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【MLB】グラブ職人が明かす名手のこだわり イチローのグラブは「作り甲斐がある」

Full-Count 7月26日(火)20時40分配信

本拠地を訪問した岸本さん、新しいグラブがしっくりこないことは「今でもたくさんある」

 マーリンズのイチロー外野手は25日(日本時間26日)、本拠地でのフィリーズ戦に代打で出場し、投ゴロに終わった。4試合連続代打出場で足踏みとなり、3000安打の金字塔へ残り4本のまま。試合前にはイチローのグラブ製作を手がけるミズノテクニクス「波賀工場」のグラブマイスター、岸本耕作さんがマーリンズ・パークを訪問。本人に3つの新しいグラブを手渡した。

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 岸本さんは“グラブ名人”と呼ばれた坪田信義さんの後を継ぎ、2007年からイチローのグラブ製作を担当している。NPBでゴールデングラブ賞7度、MLBでゴールドグラブ賞10度を誇る名手のグラブの特徴については「柔らかくて軽くて、というのが特徴なんですけど、ただ柔らかすぎてもダメなので、その辺のバランスが難しいところです」と話す。

 マーリンズのチームカラーに合わせて革の色が明るいものに変化したことはあるものの、グラブの形自体はここ数年変わっていないという。岸本さんが担当になってすぐ、製作したグラブを渡しても、感触が違うとして使ってもらえなかったのは有名な話。イチローの繊細な感覚、野球用具に対する強いこだわりが感じられるエピソードだが、新しいグラブがしっくりこないことは「今でもたくさんあります」と岸本さんは明かす。

 もっとも、「最近は具体的に(問題点を)言ってくださる。今は端的に現象を捉えて言ってくださる。以前は『ストレスを感じる』とか、いろんな表現で言われていたんですけど」という。気候の違いなどでも革の柔らかさに影響があるといい、「そこも気にしないといけない」。職人として最高の技術を注ぎ込み、グラブを作っている。

「本当に大事に使っていただいて、作る方としても嬉しいですし、作り甲斐もある」

 3000安打達成間近というタイミングとなったが、今回も定期訪問で「実際にグラブを持参してくるので、それについての聞き取りです。実際に使って違うような現象が出る可能性もあるので、その第一印象を(聞く)」という。

 マーリンズに入団した昨年、イチローがグラブやバットを丁寧に扱う様子は、地元メディアでも大きく取り上げられた。グラブをオイルで磨いていることなどを紹介し、野球用具を「トロフィーのように扱う」という表現も使われた。メジャーの選手に比べて、日本のプレーヤーは道具を大事にするが、その中でもイチローは別格だろう。

 岸本さんは「本当に大事に使っていただいて、作る方としても嬉しいですし、作り甲斐もあります。たとえ(グラブが)駄目でも大事にしてくれていますので」と話す。さらに、そのグラブで超一流の守備を見せてくれるのだから、職人冥利に尽きる。

 メジャー史上30人目の3000安打という偉業が近づき、今はイチローの打撃に大きな注目が集まっている。最近4試合は代打のみの出場で、守備にもついていないが、最高のグラブを左手にはめて外野で躍動する背番号51の姿も、もっと見たいところだ。

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

最終更新:7月26日(火)20時55分

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