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外来DNAの混入をほぼ完全に防止できる卓上型クリーンルーム

MONOist 7月26日(火)8時55分配信

 広島大学は2016年7月13日、外来DNAの混入を防止し、信頼性の高い極微量DNA解析を可能にする卓上型クリーンルームを開発したと発表した。同大学の岡村好子准教授らと農業・食品産業技術総合研究機構の小堀俊郎研究員らの共同研究によるもので、興研と関東化学の協力を得て開発された。成果は同月12日に米科学誌「BioTechniques」のオンライン速報版で公開された。

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 従来、DNA増幅をする場合には、目的試料への外来DNAの混入(コンタミネーション)を防止するために、主に無菌操作用のクリーンベンチが使用されていた。しかし、外来DNAの混入を完全に防ぐことは難しく、1細胞レベルの極微量のDNA、特に全ゲノムを増幅する場合には大きな問題となっていた。

 同研究グループは、一般的なクリーンベンチ(国際標準規格ISO-5環境)における調査と実験によって、コンタミネーションの主原因が、死細胞から遊離した浮遊DNAを含む0.1μm粒子だと推測した。そこで、ISO-1(全微粒子数が10個/m3以下)を形成できる興研のオープンクリーンシステムをベースとして、全ゲノム増幅用の卓上型クリーンルームを開発することにした。

 まず、システム内の清浄エリアを覆うフードを設置。これによりISO-1環境を維持できた。そして、その環境で試薬調製した場合と、一般的なクリーンベンチ(ISO-5環境)で調製した場合で、同一の試薬を用いた全ゲノム増幅へのコンタミネーションを比べたところ、ISO-5でのみコンタミネーションが確認され、粒子系0.5μm未満の浮遊微粒子中にDNAが含まれていることが明らかとなった。

 しかし、全ゲノム増幅実験を繰り返すと、ISO-1を維持しているにも関わらず、実験回数の増加とともにコンタミネーションの頻度が上昇してきた。汚染源についてさまざまな検討を行ったところ、プラスチック製実験器具の表面に発生する静電気が、外来DNAを含む浮遊微粒子を集めてしまうことが分かった。そこで、装着したフード内面の天井に除電器を設置し、実験中に発生する静電気を速やかに除去したところ、コンタミネーションをほぼ完全に抑制することに成功した。

 実験器具・道具に発生した静電気のDNAコンタミネーションへの影響については、世界で初めての報告だという。また、この新開発のDNA増幅用卓上型クリーンルームは、興研から国内向けに販売が開始されている。これは、培養できない微生物からの有用遺伝子探索など、さまざまな基礎研究分野での遺伝子解析、ガン研究などにも貢献することが期待されるという。

最終更新:7月26日(火)8時55分

MONOist