ここから本文です

出会い系アプリの投資版?「SNS連動型ETF」はツイートで銘柄選び

ZUU online 7月26日(火)18時10分配信

マーケットや個別銘柄の情報集めに、SNSを活用することはすでに当たり前になっている。だが、米国のSNSの投資への活用法は一歩先を行っている。ETFのポートフォリオを決めるために使われているのだ。SNSに投稿されたさまざまな情報を元にしたビッグデータの中から、銘柄を自動的にピックアップし、運用する「SNS連動型ETF」が登場している。

■AIがネット社会の声を反映させETFを選定

「SNS連動型ETF」で代表的なのは、2016年4月18日に設定された「Sprott Buzz Social Media Insights ETF」だ。ティッカーは「BUZ」。

7月18日の引け値で24.90ドルと、1口買うのに3000円もかからない。運用総資産は468万ドル(約4.9億円)。運用対象銘柄は、時価総額50億ドル以上の大型株全般で、小型株は対象にしていない。

SNS連動型ETFの最大の特徴は、銘柄選択にアナリストやファンドマネージャーといった投資や運用のプロの人間の意見を介さないことだ。SNSのビッグデータをAI(人工知能)やアルゴリズムで分析して、銘柄をコンピュータで選択する。

個人の銘柄選択力よりも、インターネット上の多数人々を指す「群衆(クラウド)」の銘柄選択力に注目しているのだ。ネット上のニュースやSNSでツイートされた件数、話題やコメントや反響の多い銘柄、そのコメントがポジティブなのかネガティブかなども読み取り、ネット社会が強気にみている25銘柄を選定する。

同ETFのポートフォリオのコア10銘柄を見てみると、現在のファンドのコアは、Googleの親会社Alphabet、Apple、Walt Disneyなどである。トップピックを見る限り、通常の米国のファンドのコア銘柄とあまり変わらない。

■「人気投票」ETFは知名度が高い銘柄へ投資

ミスコンや出会い系アプリのようなETFも登場している。「クラウドインベスト」というアプリで、個人投資家に米株の個別銘柄に対する、強気・弱気を投票してもらう。完全な人気投票で、仕組みは出会い系アプリなどと変わらない。投票の理由は問わず、センチメント指数で選ばれる大型株を毎月見直しながら、35銘柄に投資するファンドだ。

このファンドの設定日は2016年4月25日で、6月20日に上場したばかりだ。ティッカーは「WIZE」。運用総資産は248万ドル(約2.6億円)とまだ小さい。7月18日は25.65ドルで、こちらも3000円もせずに買い付けできる。

現在このファンドの保有銘柄をみると、商業REITのゼネラル・グロース・プロパティーズ、税務申告代理サービスのH&Rブロック、ソフトウェア大手のOracleがトップ3。その他、ベスト10に、投資銀行のモルガン・スタンレーやバンク・オブ・アメリカ、THE NORTH FACEなどを傘下にもつアウトドア用品のVFコープ、薬品のアラガン、レストラン系でレッドロブスター経営のダーデン・レストラン、ケンタッキー経営のヤム・ブランドなどが入っており、知名度の高い銘柄が多いようだ。

■運用5年目の正統派「SNS」ETFは3年で12%のリターン

AIや人気投票で銘柄を選ばずに、SNS、ビッグデータの関連銘柄に投資する王道ファンドも紹介しておこう。

代表的な「ソーシャルメディアETF」は、2011年11月14日に設定された「Global X Social Media ETF」だ。ティッカーは「SOCL」、運用総資産は6494万ドル(約68.2億円)と前述の2本のETFとは桁が違う。7月18日の引け値で21.66ドルと、やはり1口3000円もしないで買える。一年間のパフォーマンスはプラス5.3%と好調だ。3年リターンも12.2%と高い。

「ソーシャルメディアETF」と名乗るだけに、投資対象は当然テクノロジーセクターでSNSに関連した銘柄のみ。ポートフォリオのコアは、ビジネスネットワーキングのLinkedIn、中国ネット関連大手のテンセント、Facebook、Twitterがトップ4銘柄だ。SNSの将来性に掛けるなら、このファンドが適しているだろう。

■ビッグデータETFは運用1年、今後の成績に期待?

代表的な「ビッグデータETF」が、「PureFunds ISE BIG Date ETF」で、2015年の7月15日に設定されたので、運用開始から丸1年が経っている。ティッカーは、ビッグデータにちなんで「BIGD」。7月18日引け値では24.02ドル、運用総資産は114万ドル(約1.2億円)とまだ大きくはない。一年間のパフォーマンスはマイナスの6.3%なので、これからに期待といったところだろう。

同ETFのポートフォリオの保有1位は、ソフトウェアのプロス・ホールディングス、2位が金融サービスのブラックナイト・フィナンシャル・サービス、3位がソフトウェアのOracleだ。ビッグデータに絡んだ会社のみで、構成されたポートフォリオになっている。

■日本でも生まれる?SNS連動型ETF

日本ではまだビッグデータとAIで運用するETFはないが、米国での運用成績次第では、今後誕生する可能性もなくはないだろう。

どんなに優れたファンドマネージャーでも、すべての銘柄を見ることはできない。また、得意とするセクターの偏りや、投資に対する振れが生じる可能性がある。

一方、AIによる投資は、そういった振れを排除し、常に大衆の注目度が高い銘柄をピックアップしていく。注目度が高いと言うことは、売上に直結する可能性も強く、逆張りには向かないだろうが、順張りには向いているかもしれない。

ただ、SNSの銘柄選定への利用に懐疑的な見方もある。ビッグデータであっても、あくまでもSNSのデータは全体的な市場のコンセンサスである。市場はコンセンサスが勝つとは限らない。

またビッグデータでは、今のところアナリストを補完することはできない。機械は投資判断の中で、情報それぞれの重要性を判断することは、難しいといわれている。企業のターンラウンドや変化を嗅ぎ取る、といった作業は現時点ではまだ苦手だろう。

メリット・デメリットを理解した上で、先行する米国のファンドのパフォーマンスや保有銘柄を、継続的にフォローする価値は高いのではないだろうか?


平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:7月26日(火)18時10分

ZUU online