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「ポケモンGO」はもう古い? “超人スポーツ”は地域活性化の起爆剤になるか

ニュースイッチ 7月26日(火)12時10分配信

ハイテク×アイデア次第でユニークな競技がビジネスに

 ハイテクとスポーツを掛け合わせた「超人スポーツ」が地域振興の起爆剤として地方自治体に広がっている。市民や大学、地域企業を巻き込んで新しいスポーツを開発する試みだ。新種のスポーツが誕生すれば、イベント開催やデバイスで稼げる可能性がある。最初は小さくても息の長い産業に育てようと奮闘する各地の取り組みを追った。

<場所を選ばずカートで撃ち合い>

 カートを乗り回し対戦相手を撃ち倒す―。まるでテレビゲームのようなモータースポーツが商店街で楽しめるようになった。慶応義塾大学とmeleap(メリープ、東京都港区)などが開発した「HADOカート」は電動車いすに乗ってプレーする。手の動きをウエアラブルセンサーで検出し、エネルギー弾を仮想的に放つ。ヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)に飛び交う弾や対戦ポイントを表示する。3人のプレーヤーが三つどもえで対戦する。

 場所を選ばず対戦できるように、相手を認識するための拡張現実(AR)マーカーを電動車いすに付けた。電動車いすは最高時速5キロメートルと衝突してもけがをしにくい。低速でも車高が低いためスピード感がある。慶大大学院生の武田港氏は「競技で車いすの市場が広がればコストが下がる。ご当地化はアイデア次第」という。


<岩手県が開発プロジェクト、映像で確認しドローン捕獲>

 この超人スポーツに岩手県の達増拓也知事が目を付けた。「岩手発超人スポーツ開発プロジェクト」を立ち上げ、アイデアソンやハッカソンを重ねて新競技を開発中だ。達増知事は「平泉の祭りの弁慶力餅競争は数十キログラムの餅を抱えて歩く。パワードスーツを着て激しく競えば面白い。そこから農業をサポートする技術が生まれ、産業化につながれば」と期待する。

 岩手大学で開いたハッカソンでは4種目が考案された。最優秀賞に選ばれた「toritori」は、岩手出身の宮沢賢治の童話『銀河鉄道の夜』に登場する「鳥捕り」を競技にした。鳥捕りが鳥を捕まえる様子をドローンで再現。HMDでドローンのカメラ映像を見ながら小型ドローンを捕まえる。

 チームリーダーを務める岩手大院生の稲上つくし氏は「大空を自由に飛ぶ感覚が楽しい。ただ高く飛んで周囲に建物が見えなくなると平衡感覚を失う。ドローン酔いを防ぐインターフェースを開発したチームが強くなる」という。

 岩手県の澤田彰弘文化振興担当課長は「岩手らしさをスポーツに盛り込めるのかと心配していたが、面白い競技ができてきた」とほほを緩める。県は各チームに資金を提供し、開発を支援する。9月の国体に合わせて披露する予定だ。

<神戸市はマラソンにウエアラブル>

 神戸市は「神戸マラソン」のウエアラブル化を進めている。神戸大学の塚本昌彦教授とアシックス、神戸市の3者が連携。約60人がスマートウオッチやスマートヘッドホンを装着して走り、端末からペース管理や観光案内のメッセージを流して効果を検証した。

 マラソンは競技、観光の両面から地域振興イベントとして広がっている。塚本教授は「競技目的のランナーはペース配分や給水所の情報、観光目的のランナーはランドマークや道中に補給できる特産品の紹介など、好みに応じてメッセージを選べばいい」という。マラソン大会でアプリを検証し、普段のジョギングなどに広める。

 神戸市はウエアラブル先進都市を目指し、介護や観光などの実証フィールドを提供している。神戸市企画調整局の長井伸晃係長は「ウエアラブルを試しやすい環境を整え、ウエアラブルコンテンツの産業育成につなげたい」と説明する。

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最終更新:7月26日(火)12時10分

ニュースイッチ