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好調東レの動向を探る:炭素繊維複合材料で市場拡大へ

投信1 7月26日(火)16時10分配信

はじめに

先週の株式市場はポケモンGO一色の様相でしたが、25日には任天堂株が急反落するなどポケノミクス相場に一服感も出ています。こういう時こそ冷静に投資テーマや機会を探るのが賢明な姿勢だと考えます。

本稿では、日本企業が世界の70%のシェアを有する炭素繊維およびその複合材料について、トップメーカーである東レの動向をまとめてみました。

この記事の読みどころ

 ・ 鉄、アルミ、非鉄金属に取って代わると言われる炭素繊維は、東レ <3402> 、帝人 <3401> の子会社である東邦テナックス、三菱ケミカルホールディングス <4188> の子会社である三菱レイヨンの3社で世界市場の70%のシェアを有しています。トップ企業はもちろん東レです。
 ・ 炭素繊維の向こう20年の需要を牽引するのは航空機市場で、ボーイング、エアバスを始め三菱重工のMRJにも採用されています。
 ・ より長期的には、自動車構造材への応用によって市場拡大が加速されるでしょう。

炭素繊維とは

1950年代に大阪工業技術試験所(旧通産省管轄)の新藤昭男博士が、アクリル繊維(PAN:ポリアクリロニトリル)を原料に炭素繊維製造の基本原理を研究・発表したのが、日本における炭素繊維開発の始まりでした。

炭素繊維は、簡単に言うとアクリル繊維を2,000~3,000℃までの高温で蒸し焼きにすることで90%以上の炭素含有率を持った繊維のことです。強度が鉄の約10倍、弾性率が鉄の約7倍という特性が最大の特長です。

東レのボーイング社向け事業戦略の動向は

東レは、1970年にいち早く新藤博士の特許権実施許諾を取得して、炭素繊維の事業化に踏み切りました。当初はテニスラケット、釣竿などのスポーツ関連から市場を形成し、1975年にボーイング737の2次構造材料としての採用が決まりました。

その後はボーイング社のB777、B787に採用が拡大、2015年11月には東レがB777Xプログラムに炭素繊維プリプレグ※を供給する包括的長期契約を締結しました。東レによると、B787とB777X両プログラム向けの供給総額はざっと110億ドル(1兆1,600億円)にも及ぶとされています。

B787は2015年に10機/月、2016年は12機/月、2019年には14機/月の生産計画となっています。ボーイング社の予測によると、2035年までの20年間で世界の旅客機の需要は新興国を中心に39,620機と見込まれているなど、潜在需要の大きさには驚くばかりです。

一方、B777後継機である次世代のB777Xの市場投入は2020年とされており、東レは2020年までに1,000億円の設備資金を投じて米国における炭素繊維複合材料の事業拡大を行うことを決定しています。原糸(プレカーサ)から炭素繊維および炭素繊維プリプレグまでの一貫生産設備となる予定です。

※ プリプレグ:束ねられた炭素繊維に、熱を加えると固まる性質を持った「熱硬化性樹脂」を含浸させた中間的シートのこと。熱硬化性樹脂の代表はエポキシ樹脂だが、ポリ・エーテル・サルフォン(PES)という新しいエンジニアリングプラスチックもある。

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最終更新:7月26日(火)16時10分

投信1

チャート

東レ3402
973.9円、前日比-15.8円 - 9月28日 11時30分

チャート

帝人3401
1949円、前日比-66円 - 9月28日 11時30分

チャート

三菱ケミカルホールディングス4188
634.1円、前日比-19.1円 - 9月28日 11時30分