[就学援助「格差」]自治体任せでいいのか

沖縄タイムス 7月26日(火)5時0分配信

 経済的に苦しい家庭の小中学生に学用品代や給食費などを補助する「就学援助制度」の受給率が2015年度は20・29%と過去最高となったことが明らかになった。
 市町村ごとの就学援助率にばらつきがあり、認定の基準となる所得に3倍近い格差も生じている。
 確かに小中学生の5人に1人というのは高い割合である。だが県が推計した沖縄の子どもの相対的貧困率29・9%との開きを考えると、支援が行き届いているとは言い難い。認定基準の自治体間格差からも分かるように、むしろ問題は「漏給」の方にある。
 沖縄タイムスが県内41市町村教育委員会にアンケートを実施したところ、全児童生徒14万4836人のうち、就学援助受給者は2万9391人だった。1998年度に10人に1人だった受給者は、2006年度に7人に1人となり、15年度は5人に1人と増え続けている。
 増加の理由を29市町村が「経済的に困窮する家庭が増えているから」と答えている。子どもと接することの多い現場の実感なのだろう。
 自治体間の違いが目立った受給率は、那覇市や沖縄市が25%以上と高い一方、15%に満たない市町村も数多かった。
 受給率の高さが、地域の貧困家庭の多さと必ずしも連動するものではないことに注意を払いたい。
 問題は学ぶ機会の平等を保障するはずの制度の運用方法にあり、そこから格差が生まれている。子どもの学校生活や進学に影を落としていないか心配だ。
■    ■
 就学援助の対象は、生活保護を受給する「要保護」世帯と、自治体が生活保護世帯に近い状態と認定した「準要保護」世帯である。 
 今回のアンケートでは、4人家族で354万円の市と、128万円以下でなければ受給できない村があるなど、準要保護世帯の所得基準に大きな差があることが明らかになった。支給額や援助費目にも違いがあった。
 3月に県が公表した「沖縄子ども調査」で、貧困層の半分が就学援助を利用していない実態が浮き彫りになった。制度を知らなかったことのほか、周囲の目が気になり申請しなかったという回答が5~10%程度あったのは見過ごせない。
 県は子どもの貧困対策として就学援助の充実に力を入れ始めているが、制度の理解にも神経を注ぐ必要がある。
■    ■
 就学援助の自治体間格差は、小泉政権時の三位一体改革で国庫補助が廃止された影響を受けている。 
 住んでいる場所で、援助を受けられる子と受けられない子がいるのはフェアとはいえない。
 憲法にはひとしく教育を受ける権利が定められている。学校教育法は必要な援助を与えることを約束する。
 アンケートには「国庫補助の復活」を望む市町村の切実な声があった。
 親や自治体任せにせず、国が保障する最低基準「ナショナル・ミニマム」の議論につなげるべきだ。

最終更新:7月26日(火)11時14分

沖縄タイムス