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広がる「地産地消」モデルの電力小売、2020年度までに市場規模は4倍に

スマートジャパン 7月26日(火)10時55分配信

 矢野経済研究所は2016年7月22日、地産地消モデルの電力小売事業に関する調査結果を発表した。2015年度の国内の地産地消モデルの電力小売市場規模は、小売電気事業者の売上高ベースで135億円としている。2016年4月1日に始まった電力の小売全面自由化などの影響により、2016年度はさらに240億円まで拡大する見込みだ。

 同調査における地産地消モデルの電力小売事業とは、特定地域の再生可能エネルギーによる発電電力を主体とし、その地域の電力需要家や提携した組合員・施設などに供給(電力小売)する事業形態のこと。こうした電力を、当該地域以外の提携した組合員・施設などに産地直送(電力小売)する事業形態も含める。

 調査は矢野経済研究所の専門研究員による直接面談、電話および電子メールによるヒアリング、文献調査を併用し、2016年4~7月に行った。

2020年度は530億円規模に

 地産地消モデルの電力小売事業では、電気料金のメリットだけでなく、環境負荷が少ないことや地域活性化につながることのポリシーに賛同してもらいやすいため、家庭用などの低圧分野の電力需要家との契約が多くなる見通しである。これに対し50kW(キロワット)以上の高圧分野の電力需要家かつ民間施設の場合は、電気料金での価格メリットの訴求が契約獲得の条件になるとする。

 今後、電力需要家が増えていくとともに、国内のさまざま地域で地産地消モデルの電力小売事業が新たに立ち上がっていくと考えられる。調査ではこうした影響から2017年度の地産地消モデルの電力小売市場規模は小売電気事業者の売上高ベースで340億円、2020年度には530億円まで拡大すると予測している。

参入事業者の特徴は?

 調査によると、現在、地産地消モデルの電力小売事業に参入している小売電気事業者は40社を超える。これらを業種別に分類すると、主に「地方自治体系」「生活協同組合系(生協系)」「デベロッパー/エンジニアリング系(ガス会社系を含む)」に分けられる。

 地方自治体系の小売電気事業者は、自治体が事業主体となり、地場の民間企業などとも一体になって地産地消モデルの電力小売事業を展開しているケースが多い。事業への出資者構成や出資比率はさまざまであるが、自治体と民間企業が出資する第三セクターの新会社を設立して電力小売事業を展開するケースが多い。こうした自治体ではもともと環境意識が高く、再生可能エネルギー電源の積極的な誘致を行う傾向にある。これにより地方創生や地域活性化につなげる狙いだ。

再エネ活用に積極的な生協

 生活協同組合系の小売電気事業者では組織の規模がさまざまである。生協組織としては、地域の生協(単協)と、それらをまとめる連合会組織があり、それらの組み合わせによるさまざまな出資形態で電力小売事業を行う子会社が設立されている。なお、消費生活協同組合法では、各生協の組合員のみが事業の対象と規定されている。そのため生協の電力小売事業では、生協の事業施設および組合員にのみ電力供給を行っている。

 もともと環境政策に積極的な生協では、以前から生協の物流拠点や配送センターなどの施設に太陽光発電システムを導入するなど、積極的な再生可能エネルギーの活用を進めてきた。これらを活用して各生協施設に再生可能エネルギーの比率が高い電力を供給するといった取り組みを実施している。小売電気事業者に登録する生協も全国各地で増えており、今後は低圧分野の電力小売事業が拡大していく見込みだ。再生可能エネルギーを電源を多く持つ新電力や、自社の太陽光発電所などから調達した電力を供給する点をサービスの特徴としている場合が多い。

事業の差別化に「地産地消」を活用

 デベロッパー/エンジニアリング系の小売電気事業者は、太陽光発電システム、廃棄物発電システム、バイオマス発電システム、風力発電システムなどのデベロッパー、エンジニアリング会社、コンサルティング会社が、それらの発電電力を調達して電力小売事業も行っている。その際の事業の差別化ポイントとして地産地消モデルを活用している。ガス会社系では、地方都市ガス会社や地域のガス会社が、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーの発電電力を主体として、その地域のユーザーに電力供給しているケースが多い。

 こうした小売電気事業者では、再生可能エネルギーの比率が高い電力を、大手電力会社よりも安価な料金体系で供給することによりユーザーを獲得している。現状では太陽光発電システムが主要電源になるため、高圧分野では発電カーブに近い需要カーブを有するユーザーや、負荷率の低いユーザーがターゲットになる。

最終更新:7月26日(火)10時55分

スマートジャパン

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